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2022年全国高等学校野球選手権大会 ベスト8予想

どうにもこうにも止まらぬこの暑さ。
この暑さの中、今年も49地区を代表する高校の球児たちが聖地の土を踏む。
収まらぬコロナ禍、今年こそは不本意な形で大会を去る高校がいないことを祈ります。

今回も各ブロックの展望、ベスト8予想を書いていきます。
太字はベスト8予想校と特に注目する選手。
今回の予想のテーマは「県レベルの高低」と「夏の調整力」です。

トーナメント表は昨年に引き続きベースボールチャンネルさま作成の画像を引用しています。

Aブロック 

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本命の仙台育英は平均値が高いチーム。どこからでも点が取れて、誰が投げてもそこそこゲームがつくれる。
140kmオーバーのストレートを投げる投手が部に14人いる(!)とか信じられない。

明秀日立は秋の関東大会を制するなど、今年の関東の大将格。右の猪股、左の石川ケニーの二枚看板は打線でも核となる。チームとしてバランスがいい。

今年の鹿児島大会は左の好投手が多かったが、打ち崩して甲子園に進んできたのが鹿児島実。
エースの赤崎も同様に左の好投手で、ストレートにキレがある。初戦の対明秀打線を3点以内に抑え切れれば勝機はあり、ベスト8も十分狙える。
鳥取商業は打線のつながりで勝ってきた。甲子園でも再現できるか。

Bブロック

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昨年に続き、高松商のスラッガー・浅野翔吾に大注目。

新チームになってからは右の変則投手を迎える場合に限り、左打席にも立つようになった。左打席でも大飛球を飛ばせるのだから、センスの塊と言うほかない。
もし自分が球団のオーナーだったら、ドラフト1位で獲得するよう厳命するだろう。

初戦で相対する佐久長聖は、とにかく浅野の前にランナーを出さないことを徹底したい。高松商のエース左腕・渡辺は成長著しいが、たまに甘く入るストレートを的確に捉えて乱打戦に持ち込みたい。

センバツベスト8の九州国際大付は、エース左腕の香西が福岡大会期間中にベンチを外れた。
緊急事態のチームを救ったのは2年生右腕の池田と木塚、そして野田、佐倉、黒田、大島をはじめとする強力打線の援護だった。
香西は本大会では復帰する予定で、激戦の福岡を勝ち抜いたチームにエース左腕が戻ってくるとなると、頂点を十分に狙える戦力になる。

そんな九国だが、くじ運は最悪。初戦の相手は明徳義塾を引いてしまった。
明徳義塾は甲子園の初戦に滅法強く、夏に限れば20勝1敗。理由は明快で、相手を研究できる時間を長く持てるから。
名将・馬淵監督が相手を丸裸にし、小さな綻びを見逃さず、相手のミスにつけ込んでしゃぶり尽くす。
今年のチームもディフェンス力に優れ、左の吉村優聖歩、右の矢野と左右の好投手を揃えてきた。
とくにトルネード気味の左のサイドスローという特異な性質を持つ吉村への信頼は厚い。高知大会決勝では打ち込まれ、サヨナラ負け寸前の大ピンチを招いたが、馬淵監督は最後の最後まで彼を信じ続投させ、1点差を守り抜いて甲子園行きを決めた。
吉村は昨夏、準々決勝で悔しいサヨナラ負けを喫した。甲子園の借りは甲子園で返すしかないと気合十分だ。

浅野は怖いが、初戦の九国×明徳の勝者がベスト8に進むのではないか。
予想は難解だが、吉村が九国のスラッガーを封じて僅差の試合を馬淵明徳が制し、次戦は高松商の浅野を封じてベスト8に進むと予想する。
逆に九国が制した場合は一気に優勝まで狙える展開になるだろう。とにかく初戦、吉村を攻略できるかどうかでこの夏の結末が変わる。

Cブロック

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有田工のエース右腕・塚本と機動力もある浜田打線の対決は楽しみ。両校ともコロナの感染者が多く出ているとのことだが、無事に試合が開催されることを祈りたい。

