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『ものぐさ精神分析』を読んで


『ものぐさ精神分析』岸田秀著。1992年。青土社。
をこの度読みました。

もとは1977年に出版された名著。
フロイト心理学をもとに日本の敗戦とアメリカの虐殺を
精神分裂病として華麗に暴き出す、危険な名著。

日本において最も重要な戦後左派論者としては丸山眞男、吉本隆明という二大巨頭がある(と私は思います)のですが、岸田氏は後者に影響を受けているとみられる。
でも吉本隆明氏の『共同幻想論』を未読でも理解できるし楽しめます。

この本は随筆集なのでどこ辺りから読んでもだいたい面白い。
中にはそれはただ岸田先生の勝手な妄想ですよね、というようなところもあるけれども。
オススメの章は二つある。
①「歴史について」
②「自己について」

「歴史については」上に述べた通り、精神分裂病として
外的自己(おりこうさん
と内的自己(ほんとのわたし
に引き裂かれた国がやがて暴走せざるを得ないことを予見する危険な章。

一番グサっとくるのが「自己について」という章。この本の後半にある。
心えぐられる気持ちになる。
ここあたりが
人の心のグロいところ、
悪辣なところ、
ズケズケしいところに踏み込む精神分析の本髄。
この手法でもって太宰治を斬る太宰批評も見どころ。

ところで岡田斗司夫さんという方がいる。
知っている人は知っている。最近はユーチューブでジブリやらアニメやらの解説なんかをしているのを時々見ます。

「岸田秀という人がいたんですけれども」という言葉が動画の中で出てきたので、岡田斗司夫さんにも影響を与えている。彼のお喋りを聴いているとなんだかそんな気がする。






Susanne Jutzeler, Schweiz 🇨🇭 💕Thanks for LikesによるPixabayからの画像


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