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北米獣医師免許試験・備忘録3、カナダ獣医師事情

【参.カナダ獣医師事情】
2012年11月1日、家から10キロほど北に向かったところにある Bathurst Animal Clinic のオーナー、 Dr.Deji に会いました。彼は開業して14年になるナイジェリア出身の獣医師さんです。

一通り、院内を案内してもらっての私の感想は「最近の日本の動物病院と殆ど同じだな」でした。

待ち合いスペースには体重計。壁に並ぶ、ペットに関する様々なパンフレットとヒルズの処方食。。そして動物病院のマスコットなのだろう、ケージの中で暮らす2匹のチンチラ。受け付けの奥に進むと診察室が二つ、処方薬棚と血液検査機器。地下には入院用のケージ、トリミング用の浴槽、手術室、洗濯機と乾燥機、レントゲン室(デジタル式)。

何より羨ましかったのが、使いやすそうなデジタルカルテ管理システム。手書きのカルテを読み解くほど、難しい問題はこの世にはない…とまではいかないけれど、これは動物病院勤務でかなりの割合で問題になってくる部分。それが全てデジタル!素晴らしかったです。

Dr.Deji は根っから気さくな性格らしく、院内ツアーが終わると両手をパンッと合わせて「さあ、君は何が知りたい?」と聞いてくれました。私の用意していた質問は三つ。

1.カナダで獣医師の主な就職先は何か
2.オンタリオ州での獣医師免許にかかる法規制について
3.獣医師が所属する代表的な団体は何か

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1.カナダで獣医師の主な就職先は何か
カナダの獣医師は大部分が「小動物臨床」、つまりどうぶつ病院で働くお医者さんになるそうです。「大動物臨床」、牛・豚などを診察する獣医師の数は農場の大規模化に伴い減少傾向だとか。この他、公衆衛生分野と呼ばれる食肉検査に関わる獣医師、製薬会社に勤める獣医師、大学等で研究に関わる獣医師などが少数派ながらいるとのこと。この傾向は日本と変わらないなと思いました。

2.オンタリオ州での獣医師免許にかかる法規制について
Dr.Dejiはナイジェリアで獣医学を修めた獣医師です。約20年前に、私がこれから通過しようとしている過程を経験した大先輩になります。その頃はカナダの獣医師免許は統一されたものではなく、州毎に異なっていたとか。下のホワイトボードの写真*(左)は当時のシステムの複雑さを表わしています。これが彼の知っていた情報でしたが、何と私が来たために「今はどうか、実は僕も知らないんだ。ちょっと調べてみるよ」と言ってくれ、パソコンに向かうこと約5分。判明したのは、今は Canadian Veterinary Medical Association が管理する試験を通過すれば、どこの州でも獣医師として働けるという事でした。右下の写真*が、彼が書いてくれた「結論」です。
(*写真、掲載省略)

3.獣医師が所属する代表的な団体は何か
カナダの獣医師事情は州によって異なるそうです。というのも、獣医師を取り巻く法律が、州によって異なっているからという話でした。ということで獣医師団体も州毎にあるらしく、私の住むオンタリオ州で代表的な獣医師団体は Ontario Veterinary Medical Association ― そのままですね。獣医師就職情報も掲載されています。

あんまり書き足すことないなぁ、という感じです。変わったことと言えば、カナダ&アメリカの動物病院は大手会社の買収が進んでいて、個人運営の動物病院は非常に数が少なくなっています。カナダの主な動物病院会社ですが、

  1. VCA Canada - VCA Japan もあるので、馴染みがあるかもしれません。私が勤務する病院も、VCA Canada 系列です

  2. Vet Strategy 

  3. NVA Canada

  4. P3 Veterinary Partners 

…これくらいじゃないのかな。VCA Canada のデジタル化は非常に進んでいて、自宅のパソコンからカルテへのアクセスが可能です。予約を確認できるモバイルアプリあり、飼主さん向けアプリあり、オンライン予約システムあり、Live Chat システムあり、若干鬱陶しいくらいに複雑化してます。

今日は夕飯の後、少しカルテシステムにアクセスしてMDの仕事と、最近実施した猫口腔内生検結果を確認しようかなと思っています。

写真: Canadian National Exhibition 



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