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観戦記⑭

久しぶりに観戦した試合の感想を書いてみた。
プリンスリーグ関東1部第9節、ヴァンフォーレ甲府U18対東京ヴェルディユースの一戦。
熾烈な関東予選を突破し、クラブユース選手権本大会出場を決めた甲府U18の実力はいかに。
一方の東京Vユースはクラブユース選手権の出場権は確保出来ず。
山本丈偉選手と川村楽人選手がU17日本代表に選ばれているため不在の中、名門には他にどんなタレントがいるのか。
ここから何人のJリーガーが出てくるかも楽しみだ。

1.スタメン

甲府
1髙橋 黎光【ヴァンフォーレ甲府U15】3年
2佐藤 柚太【名古屋グランパスU15】3年
5馬塲 哲史【クマガヤSC】3年
6新堀 翼【東急SレイエスFC】3年
→20望月 隼汰【ヴァンフォーレ甲府U15】2年
8中村 瑠志【ヴァンフォーレ甲府U15】3年
9髙橋 利帆【大森FC U15】3年
15三藤 龍恩【ヴァンフォーレ甲府U15】3年
16横森 日々生【ヴァンフォーレ甲府U15】2年
17保坂 知希【アメージングアカデミー】2年
→7佐藤 晟樹【ヴァンフォーレ甲府U15】3年
18大倉 彪真【ヴァンフォーレ甲府U15】2年
→19濱野 哉太【ヴァンフォーレ甲府U15】2年
25小俣 陽矢【ヴァンフォーレ甲府U15】2年
→23伴野 雅空【アメージングアカデミー】2年

東京V
1磐井 稜真【FC GONA】3年
2石川 遥翔【東京ヴェルディジュニアユース】3年
→15坂巻 悠月【東京ヴェルディジュニアユース】2年
4川口 和也【東京ヴェルディジュニアユース】2年
5栗原 大【東京ヴェルディジュニアユース】3年
6池ヶ谷 悠【東京ヴェルディジュニアユース】3年
→20坂井 倖大【東京ヴェルディジュニアユース】1年
8井上 寛都【東京ヴェルディジュニアユース】2年
→7半場 朔人【東京ヴェルディジュニアユース】2年
9白井 亮丞【東京ヴェルディジュニアユース】3年
14粕谷 晴輝【東京ヴェルディジュニアユース】2年
21仲山 獅恩【東京ヴェルディジュニアユース】1年
32寺村 智晴【FCトリプレッタ渋谷】1年
→22浅岡 祐輝【東京ヴェルディジュニアユース】2年
34今井 健人【東京ヴェルディジュニアユース】1年
→28今井 宏亮【東京ヴェルディジュニアユース】1年