…ただそういった状況なので、下関国際と富島の勝者がベスト8に近いと読む。
富島はエース・日高暖己の仕上がりが凄まじい。浮き上がるようなストレートとそれを9回まで持続させるスタミナが自慢の本格派右腕で、大会No.1右腕の声もあるほど。どのチームも初戦で対戦したくなかっただろう。

下関国際も期待大。今の3年生は1年生の時から評判が高く、入学してすぐの夏から13人がベンチ入り。なんとキャプテンも2、3年生がいながら当時1年生だった山下が務めた。

その後1年生の秋には中国大会を勝ち進み、2年生の春に選抜に出場。その世代のラストサマーが今回となる。

いわば超勝負年で、名将・坂原監督も自信を持っている世代だろう。
エース左腕・古賀の状態が上がってきておらず不安材料にはなるが、ショート兼投手の仲井が躍動してチームを救った。
打線も古賀、仲井の他に賀谷、山下、水安、赤瀬など力のある選手が揃う。

富島の日高が力投し輝きを放つも、下関国際打線が意地を見せ接戦をものにすると予想。勢いそのままに次戦も勝利しベスト8へ進むだろう。

Dブロック

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智弁和歌山の優位は揺るがず、ブロックの本命に推す。
ストレートのノビがよい塩路と、球威で押せる武元の2人の右腕を中心に、枚数を揃えた投手陣は盤石。
野手も昨年の甲子園優勝を経験した渡部、岡西らが残り、強力な打線を形成している。
ただ懸念は49番くじを引いたこと。初戦は堅さが出やすいのに対し、対戦相手は開幕戦を制して勢いに乗っているチームになるので、過去のデータを見ると著しく勝率が低い。

昨年49番くじを引いた浦和学院も前評判が高かったものの、初戦敗退の憂き目にあっている。

対戦相手になるのは日大三島か、國學院栃木か。
日大三島は松永が投打の中心で、京井も控える。どちらも打者としても活躍できる選手。
永田監督がバランスの取れたチームをつくってきた。
今年の静岡県は非常にレベルが高く、秋春の東海大会を優勝している。日大三島も秋の東海大会を制し、神宮大会と選抜を経験している世代屈指の経験値を持つチームだ。
國學院栃木は作新学院の11連覇を阻んで出場。

2年生エースの盛永は中学生時代から注目されてきた本格派右腕で制球力もある。打線も要所で長打を打つ力があり、盛永が相手打線を3点以内に抑えられれば上位進出もある。
地方大会で燃え尽きていなければおもしろい。

九州学院と帝京五もコロナの感染者が多く出ているとのこと。
帝京五は打線が振れている。九州学院はヤクルト村上の弟・村上慶太がいて注目度は高い。2年生エースの直江の仕上がりがよく、チームの状態が万全ならば智弁和歌山にも対抗できる。

Eブロック

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各校の実力が拮抗していて悩ましいブロック。継投策を駆使するチームが多いのが特徴か。

実績を考えれば本命は京都国際のはずだった。
しかしながら左の森下瑠大、右の平野の二枚看板が不調なのは厳しい。2人とも打線の核でもあるので、打で援護したい。
地方大会で彼らの代わりに投手陣を支えた森田、松岡の踏ん張りに期待。
まずは県大会10ホーマーの一関学院打線を抑え込むことができるか。

明豊は例年通りの強力打線で勝負。川崎監督も気合いが入っていることだろう。
八戸学院光星も明豊にカラーが似たチーム。洗平兄弟を中心にした投手陣を打で援護したい。

愛工大名電は左腕・有馬を軸とした継投の質が高い。野手も伊藤、藤山などタレント揃い。
…なのだが夏の甲子園で勝てるイメージがないのが不安材料。

星稜は投手陣にタレントが揃っていて、カットボールが武器の3年生・マーガード、強いストレートを投げ込める2年生・武内の両右腕に加え、中学時代から名を馳せていた1年生左腕・佐宗が加わり厚みが増した。
春から夏にかけて監督が二度代わって、チームに動揺がなければいいなと。

