新戦力紹介⑬
2022シーズンも残り、15試合となったが6月より練習に参加していたフォゲッチ選手の加入が7/22に決まったため紹介したいと思う。
1.経歴
フォゲッチ選手は1996年生まれのブラジル国籍のDFとなる。
正式な名前はカブラル コスタ ウェリントン。
フォゲッチとはポルトガル語でロケットの意味を持ち、いわゆるあだ名となる。
身長は166㎝、体重は69キロと小柄な選手となる。
フォゲッチ選手は昨シーズンまでJ3の鹿児島ユナイテッドFCでプレーしていたが、それ以前のキャリア含めて紹介していきたい。
まずは過去所属したクラブと出場歴を表にしてみた。
ブラジルの名門ヴァスコ・ダ・ガマとサンパウロFCの下部組織で育ったフォゲッチ選手。
ヴァスコ・ダ・ガマの下部組織に所属していた2011年にはU15ブラジル代表に選出。
サンパウロFCに移籍後、2013年にはU17ブラジル代表に選出と若くして期待されていた選手であった。
2016年からはサンパウロFC U23に籍を移すが出番に恵まれず、レンタル移籍を繰り返すこととなる。
翌年にはセリエB(2部リーグ)のヴィラ・ノヴァへと移籍。
リーグ戦では6試合中、2試合に出場。
その後は全国選手権での出場は無く、州選手権での活躍が主になる。
ヴィラ・ノヴァFCではゴイアス州の州選手権、2018年には移籍したECサント・アンドレではサンパウロ州、2019年にはFCカスカヴェウでパラナ州の州選手権でプレーした。
2020年からは鹿児島ユナイテッドFCに移籍し、Jリーグでのプレーを開始する。
鹿児島では2シーズンプレーするも2021シーズンをもって契約満了となり、所属クラブが無い状態で甲府に練習参加し契約することとなった。
2.特徴
起用が想定されるポジションは右のWBとなる。
ブラジル時代には左SBでもプレーしていたようだが、鹿児島では右SBでプレーしており、日本では左サイドでの経験は無いため甲府でも右サイドでの起用が見込まれる。
プレーの特徴としては精度の高いクロスと攻撃の起点となるパスが出せるアタッカータイプの選手となる。
サイドからのクロスを攻撃の軸に置く甲府のスタイルにはフィットするのではないか。
特に右サイドからはクロスの質を欠く場面が見られてきただけにフォゲッチ選手の加入は理にかなっていると言える。
フォゲッチ選手のクロスは種類も豊富で精度も高いのが特徴となる。
このようにDFの頭を越して曲げて落とすボールを蹴ることも出来れば速いクロスをピンポイントで合わせることもできる。
以下のようにグラウンダーのクロスから相手の目先をズラすクロスも蹴ることができる。
また、フォゲッチ選手はキックの精度の高さを活かして攻撃の起点となるプレーもこなすことができる。
サイドチェンジの質もフォゲッチ選手のキック精度を考えると高いだろう。
また、スルーパスから得点チャンスを演出することができる。
フォゲッチ選手のスルーパスからリラ選手や宮崎純真選手が裏に抜けていく形は見られそうだ。
自分でゴールを狙えるのもフォゲッチ選手の良さでもある。
このように強烈なミドルシュートも併せ持っている。
また、クラブのフォゲッチ選手の紹介映像からもシュートの上手さは伺える。
フォゲッチ選手の魅力は紹介したようにキックの精度を活かした攻撃面にある。
一方で課題となるのが守備面。
試合映像を改めて見返しているわけではなく、ハイライトによる印象となってしまうが積極的な攻め上がりを見せる一方で自身の背後を空けてしまうこと、ポジション取りの遅さ、ボールウォッチャーになる傾向、一対一の対応、空中戦に課題があるように感じた。
まずは一つ目の背後を空けてしまうこと。
フォゲッチ選手は攻撃面に特徴がある選手のため、積極的な攻撃参加による弊害も出てくる。
このように背後に大きなスペースが出来やすくなるため、CBの選手の対応も重要となる。
二つ目がポジション取りの遅さ。
背後を空けてしまった後の対応にも繋がるところはあるが、戻るべき場所がわからない印象を映像からは感じた。
この場面ではボールが逆サイドに動くのに合わせ、内に絞らなければいけないが反応が遅れているのがわかる。
失点の直接的な要因では無いが、どこにいつ戻るのかが定まっていないように感じる。
三つ目がボールウォッチャーになりがちな点。
この場面でもボールが逆サイドに動く段階でボールだけを追い掛けているのがわかる。
続いて見ていただきたいのがこちら。
DFとしてこの場面でやるべき作業はボールと背後の選手を認知すること。
体の向きもボール方向しか向いておらず、背後の選手を認知するために首を振っているわけでもない。
即ち、パスが出る瞬間フォゲッチ選手が理解できているのはどこにボールが出てきたかのみとなっている。
パスが足元に出たため、ボールを受けた選手が直接ゴールに向かうことは無かったが頭を超えるパスが出ていれば直接ゴールに繋がるプレーとなっていたかもしれない。
四つ目が一対一の対応。
フォゲッチ選手は一対一の対応の際に両足が揃う傾向が映像からは感じられた。
最終的に半身となり、対応しているものの最初は両足が揃いながら下がっていることがわかる。
両足が揃った状態での対応だと相手を誘導する方向が決まらず、抜かれても対応が後手となってしまう。
また、ドリブルを仕掛ける側としてはどの方向にも仕掛けられるため優位となりやすい。
五つ目がハイボールの対応。
身長が小さな選手のため、狙われてしまうと穴となる。
この場面はCKの流れの中からとはいえ、高さのある選手には上から叩かれてしまう。
そのため、左サイドからは自由にクロスを上げさせるシチュエーションは避けなくてはいけない。
このように守備には多くの課題があるように感じるが4バックを採用していた鹿児島とは違い、甲府ではより高い位置での起用が見込まれるため守備面の弱さよりも攻撃面の強みが出やすいのではないだろうか。
それでも守備の弱さが全面に出てしまうのであれば途中交代から流れを変える切り札的な起用も充分考えられる。
また、フォゲッチ選手の獲得によりWBでの起用が多くなっていた中山陸選手を中央で起用できることもプラスとなりそうだ。
フォゲッチ選手の良さも出しやすく甲府の課題も解消できるため、この補強は良いものとなるのではないか。
3.最後に
個人的にJ3の試合を見る中で好きな選手であり、J2の舞台でも通用する実力を持った選手だなと感じていた。
複数のブラジル人選手が練習に参加していると聞いた際にフォゲッチ選手は獲得を前提にしたものではないかとも考えていた。
多くの方はCBやFWの獲得の方が重要と考えているはずだが、サイドのアタッカーも不足していると考えると補強としては悪くないものではないかと思う。
現状の戦い方から考えるとサイドからのクロスの質が上がれば得点の確率は上がる可能性はあるだけにフォゲッチ選手の存在は得点力不足解消のきっかけとなるのではないだろうか。
怪我の多い選手という認識でいたが発表されている怪我は鹿児島加入1年目に負った全治6ヶ月の怪我のみであった。
そのため、怪我の多さは心配は無さそうだが現在は別メニューで調整中とのこと。
1日も早い復帰を果たし、チームの巻き返しに一役買って欲しい。
期待して良い選手かと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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