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呉服屋さん怖い

意を決して向かったはいいけど、呉服屋さんの敷居は高い。デパートの上の方にあるし。滅茶苦茶高いお値段のついた着物がウインドウに飾ってあるし。他の洋服屋と違って、なんか反物だし。何で布が売られているの、お仕立てって何者?

いや、私はお客。お目当ての品と予算をお店の人に伝えて、選ぶのを手伝ってもらえばいいんだから!と自分を励ましつつ、店の前にあるお値打ち品を眺めていたら、案の定店員さんが声をかけてきてくれた。

「何かお探しですか?」と年配の女性に尋ねられ、一気に言葉を繰り出した。

「着物初心者です。着付けを勉強したくて、とりあえず一式、洗える着物と襦袢で。下着はあるんですけど、私、家族の女性陣より身長が10㎝くらい高くて家の着物が共有出来ないので!」

下着がある、というのは半分くらい嘘だった。着物専用下着は持っていない、でも別にキャミソールでもいいじゃない。だって着物用ってなっただけで、何で肌着一つがあんなに高いの?全てを店で用立てる予算は持ち合わせていない!ごめんね!? そして、それを素直に店員さんに伝える勇気は持ち合わせていないのです…。

店員さんはいい人で、あれやこれや品物を引っ張り出してきて説明してくれた。そして散々迷った末に桃色の着物と襦袢を買った。それが写真右側の着物で、15年以上経った今でも活躍中。

着物と襦袢と共に家に帰り、「やさしい着付け」という本と睨めっこしながら着付けを始めた。「七緒」という着物雑誌も読み始めた。徐々に着物が身近になり、次第に他の呉服屋さんにも行ってみるようにはなったけど、やっぱり総じて着物は割高という感覚はいつもついて回っていた。

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