2.試合展開

甲府U18のキックオフで始まった一戦。
最初にチャンスを作ったのは甲府U18。
4分に背後へ抜け出した髙橋利帆選手がシュートを放つもポストに阻まれる。
共にボール保持に力を入れているチーム同士の一戦は立ち上がり、アンカーの新堀選手を中心にテンポ良くボールを動かす甲府U18がボールを保持して押し込む流れとなる。
選手間の距離も良くパススピードも速い甲府U18に対して、東京Vユースは取り所が定まらない。
劣勢の立ち上がりとなった東京Vユースは11分に白井選手が中央で溜めを作り、今井健人選手から駆け上がった石川選手へ。
石川選手の放ったミドルは枠の上へと外れる。
東京Vユースはサイドを幅広く取り、背後を伺おうとするが出し手と受け手のタイミングが合わない場面が続く。
それでも最初の決定機は東京Vユース。
15分に右からのクロスにブラインドとなったが髙橋黎光選手ボールを溢すと仲山選手が詰めるもゴールライン上で甲府U18がクリアし、得点とはならない。
東京Vユースは20分にDFラインからのロングボールに抜け出した白井選手が個人技でシュートを放つも枠の上へと外れてしまう。
東京Vユースは22分にFKのチャンス。
白井選手の放ったキックは壁に当たり、髙橋黎光選手の正面へ。
徐々に甲府U18のボール回しに慣れてきた東京Vユースのペースとなる。
26分にも東京Vユースに決定機。
粕谷選手のスルーパスに抜け出した白井選手がシュートを放つも髙橋黎光選手が防ぐ。
甲府U18は33分に右寄りから新堀選手がクロスを入れるとこぼれ球を拾った髙橋利帆選手がミドルシュートを放つも枠の上へと外れる。
甲府U18は38分、右サイドを抜け出した髙橋利帆選手のクロスに保坂選手が合わせるも上手くミート出来ず、磐井選手を脅かすまでには至らず。
すると42分に東京Vユースが先制に成功する。
右サイドからのCKが流れた所を拾った寺村選手が突破からクロスを上げると攻め残っていた栗原選手が合わせて、東京Vユースが先手を取る。
このまま東京Vユースが1点リードで前半を終える。
ハーフタイムに甲府U18が2人の交代を行う。
新堀選手と小俣選手に代えて望月選手と伴野選手を投入する。
これにより横森選手をアンカー、望月選手をインサイドハーフに置く形となる。
後半最初にチャンスを作ったのは甲府U18。
51分に左サイドで粘ると中央で望月選手と髙橋利帆選手のパス交換から髙橋利帆選手がシュートを放つも磐井選手の正面へ。
後半、先に試合を動かしたのは東京Vユース。
59分に右からのクロスに白井選手が個人技で持ち込み左足でゴールに突き刺す。
61分には東京Vユースが再びチャンスを作る。
左サイドから寺村選手がクロスを入れると逆サイドの井上選手が頭で合わせるも枠を捉えられず。
直後の62 分、甲府が1点を返す。
左サイドからのグラウンダーのクロスに髙橋利帆選手がヒールで落とすと望月選手から右サイドの大倉選手へ。
大倉選手がゴール前に丁寧に流し込むと中村選手が右足で合わせる。
ボールも人も連動した見事なゴールであった。
すると63分には押し込む甲府がPKを獲得。
左サイドから保坂選手が思い切って打ったシュートがDFの手に当たりPKとなる。
キッカーは髙橋利帆選手も磐井選手が防ぐ。
66分には東京Vユースのカウンターを止めた横森選手にイエロー。
東京Vユースは69分、右からのFKのこぼれに今井健人選手がミドルを放つも髙橋黎光選手が防ぐ。
飲水タイム明けの71分、東京Vユースは石川選手に代えて坂巻選手を投入する。
76分に甲府U18は保坂選手と大倉選手に代えて濱野選手と佐藤晟樹選手を投入。
83分、甲府U18は左サイドから背後へ抜け出た髙橋利帆選手が強引にシュートへ持ち込むも磐井選手が防ぐ。
東京Vユースは今井健人選手と井上選手に代えて今井宏亮選手と半場選手を投入。
続けて東京Vユースは寺村選手と池ヶ谷選手に代えて浅岡選手と坂井選手を投入する。
89分に東京Vユースが突き放すゴールを決める。
中央でこぼれを拾った白井選手からのラストパスを仲山選手が流し込みリードを2点に広げる。
92分には東京Vユースが4点目をあげる。
白井選手からの横パスを受けた半場選手が左足でミドルシュートを沈める。
結果的に個の質で上回った東京Vユースの完勝となった。

3.注目選手

ヴァンフォーレ甲府U18

2佐藤 柚太
甲府の選手で最もトップチーム昇格に近い選手では無いだろうか。
スピードがあり、カバー範囲が広く、一対一の対応にも優れたCB。
ビルドアップも上手く、ボールを奪った勢いそのままに相手ゴールに迫ることも。
攻撃でも貢献出来る選手だ。
CBだけでなくSBでも高いパフォーマンスを期待できるだろう。
個人的には3バックの一角で見てみたい。
昨シーズンの須貝英大選手のようなプレーが見られそうだ。
トップチームが現状、SBが足りていない状況なだけに練習参加や二種登録に期待したい。

6新堀 翼
残念ながら前半で交代となったが、立ち上がり甲府U18がリズムを掴んだのは新堀選手のゲームメイクにあった。
左右両足からゲームを作れ、メトロノームのようにチームにリズムを与えるアンカー。
プレッシャーを掛けられても焦ることは無く、冷静に相手をいなすことも出来る。
攻守共に立ち位置が良く、常に味方の見える位置にポジションを取りサポートする。
一方で、球際の強度や勝負パスが少なかった印象を受けた。
より厳しい全国の舞台では、球際のバトルを求められることも増えるはずだ。
また、高い技術力とパスセンスを考えれば前線に積極的にクサビを打ち込んだり、低い位置からでもシュートに繋がるパスも出せる選手だと思うだけに今後の成長が楽しみだ。
個人的に好きな選手なので、また見てみたいと感じた。

8中村 瑠志
豊富な運動量を誇るアタッカー。
攻守共に常にボールに絡み続けていた。
ピッチに何人もいるのでは?と感じさせられる程の運動量。
それも90分通して運動量は落ちず。
ボールを持っていても高い技術力を発揮するが、中村選手の価値はボールが無い時の動き。
動き出しの質が高く、相手を困らせる動きやスペースを狙うことが出来る。
小柄な選手だが、サッカーは身長や身体能力だけで勝負する競技では無いなと改めて感じた。
ヴァンフォーレにも所属していた羽生直剛氏のように運動量だけでなく、ゴールに絡めるタイプであり、活躍出来るチームを選ぶかもしれないが甲府U18には間違いなくフィットしている。

