月刊Synthwave生活 2020年11月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
最近あのアニメが大人気ですね。私は見てないしどんな内容かも知らないのですが、見てない人は見てないなりに何か一言申さなければいけないかのような空気もあるのがちょっと困りものです。私は特に意見は無いっす。そもそも私は子供のころからジャンプを読む習慣というのが無かったので、ジャンプでどんな漫画が連載されているのかも知りません。何となく、年上の兄弟がいない場合はジャンプを読む習慣がない可能性が高い気がします。ジャンプを読まない代わりに、子供のころはどおくまんの漫画を読んでましたね。「なにわ遊侠伝」とか。子供ながらに悪い漫画を読んでいるという認識はそれなりにありました。
というわけで、今月もレビューの方に行きましょう。


DAN TERMINUS - Last Call For All Passengers

フランスのDarksynthアーティスト、DAN TERMINUS。ジャケットの絵がいつもなんか若干ファンタジーっぽい雰囲気だが、音の方は実にバッキバキのゴリゴリ、あるいは、ゴッキゴキのバリバリ。まあ、擬音で表現しても仕方ないか・・・。どこかProdigyっぽい感じがある。

Midnight Driver - Cruise FM

名前といいタイトルといいジャケットと言い、どう見てもとてもベタなんだが、聴いてみるといい感じにレトロで渋くていぶし銀な音色のシンセがなかなかこだわりを感じさせる、オールドスクールなSynthwave。

MicroMatscenes - Back 2 School

洗練された都会的できらびやかなSynthwave。とてもゴキゲンなサウンドで妥協のない80年代ぶりを発揮している。「Bring Me To You」では、完全に80年代の歌姫になり切った、恐ろしくゴージャスでキラキラしたバラードが聴ける。そしてこの曲の一部を切り取って合法的Vaporwaveにした「自由にしてくれ」(これだけ日本語タイトル)もある。これは割と珍しいパターンではなかろうか。元の曲の質感が完全に80年代なので、本当に絵にかいたようなVaporwaveに仕上がっている。

Duett - O U T L I N E S

都会的できらびやかな透明感のあるSynthwaveを得意とするDuett。今回もその路線だが、デジタルシンセ的なみずみずしさや張りのある音へのこだわりが感じられて非常に良い。

FM-84 - Maverick

FM-84もきらびやかなSynthwaveを持ち味としているが、今回はお蔵出し音源を4曲収録したEPの模様。1曲目はタイトルが「Marverick」となっているが、映画「トップガン」の「トップガン・アンセム」を意識したとの事で、何ともシネマチックな雰囲気。2曲目3曲目は過去作品のデモバージョン的なトラック。4曲目はまだSynthwaveをやってなかった2011年の作品らしく、タンジェリン・ドリームとウルリッヒ・シュナウスに捧ぐとある。Synthwave以前はこんな感じだったのか、というのが分かる。

oDDling - Infinity

Chillsynth系としては割とおなじみ感のあるoDDling。今回の作品もかなりど真ん中のChillsynth系。1曲目の「Drifting」はMVも用意されているが、とてもローファイな映像で指向性としてはVaporwave寄りなのかもしれない。まあ別にSynthwaveとVaporwaveの垣根にこだわって聴いても仕方がないジャンルというか、両者の違いにそれほどこだわらずに自由にやるのがこの系統の作風の醍醐味だとおもう。

Eagle Eyed Tiger - Smile for the Camera

どっちかというとインディロックとかChillwaveな感じかと思うが、使われているシンセの音はあくまでSynthwave的で、沈み込むような、色あせながら空間に滲んでいくような感じはある。

MASTER BOOT RECORD - C​:​\​>DEFRAG

シンセだけを使ってヘヴィメタルを作るという謎の縛りプレイの達人、MASTER BOOT RECORD。今回の作品のテーマは「デフラグ」。皆さんもデフラグしてますか?まあ、普通の人には、シンセだけでヘビメタを作ると言っても理解してもらえないだろうし、そのアルバムのタイトルが「デフラグ」だと言っても信じてもらえないだろう・・・。今回のアルバムは、結構長めの曲が2曲だけという構成。長い曲の中で、展開があれこれ目まぐるしく変わっていくのはまさにメタル的と思う。まあ、あんまりメタルは聴かないから知らんけど・・・。

Daniel Deluxe - Ghostrunner (Original Soundtrack)

こちらはゲームのサントラ。いつものことながら、私はゲーム自体はやってなくてサントラだけを聴いている状態です・・・。仕方ないので動画でどんなゲームか見たけども、いかにもサイバーパンクな感じのゲームということはわかりました。サントラについては、まあDarksynth系のサウンドでまとめられている。結構EBM的なDarksynthと言える。洋ゲーはそもそも伝統的にEBMっぽい曲が多々あるようなのでむしろピッタリではある。あくまでゲームサントラだからか、割と唐突な終わり方をする曲が多い。まあそれはサントラだから仕方ないか。

Poppet - DARK_NIGHT_OV_THE_SOVL​.​wav

怪しい。ジャケットからしても怪しさがめっちゃにじみ出ている。基本的にこの人はDungeon synthのアーティストのようで、そのジャンルには私は不案内なもので他の作品を試聴したがよく分からなかった。しかし、この作品ではBandcampのタグにもSynthwaveを入れており、実際我々のようなSynthwave者やVaporwave者にとっても割となじみ深いような音色が使われている。しかしなかなかクセの強い曲が多くて、とても底知れぬ怪しさを放っている。