積み木の崩れた瞬間
小説を読んでいると、自然に頭の中に情景が浮かんでくる。登場人物が生き生きと動き、漫画のように表情がころころ変わり、まるで映像を見ているかのよう。
起承転結。物語はジェットコースターの如く上昇や急降下をし、最後には停止する。その本も、同じだと思っていた。
『イニシエーションラブ』乾くるみ 著
合コンで出会ったヒロインとの、出会いから別れを描いた恋愛小説。
…のような何か。
何故そんな言い方をするのか。
積み木がガラガラと崩れたからだ。
ストーリーを読んでいくと、脳内で世界が積み上がっていく。物語の中の出来事一つ一つがブロックになって、柱になって、大きな構造物になる。それがストーリーが終わるまで続いて、完成されるのを待っていた。
ラストから2行目を読むまでは。
自分は一体何を読んでいた?何を知ったつもりになっていた?
これは、何だ?
その瞬間だった。積み木が崩れたのは。
おわり。
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