9髙橋 利帆
まさにフィジカルモンスター。
見るからに圧倒的なフィジカルを備えた体のシルエット。
ラガーマンかと思うような見た目は迫力がある。
ボール保持をベースとする甲府U18のサッカーに対しては異端な存在。
高橋選手にとっては前線に蹴り込んでくるチームの方が自身の良さを発揮しやすいかなとは感じた。
足元の繊細さが増したら、上のカテゴリーでも活躍するポテンシャルは持った選手だ。
現在は京都サンガFCに所属するパトリック選手のような選手で、フィジカルは強いが相手を背負って真価を発揮するタイプというよりはスペースに走り込ませるとDF側としては厄介な存在。
パトリック選手同様にスピードもあるため、全国の舞台で劣勢な展開を強いられるようなら高橋選手の価値が増す可能性もあるだろう。

東京ヴェルディユース

2石川 遥翔
攻め上がるタイミングや感覚に優れた右SB。
ただ攻め上がるだけでなく、クロスやシュートと攻撃を完結させることも魅力だ。
そして、その質も高くゴールに絡める攻撃的なSB。
ヴェルディ産らしく、足元の技術も巧みでビルドアップでも貢献出来る。
ビルドアップ時にCBのサポートだけでなく、内にポジションを取り中盤の選手をサポートすることも可能だろう。
ヴェルディ出身のSBでは、現在アスルクラロ沼津に所属する安在達弥選手に近いタイプと感じた。
直接トップチーム昇格というよりは安在選手同様に大学経由でヴェルディに戻ることを期待したい。

9白井 亮丞
今回、最大の発見は白井選手。
何でもこなせる万能型ストライカー。
トップチームは2年連続で鹿島アントラーズから染野唯月選手を期限付き移籍で獲得したが、ユースにネクスト染野がいる。
ヴェルディ産らしく足元の技術は高い。
高さがあり、ポイントを作れる選手ながら背後への抜け出しもある

左右両足使えて味方を活かすことも自ら局面打開も出来る。
そしてFKまで蹴れる。
何でも出来るタレントだが、守備の強度や運動量は大学やプロのレベルに入った時に足りていないと感じた。
反面、ここを伸ばすことが出来れば上のレベルでも充分通用する選手かと思う。
今のヴェルディは城福浩監督のスタイル、フロントの強化方針共に強度を重視しているだけに白井選手が持つ課題はそのままトップチームが求めているものという難しさはあるが白井選手が逸材であることは間違いない。

14粕谷 晴輝
ヴェルディらしいテクニックに優れたプレーメーカー。
縦パスを出す感覚と精度、質に優れている。
全体のバランスを取るのも上手く、周りを活かす術にも長けている。
Wボランチの一角としてプレーしていたが、アンカーやトップ下もこなせるように感じた。
テクニックやパスセンスに優れているだけでなく、運動量もありトップチームの梶川諒太選手みたいになれるのではないか。
白井選手同様、トップチームが求める強度に達することが出来ればヴェルディのトップチームで活躍する粕谷選手を将来見ることは出来そうだ。

34今井 健人
1年生ながらスタメン出場を果たしたボランチ。
先を読めるタイプの選手であり、攻守共に読みの良さを見せていた。
パスを出す感覚や攻めに出ていくタイミングが良く、アクセントを加えられる存在。
相方の粕谷選手が背後でコントロールしていたこともあり、自由にプレー出来ていた側面はあるものの今後が楽しみな存在だ。
今後、大胆さやゴールに迫るプレーが増えてくると恐い選手になれるだろう。

4.まとめ

両チーム共に好感を持てるチームだった。
ボールを大事にする競技面はもちろんのこと、倒れている選手に対して謝るよう伝える声がピッチ内から出たり、ベンチからも選手を咎めるような声が飛ぶことは無かった。
ヴェルディ側からはベンチを綺麗にしよう。
といった声が試合前に聞こえてきたりと育成年代としてきちんと指導しているチーム同士なのだなと感じた。
内田一夫監督、藪田光教監督の指導は今後も楽しみである。

クラブユース選手権に向けて弾みを付ける勝利を挙げられなかったことは残念だが、課題が見つかったことは良かったのではないか。
内田監督がここからどのようにチームを作り上げていくか楽しみだ。
クラブユース選手権での躍進に期待したい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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