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ストレス対処のコツ②丨自分の「心の癖」を知る

ストレッサーに直面して、あなたの中で起きること

そこには「認知」が深く関わっています。心理学者のラザルスが提唱し、今日のストレス研究の礎となったともいえるモデルです。人がストレスを感じ、対処行動をとるまでの過程には2段階の認知評価が介在するとされます。

認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念です。心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して認知と呼ばれるようになりました。
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット
最終閲覧日:2021/02/25


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ある刺激(ストレッサー候補)が生じてからの流れを追っていきましょう。体重 60kgの犬の激しい吠え声が聞こえてきた場面を想像してみてください。デカイ!!ヤベェ!!

このケースは厳密には心理的ストレスではありませんが、動物病院スタッフに想像してもらいやすいかと思い例にあげています

最初の認知評価

最初の認知評価は刺激(犬の吠え声)に対して行われ、刺激が自分にとって「無関係」なのか、「無害ー肯定的(害がないか、好ましい)」なのか、「ストレスフル」なのかを評価します。


犬が道路のトラックに向かって吠えていたら…「無関係」と評価するでしょう。また「遊んでよー」という表情で吠えていたら「無害ー肯定的(害がないか、好ましい)」と評価するはず。このとき、ストレス反応は生じません。「どうでもいいこと」、「好ましいこと」にはストレスは生じないのです。

一方で、その犬が耳を伏せ、歯をむき出し、あなたをじっと見つめながら、ついでにノーリードで吠えていたら「ストレスフル」と評価するでしょう。


ストレス反応のひとつ、いわゆる「闘争か逃走反応」が起きます。心臓がバクバクと鳴り、いつ飛びかかってこられてもいいように身構えます。じわりと汗が流れる中で、2回目の認知的評価が続けて行われます。


2回目の認知評価

ストレッサーとなっていることがらに対して、「自分はこのストレッサーに対処できるかどうか」が評価されます。評価のポイントは主に以下の2つです。

■ どう対処するのが適切なのか


■ 適切な対処法がみつかったとして、その方法を実行できるかどうか


これらを評価した結果、「対処できそう」と評価した場合にはストレス反応は和らぎます。反対に、「対処できない」と評価した場合にはストレス反応は増大します。

先程の吠えている犬の例を続ければ。飼い主がなだめれば犬が落ち着くことをあなたは知っていて、かつ飼い主がすぐ近くにいればストレス反応は和らぎます。心拍数は落ち着き、「おぉー、びっくりしちゃいましたよ」と照れ笑いさえ浮かべるかもしれません。


一方で、あなたが飼い主が犬をコントロールできることを知らなかったり、知っていても飼い主がそばにいなかったりした時には。「体重 60kgの犬に攻撃されたら対処できない」…と判断し、ストレス反応は増大。心拍数はさらにあがり、瞳孔は大きく開き、より激しい不安と恐怖が襲ってきます。


心理的ストレスに対処する方法は「コーピング」と呼ばれており、いくつかの種類にわけられます。コーピングについての知識を増やすと、ストレス反応に適切に対処しやすくなります。

「飼い主に犬を落ち着けてもらう」以外に、吠えている犬の大好きなおやつを知っていたりと他の選択肢があるほうが対処できる可能性はあがりますね。

コーピングの詳細は次回の記事で!


ラザルスのモデルから何を言いたかったか

ある刺激を受けて、ストレスを感じるかどうかには「認知」が深く関わっています。そして、僕らの「認知」には性格、気質、社会文化慣習などのさまざまな要素が影響しています。特に幼少期からの人生経験の中で培ってきた信念、価値観、人生観、学習経験などによってつくられる「認知の癖」は大きな影響を与えています。「思い込み」とも言い換えられるでしょう。


人間の「認知」には必ず癖がついている、ともいえます。


なにを「ストレスフル」と認知するかには癖がある。


対処できるかどうか、どう対処するかを判断するにも癖がついている。


自分自身の「認知の(心の)癖」、思い浮かびますか?


自分のストレス反応に気づいた時には、自分自身の認知の癖によって客観的には受ける必要のないストレスを背負い込んでいないか、必要以上にストレス反応を増大させていないかどうか、そっと振り返ることが大切です。


認知行動療法という分野では、認知の癖のうち非合理的で不快な感情を呼び起こしやすいものを「認知のゆがみ(推論の誤り)」と呼びます。「ゆがみ」が全くない人間はおらず、多かれ少なかれ誰しもが持っているものです。「ゆがみ」自体に善も悪もありません。しかし「ゆがみ」がつらい感情を引き起こしているのであれば、その「ゆがみ」を自覚し、対処することがすすめられます。


Action その2丨自分の「心の癖」を考えてみる

前回の記事では、「ストレスを受け止め、分析してみましょう」とお伝えしました。今度はそのストレスに自分の「心の癖」、すなわち「認知の癖」が関わっていないか振り返ってみることをおすすめします。

必ずしも、いま抱えているすべてのストレスについて振り返る必要はないと僕は思います。最も感情を揺さぶってくるものだけとりあえず振り返ってみる。それがツラいと感じるようであれば、じっくり見つめても負担にならないものからまず始めるのもよいと思います。ささいなストレスに思えているものでも、よくよく見つめてみると自分の認知の癖を発見することが少なくありません。


「目玉焼きにソースがついてきた!イラッ!」
「目玉焼きには醤油でなければならない!」という「癖」があるかもしれません。


頭の中だけで考えるのは、慣れないうちはかなり難しいと思われます。家族や友人に話してみたり、なにかに書き出してみたりするのもよい方法ですね。僕は夜寝る前に2~3行だけの日記を書いています。文字として自分の心の外に出すことで、自分が「認知の癖」の影響を受けていたとあとから気づくことがしばしばあります。


いきなり「認知の癖」とか言われても…という方も少なくないと思われます。前述の「認知のゆがみ」の紹介記事を作成中です。少々お待ち下さい。待ちきれない!…というかたは、「認知のゆがみ パターン」で検索してみてくださいね!



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。次回はストレス反応に対処する方法(コーピング)についての予定です。


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