2019/10月に聴いたものなど

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
昨今は「カセットテープがリバイバルの兆し」などと色々言われていますが、そもそもアナログレコードにおいても10年以上前からずっとリバイバルとか再燃とか言われ続けている気がします。実を言うと、私はカセットを再生する機器を今まで持っていませんでした。しかし私の見立てでは、カセットテープが復活したならば、次はDATだろうと思い、こないだDATのデッキを買ってしまいました。まあジャンクの中古で安く手に入るのはいいんですが、しかしテープが高い…。ただまあ、ちょっと気が早すぎたようで、まだまだDATのリバイバルは来なさそうな予感がするので、順番が前後しているような気がするけど、とうとうカセットを聴ける機械を入手することにしました。で、買ったのがTascamの4トラックMTR。しかし買ってから気づいたけど、こいつはハイポジションのテープしか対応してないんですね。でもまあ、テープの再生速度を自由にいじったりできるので、Vaporwaveを作るのにはもってこいかもしれない。

Mega Drive - 199XAD

Darksynthを代表するアーティストの一人、Mega Drive。2014年にリリースしたアルバム「198XAD」は、Hotline Miami2のサントラに提供した楽曲も含んだ、Darksynthの名盤の一つだが、今回はその続編といえるタイトルを満を持してリリース。一聴して「これはMega Driveの音だ」と認識できるサウンド。他のDarksynthのアーティストと比べると、わりと独自の作風というか、Mega Drive節のようなものを持っているのだが、言葉で表現するのが難しいな。「Mega Driveっぽい」としか言いようがない。なかなかレビューを書く上での語彙が少なくて恐縮ですが、そもそもDarksynthをレビューするための語彙というのがあまり世の中に存在していないような気がする。しいて言えば、呪術的というか、なんか情念的な渦巻くような表現が特徴だと思う。とはいえ、今作はDarksynth一辺倒というわけでもなく、ちょっと趣向を変えたような曲もあり、「Nikita」でのちょっとVaporwave的なサンプルであったりとか、よく聞いていると色々発見がある。

Betamaxx - Lost in a Dreamworld

Synthwave黎明期からやってるベテラン。以前はSynthwaveの典型例を定義するかのような正統派で直球なスタイルだったような気がするが、今作では割とニューウェーブ寄りな古き良きSynthpopといった感じの作風になっている。FM Attackに近いともいえるかもしれない。FM Attackも(このジャンル内では)かなりのベテランだが、なんかこのジャンルで古くからやっている人たちはニューウェーブが好きな人が多いんじゃないかという感もある。

Makeup and Vanity Set - Breaking News

これはタイトルとジャケットの示す通り、ニュース番組のBGM、特に深刻なニュースのVTRで流れているような曲をイメージしたと思われる作品。ニュースのBGMというか、ドキュメンタリー番組とか、あと災害の時とかの緊急特番みたいな感じかもしれない。Kavinskyの曲でも、ニュース番組風・ドキュメンタリー風のシリアスで無駄に緊迫感のあるタイプの曲があったような気がする。で、サウンド的にはDarksynth寄りのSynthwave。シリアスで硬質なシンセの音は、聞いているとちょっと神妙な気持ちになって、なんとなく深く考えさせられるような雰囲気がある。何について深く考えるのかは知らんけど。

Tonebox - Cloud Highway

どっちかというとDarksynthかな?という雰囲気ではあるが、別に激しいサウンドではなく、文字通りの「ダークな」感じというか、ちょっと神秘的な感じというか。"HOME"の系統をダークサイドに落としたような方向性と考えるとちょっと合点がいくかもしれない。

In Search of Darkness (Original Documentary Soundtrack)

「In search of darkness」という、80年代のホラー映画に関するドキュメンタリー映画のサウンドトラックということらしい。題材がこれなので、参加しているのはDarksynth系のアーティストばかり。名だたる顔ぶれから、全然知らない人たちまで、結構たくさん参加していてなかなかのボリュームです。こうやってまとめて聴いてみると、Darksynthと一口にいっても色んな方向性があるもんだな、と思った次第。Darksynth入門にも良いのではないでしょうか。

Occams Laser - Occult 89

なんか今月はDarksynth系ばっかりになってしまった。もちろんこれもDarksynthです。もう今月はDarksynthについて表現する語彙が底を尽きてしまった。まあ、タイトルと言い、ジャケットと言い、直球ですね。今回紹介した中では一番直球かも。