月刊Synthwave生活 2021年6月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
なんか最近は、買い物のおつりとかで令和2年とか3年のかなりまだ綺麗な状態の硬貨を受け取る事が多く、ピカピカの10円玉や100円玉を受け取る確率が最近顕著に増えた気がします。予想ですがその理由は世の中がキャッシュレスで現金を使わない方向に向かっているにも拘らず、私がいまだにキャッシュフルな生活を続けているから、まだあんまり人の手を触れてない硬貨が回ってくるんじゃないかと思っています。それを使うのがもったいないからつい財布の中にため込んでしまいがちで、仕方ないので貯金箱に貯めることにしました。
というわけで、今月もレビューの方に行きましょう。

Betamaxx - Sarajevo

Synthwave界においては黎明期から活動している古参であるBetamaxx。このアルバムは、1984年のサラエボ冬季オリンピックをテーマとした作品。なぜそのようなテーマを選んだのかはあんまりよくわからない。とはいえ内容的にはChillsynth的なまったりした感じや、静謐で神秘的な雰囲気の曲なども交えたベテランらしいSynthwave作品。

FM Attack - The Never Ending

この人もSynthwave界の黎明期からの古参であるFM Attack。今回はアルバムタイトルからも伺われるが、80年代ニューウェーブど真ん中な感じのエレポップ作品。Synthwaveが生まれるより前から80年代リバイバル的な音楽というのは存在していたが、それは基本的にニューウェーブ、特にニューオーダーの影響が強いものだったと思う。FM AttackはSynthwaveという名前が生まれるより前からやっているはずなので、そういったSynthwave以前の流れから地続きなアーティストと言えるだろう。

PERTURBATOR - Lustful Sacraments

Hotline Miami2のサントラにも参加したDarksynthの雄、PERTURBATORの新作。今回はなんとポストパンク路線である。割とガチなポストパンク。基本的に海外のこういう界隈で言う所のポストパンクとは、80年代ゴスのことです。しかしEBM/インダストリアルな成分も多めなので、なんだかんだでDarksynthの流れとして聴いてもそれほど違和感はない一枚。

Mega Drive - Neuroframe

Hotline Miami2のサントラにも参加したDarksynthの雄、(さっきも同じことを書いたな…)Mega Driveのニューアルバム。Darksynthの中では独自色が強いというか、割と個性があって、聴けば「やっぱりMega Driveだ」と思うような作風で、しかも昔からこのスタイルを貫いているタイプのアーティストである。アルバムのジャケットがドクロなのもずっと一貫してるし。

Michael Oakley - Odyssey

NewRetroWaveらしい、かっちりと作られた王道系のSynthwave作品。なので安心して聴けるだろう。部分的にTears for Fearsの「Shout」とTOTOの「Africa」へのオマージュが感じられる箇所があった。多分そうだと思う。是非探してみよう。

Tonebox - Last Encryption

どっちかというとCyberpunk的でDarksynth系の部類に入るかもしれないが、そこまで派手でうるさいサウンドでもなく渋い雰囲気を持った一枚。このToneboxという名前は、実は色んなSynthwave系アーティストの作品のクレジットでちょくちょく見かけるが、結構色んなアーティストの作品にミックスやマスタリングで参加しているようだ。というかこの作品ではアートワークもToneboxとなってるな…。というわけでポップでもなくバイオレンスでもなく、深みとこだわりを感じさせるサウンドの一枚。

Baldocaster - Visions

ついこないだもこのBaldocasterを紹介したと思ったが、それはEPだったか。今回はフルアルバムの模様。若干ベルリンスクール的な感じのあるコズミックな70年代風のシンセサウンドと、80年代なSynthwaveのサウンドと、二つの年代のレトロ感をうまく使い分けて行ったり来たりするような作品。ちなみにこの作品もミックスとマスタリングのクレジットにToneboxの名がある。