2019/12月に聴いたもの

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。

このまえ、何となく思い立って都市伝説の検証をしました。パソコンとオーディオインターフェースをつないでいるUSBケーブルを変えると音質が変わるというやつです。あくまでデジタルなデータを転送するわけだから違いがあってはならないわけですが、でも確かに変えてみると印象が違う。いつもコンビニで見かける店員の顔が、コンビニの外の関係ないところで見かけると印象が違って「あれ、誰やったっけ?」となるように、同じなんだけどなんか印象が違う。なんか音の切れ際やリバーブの減衰しきる様子が認識しやすくなった気がする。ただ気になったのは、取り替えた古いケーブルにも原因があるのかもしれないということ。別にそんなしょぼいケーブルでもないはずだが、3~4年くらい繋ぎっぱなしで毎日使っていたので、何かしら劣化したのかもしれない。ケーブルの素材よりもケーブルの新旧の違いではないのか?しかしケーブルが劣化したとしてデジタルの信号が変わってしまって良いのか?とりあえず3年後くらいにまた同じケーブルを用意して新旧で付け替えて比べてみようか。覚えていれば。

というわけでまたしても前文が長くなったんですがレビューに行きましょう。

Shredder 1984 - Resistance

darksynthを代表するアーティストの一つであるShredder 1984の最新作。非常にゴリゴリのFMシンセベースが気持ちいい。マッサージ機の強さ調節のスイッチをいきなり強に入れたような、肉体に直接響く曲ばかりが並ぶアルバム。シンセしか使ってないにもかかわらずメタル要素強め。

Violation Drive - Digital Chase

ロシアはモスクワのSynthwaveレーベル、Retrowave Touch Recordsからリリースされた、ブラジル人アーティストの手による作品。タイトルと言いジャケットと言い、めっちゃ正統派で直球勝負のOutrun。でもまあ手を抜いているわけではなく、安定した品質。

Biodrive - Stay in the 80's

こちらもRetrowave Touch Records。レーベルのBandcampを見ると、本当に直球勝負ばかりで面白かったので興味がわいたのです。こちらは若干アーケードゲーム的な感覚のサウンドで、爽やかで疾走感がある。

Hotel Pools - Pacific

いわゆるHome - Resonanceの系統の作風のHotel Pools。ChillwaveやVaporwaveとの境界を曖昧にするこの系統のSynthwaveはジャンルとして確立されていると思うけど、特にこれといった名前があるのかどうか分からないので、結局Homeの名前を出さざるを得ないのです。この系統の作風としては非常に正統派な内容で、心地よいアナログ的な柔らかシンセの音を浴びるように聴く一枚。あんまり関係ないかもしれないが、この系統のSynthwaveは、どことなく一昔前のダブテクノに近いものがあるのかもしれない。

Sellorekt/LA Dreams - The Best of 2018​/​2019

Synthwaveの黎明期から結構な量の作品を発表し続けている謎のアーティストSellorekt/LA Dreams。リリース量が多いので、親切にも2年に一回ベスト盤を出してくれているわけですが、その2018と2019の最新ベストがこれ。Bandcampのページを見ると使用機材が載っているが、なかなか高価そうなビンテージも使っている。Linn LM-1とかSynclavier IIとか40年くらい前の機材も含まれているので、ガチだとしたらこれは相当にガチな人なのかもしれない。楽曲の方は、どの曲も一点の曇りもない爽やかSynthwaveで占められている。全くぶれない人だ。

Hello Meteor - Community Broadcasting

今回紹介したのはどれもそのジャンルにおける正統派の作風ばかりだったので、最後にちょっと違うのも入れておきます。ざっくりと言えばSynthwaveの風味のあるアンビエント寄りの電子音楽というところでしょうか。ジャケットの画像が良かったので選んでみました。FMシンセのエレクトリックピアノの澄んだサウンドが聴ける「Mr.Kanazawa」がいいですね。しかしミスター金沢というタイトルはどうなんでしょうか。誰なんだミスター金沢。金沢という苗字はどこにでもいるので色んな人の顔が思い浮かびすぎるぞ。