月刊Synthwave生活 2020年3月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
今回から、タイトルを変えました。「月刊Synthwave生活」です。マガジンのタイトルも変わってます。そもそもnoteのマガジンの機能がいまいちどういう意味があるのかよく分からんのですが、とりあえずnoteを使い始めた初期から何となくで使ってます。
「Synthwave生活」というのはどういう意味かというと、「こっちはSynthwaveに生活がかかっとんのや!」という意味です。嘘ですけど。
というわけで今月もレビューしていきましょう。

Sung - Monster

Darksynth寄りのSynthwave。ある意味KavinskyのOutrunへの原点回帰的な雰囲気も感じさせる一方で、独創的な進化を遂げた新しいSynthwaveの出現を予感させるようなところもある。なかなか凝った展開。やはりSynthwaveである以上は、どのようなシンセの音色を選ぶかが肝心だが、かなりツボを押さえた音が繰り出されるので非常に良い。

The Institute 91’ - Cairn

91'ということで、若干90年代に突入しているThe Institute 91’。実際はそれほど90年代感は無いと思う。ちょっとダークな雰囲気も持ちつつ、アナログシンセの柔らかい手触りもあって何とも言えない味を醸し出している。

Filmmaker - Eternal Return

正直Synthwave系とはちょっと離れているかな?とは思いつつ、でも最近よくYoutubeの関連動画の欄でよく見かける存在として気になっていたFilmmaker。基本的にはインダストリアルというかエレクトロニック・ボディ・ミュージック(EBM)の部類にだと思う。しかし非常にローファイでレトロな味わいのあるドラムマシンやシンセのサウンドはSynthwave的な耳で聴いても快感があるはず。昔のEBMに特有の、なんとも言えない変なテンションが凄いよく出ている。どうでもいいけど、2月24日はEBMの日だそうです。2月42日ではないのか?と思ったら、海外の表記では24/2となるので成る程と思った。

A.L.I.S.O.N - Demos

Chillwave寄りのローファイなSynthwaveを手掛ける一派に属するA.L.I.S.O.N。これはタイトルの通りデモ音源をまとめたアルバムで、短い曲やタイトルのついていないものが計27曲入っている。この系統のSynthwaveは、デモ音源でも十分に聴けると思うのでお得なボリューム感。

Crockett - Interference

これもまたChillwave寄りのSynthwave。というか、まあ要するにCom Truiseですわ。でも、かなりそれっぽい。PWMな感じのゴロゴロしたシンセベースが気持ちいい。

OGRE - GEIST

サントラ的なシネマチックなSynthwaveや、あるいはゲームのサントラそのものもいくつか手掛けているOGRE。今回のこの作品は、ちょっとSynthwaveとは離れていて、Bandcampのタグにも「berlin school」とか「kosmische musik」とかが入っていて、要するに70年代のタンジェリン・ドリームとか、クラウス・シュルツェのようなコズミックで静謐な電子音楽となっている。ちょっと長めの曲が2曲のみというのもそれっぽい。すべてハードウェアのシンセのみで録音した模様。機材のリストにはTascamの4トラックとか書いてあるので、それで録音したんだろうか。制作手法としてはなかなかロマンがある。

Moondragon - Pikes Peak

様々な乗り物をテーマにしたSynthwaveを作り続けているMoondragon。今回の題材は、なんかのレース大会?の模様。それもあってか、ゲーム音楽的というか、昔のアーケードのレースゲームっぽい雰囲気がある。先入観かもしれないが。

AM 1984 - Testarossa

王道というか、割とベタなSynthwave/Outrunを毎月供給しているモスクワのレーベル「RetrowaveTouch」からリリースされた、タイトルと言いジャケットといい、完全に直球勝負のベタなOutrun作品。ここまでストレートだと、もう何も言うことはない。ただ、今となっては、例えばSynthwaveの一線で活躍するような古参のアーティスト達がここまでベタなものを出すことはないと思うので、そこらへんを埋める存在としてはありなのかもしれない。でもまあ、安っぽくてベタなものをエンジョイする事にこそSynthwaveの原点があるとは思う。