大エース1枚で戦う高校は樹徳と創志学園。ともにエースの右肩に託すチーム。
樹徳の亀井はストレートで押せるすばらしいピッチャーで、前橋育英、桐生第一、健大高崎を連破した実力は本物。
創志学園は岡村。サイドスローから140km台のストレートをコーナーにズバッと決める。スライダーとのコンビネーションはハマると手がつけられない。長澤監督の花道を飾れるか。
2チームとも打線の振りもすばらしく、とはいえベスト8までの3戦を耐え切れるかどうかがやや不安。

…いろいろと考えると京都国際の不安材料がぼやけてきた。
春はコロナで辞退もあったし、主力の退部や不調もあった。その上で激戦区を勝ち抜いて甲子園まで来たことを評価して、京都国際を本命に推す。

Fブロック

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本命は山梨学院。山梨出身なので願望込み、故郷応援枠だがベスト8に進んでもおかしくない実力はある。
今の3年生、2年生ともにリクルートに成功した世代。切込隊長の鈴木が塁に出て、中軸の岩田、高橋、相澤が返すだけでなく、下位打線にも力があり得点パターンは多い。
課題は毎年になるが投手陣。例年とは違い榎谷という大エースがいるのだが、その榎谷が不調なのは痛い。
榎谷、山田、川口、山王の右腕勢の中から調子のいい投手で継投してしのぎたい。
春にユニフォームを新調したが、この夏、帽子も白を基調にしたものに変えた。それも夏の暑さ対策が理由だという。

全ては夏の勝利のため。戦力はあるはずなので、結果に拘ってもらいたい。

しかし初戦の天理は高い壁となる。
右サイドから力のあるストレートを投げ込んでくる南沢は攻略が難しい。体力十分の初戦で当たりたくはなかった。
戸井、内藤といった野手のタレントも健在で、山梨学院との一戦は好勝負になるだろう。

鶴岡東は毎年夏に打線を仕上げてくるチーム。投手もやはり異なるタイプを揃えてきた。ベスト8に勝ち進んでも何も驚かないチーム。
ここ10年ほどの山形県勢のレベルアップも著しい。今回も大物食いを狙う。
盈進は機動力でかき回し、点の取り合いで負けないようにしたい。

海星はダークホースの一角で、展開次第では上位進出が狙える。
宮原、向井の二枚看板は強力で、森、丸本、田川ら中軸の打撃力も確か。
近年長崎県勢はレベルアップしており、どの高校が出ても一定以上の結果を残せる。今年の夏も旋風が期待できるチームだ。
日本文理は今年も田中晴也が健在。投打に存在感を示している。
田中以外の投手の活躍と打線の援護で田中の負担をなるべく減らしてあげたい。鍵を握るのは2年生の高橋だ。

そして何と言っても近江×鳴門は初戦屈指の好カード。ここは鳴門の優位を予想したい。
鳴門の冨田遼哉は大会屈指の左腕。選抜では練習試合が組めない状況の中、負けはしたものの大阪桐蔭打線を3点に封じた。
今大会も森脇監督がベンチ入りできないというハンデがあり、またしてもくじ運悪く近江を引いてしまったが、冨田の快投と前田、藤中らの活躍により勝利をつかむと予想。
今年の徳島県はレベルが高かった。その代表校として上位進出を狙う。

選抜準優勝の近江の中心に君臨するのはエース兼4番の山田陽翔
打線は相変わらず強力で、とくに内野手の津田、中瀬、横田の並びは大会屈指。
ただ投の部分で山田への依存度が高く、山田以外の投手が奮起しないと、夏の上位進出は難しいように思う。
2018年の金足農業戦の敗戦以降、主人公のような雰囲気が出てきた。今年の夏も球場の空気を近江ブルーに染められるか。
初戦の冨田×山田が楽しみすぎる。

Gブロック

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沖縄大会を見て確信したのは、今年の興南打線は仕上がっているということ。
春夏連覇した年とは言わないが、ベスト8に進出した2015年よりも上ではないかと考えている。禰覇、盛島の中軸のスイングは必見。
投手陣も右の安座間、左の平山が試合をつくり、エース右腕・生盛がキレキレのストレートで試合を締める。沖縄大会準決勝、サヨナラのピンチからの生盛の三者連続三振にはしびれた。
8校中甲子園の優勝経験校が5校というタフなブロックだが、投打に充実気配の興南のベスト8進出を予想する。

初戦で興南と対戦する市船橋も森本ツインズがいる好チーム。
兄の哲太はセンターとして、弟の哲星はエース左腕として、投打の軸を担う。
応援曲「市船ソウル」を題材にした映画も公開されるなど、取り巻く環境を追い風にしたい。

敦賀気比×高岡商は打ち合い必至。北信越の実績や県レベルを考えるとやや気比に分があるか。
気比の上加世田は旧チームから主軸として活躍している選手。投打に活躍が期待できる。

残りの4校もベスト8に勝ち上がってきても不思議ではない力を持つ。
日大三は個人的に評価してきた東海大菅生を破っての甲子園出場。
打線の振りが鋭く、二桁安打は当たり前のように打つ。投手は左腕の松藤を軸に継投でしのぐ。
聖光学院は勝負年。昨年夏の甲子園の連続出場が止まり、心機一転力のあるチームをつくってきた。
右の佐山、左の小林の2枚で3点以内に抑えることができれば接戦を制すことができる。

横浜と三重はともに2年連続出場。
横浜は下級生が多いチーム。杉山、鈴木の左右の好投手、昨年1年生ながら甲子園でサヨナラホームランを放った1番ショートの緒方、神奈川大会決勝でサヨナラ打を放ったセンターの萩など、2年生がセンターラインを固める。1年生にも好素材が多く、来年以降も楽しみなチーム。
三重は旧チームから投げていた上山、谷の両右腕がそのまま残っている。とくに上山は昨年の甲子園でも完封勝利を挙げており、経験値は世代上位。
打線が6点以上取れば勝利を手繰り寄せることができるだろう。

Hブロック

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大阪桐蔭が盤石。秋春の全国大会を制しており、今大会も優勝候補の最右翼。当然各校はマークしており、さしづめ大阪桐蔭対残り48校といった情勢だ。
投手陣本格派右腕の川原・別所と2年生左腕の前田で三本柱を形成。2年生右腕の南も仕上げてきており死角はない。
とくに前田は140kmのキレのあるストレートを軸に、左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップといった変化球を精度高く投げ込んでくる。1つ上の学年を含めてもトップの投手かもしれないくらい完成度が高く、出てきたら得点はほとんど期待できない。

打線も捕手の松尾を筆頭に打ちまくる。誰がというよりはチームとして打ちまくる。
大阪大会決勝、履正社を7-0で下した試合を見てしまうと、高確率で優勝しそうだなあと思ってしまう。

そんな桐蔭と初戦で対戦するのは、クラーク記念国際を破って甲子園に出場してきた旭川大高。
140km台のストレートを投げ込める池田と山保の踏ん張りで接戦に持ち込みたい。

聖望学園は右の岡部、左の東山を堅い守りで盛り立てる。岡部の縦のスライダーと制球力は一見の価値あり。
能代松陽はエースの三浦が最少失点で凌いでいるうちに援護をしたい。

二松学舎大付は春までのエース・布施が不調のようだが、代わりに辻、重川が台頭してカバーした。
打線はこれまでの主軸の親富祖、瀬谷に加え、1年生の片井が加わり破壊力を増した。
対する札幌大谷はダークホース候補。今年の南北海道大会は投手のレベルが高かったが、苫小牧中央の斉藤、知内の坂本などドラフト候補を打ち込んで甲子園に勝ち進んできた。
投手は左腕の森谷が軸。やや荒れ球なのだがそれが功を奏して、相手からするとボールを絞りづらくなっている。

県岐阜商×社の公立校同士の一戦も楽しみ。
鍛冶舎監督率いる県岐阜商は経験値で上回るが、コロナの影響で10人のメンバーを入れ替えることになったのは不安。
社はこれまであと一歩のところで夏の甲子園を逃し続けてきたが、選抜ベスト4に入ったこともあり、多数プロ野球選手も輩出している強豪校。
投手陣は公立校とは思えない層の厚さで、芝本、堀田の右腕二枚看板の他にも、実力のある投手が3人いる。計5人の強力投手陣を鍛えあげられた守備陣で支えるチームカラー。投手を含めたディフェンス力に注目したい。

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