水素に興味がない

興味がないことについてわざわざ書く、ものすごく行き当たりばったりなシリーズ「興味がない」。今回のお題は「水素」です。いろんな元素に興味のない私ですが、もちろん水素にも興味がありません。これまでいろんな興味の無いものについて語ってきましたが、今回は特に興味を持ちづらいですね。なんといってもただの元素ですから。水素に対して何の感情もわきようがないです。もちろん水素にまつわる思い出などもありません。例えば子供のころのあだ名が「水素」だったとかそういう人がいるでしょうか?どうでもいいんですが、水素の元素記号はHなんですね。

なんか水素水というのが流行っているらしいですね。上から読んでも下から読んでも水素水(ちょっと古い)。全然知りませんでした。というか本当に流行っているんでしょうか?なんかツイッターでリツイートが回ってきて、水素水について突っ込みを入れている人たちがいるのを見て、初めて水素水というものの存在を知った次第です。私はそもそもスーパーやコンビニで水を買うことがないので、水の品ぞろえをチェックすること自体がないです。ジュース、コーヒー、お茶くらいしか見てませんでした。うちでは、ポット式の浄水器を数年来使っていて、飲み水は全部これを使ってます。水道水を飲んでおなかを壊すことを避けるのが目的で買いました。数年来この浄水器を使ってますが、ランニングコストもざっくり計算して1日30円ちょっとで、お腹を壊したことも1回もないので、外で水を買ってくる機会がほぼ完全にないです。とりあえずお腹を壊さないこととコストパフォーマンスの2点のみを考えてこれに落ち着きました。

まあ実感として水素水というものが本当に流行っているのかいまいち確信が持てないのですが、もしかしたら「ツイッターで水素水をいじる事」が流行っているだけなのかもしれません。我々はバーチャルな時代に生きているのでついそんな事も思ってしまいます。あと、ツイッターで水素水についてあれこれ言ったところで、それは「売っている人達」や「買っている人達」にはあんまり届かないとおもうのです。そういうのはツイッターに書くんではなくて消費者庁とかそういうところにいうべきではないんじゃないでしょうか。でもツイッターというのは別に正義の追及をするのが目的ではなくて、リツイートやいいねを沢山もらうのが目的なので、こういう流行ものにはとにかく全力で食いついてネタにするのが正しい使い方なんでしょう。まあ、あなたが今読んでいるこの文章も似たようなもんです。別にいいんじゃないでしょうか。水素水を売る人たちはお金を得ることができ、水素水を買う人たちはプラシーボを得ることができ、ツイッターの人たちはネタを得ることができる。まさにウィン・ウィンの関係です。ついでにこのコラムも全く興味の無いテーマでそれなりの文字数の文章を生産する事が出来ます。そう考えると消費者庁とかに言うのもなんか野暮なことなのかもしれません。

今のご時世に、水素水のようなものに対して驚いた(ような)反応をするというのは、どうなんでしょうか?それだったら一昔前のマイナスイオンの時にもっとがっつり言っておくべきだったんでないでしょうか。昔マイナスイオンが流行っていた頃になんかの雑誌で読んだのですが(うろ覚え)、シャープかどこかの家電メーカーの技術者のコメントとして、マイナスイオンをうたう製品を出すことについて技術者として敗北感があると、うろ覚えだけどそういう感じのコメントが載っていて、あくまで商売としてそういうことをやっているというのをちゃんと認識していたようです。まあ世の中なんでも商売でやってるんですよ。例えば芸能人が熱愛したり破局したり離婚したり隠し子を作ったりするのも多分全部商売でやってるんですよ。別に好きで不倫しているわけではなくて話題づくりのために商売として不倫しているだけなんでしょう。多分覚せい剤やって捕まったりするのもあくまで話題づくりのためだと思います。まあ、そう思っておけばどうでもいい事で心を煩わせることも無くなります。間違いない。

例えばオーディオ機器の業界とか、昔からオカルト的な商品はたくさんありますし、それに異議を唱える人も昔からいますが、あんまり状況が変わってる感じはなさそうですね。たぶんこれからもそうなんじゃないでしょうか。ほかの業界でもそういうのは結構あるんだろうと思います。

水素水はともかく、最近はなんかいろんな効能をうたった食品が多くなった気がします。お菓子ですら、なんか健康とかダイエットによさそうなうたい文句で売ってる時代です。でもパッケージの表側には「これこれこういう効果があるで!」という感じで堂々と書いてあるのに、パッケージの裏側を見るとちょっと小さい字で「ここで言う○○の効果というのは○○のことです」とかなんとか回りくどい感じで何か言いたげな但し書きがしてあったりして、そういうのを見ると私としては買う気がなくなります。多分ああいう商品は、但し書きとか注意書きを読まないタイプの消費者のための商品なんでしょう。私のようにいちいち但し書きとかを読んでしまう人間は消費者に向いてないんだと思います。

たぶん水素水を作っている人たちも、べつに水に水素を入れるのが好きで作っているわけでは無いんだろうと思います。あくまで商売なんでしょう。なんかこう、「良いものを作れば売れる時代は終わった!」とか、「これからの時代は付加価値がなければ売れない!とにかく付加価値つけろ!付加価値!」みたいなのを読んで、「じゃあ普通の水を作っても仕方がないな。なんか入れなきゃ。なんか効能をうたわなきゃ!」という感じでやってるんだろうという気がします。なんというか、「いいものを作れば売れる時代は終わった」と言われると、まるで良いものを作って売ることが悪いことのように感じられる人も多いのではないでしょうか。

若い人たちはあんまり知らないかもしれませんが、その昔オウム真理教という宗教があって、髭もじゃの汚いオッサンが教祖をやっていたんですが、この教団では、教祖が入った風呂の残り湯を信者に高額で売っていたんです。普通に考えれば他人が入った風呂の残り湯なんかタダでもいらないですよね。しかもクソ汚い髭もじゃのオッサンの残り湯となると金を積まれてもいらないでしょう。でもそんな絶対に欲しくならないような商品でも、信者たちの消費者マインドをコントロールすれば、付加価値を付けて高い値段で買わせることもできる。まあ極端な話ですが、消費者マインド次第で変な商品でも買わせることができてしまうんですね。

逆に言えば、良いものを作っても売れない時代と言われていても、消費者マインドをうまくコントロールすれば、良いものを買わせることも可能なんじゃないでしょうか。例えば誰かが、「やっぱり良いものを作れば売れる!」と100万回くらい言い続ければ、消費者もそれを真に受けて良いものを買うようになるかもしれません。

結局、水素の話じゃなくて水素水の話になってしまいました。やっぱりただの元素についてなんか書くというのは無理です。まあでもこのコラムは毎回行き当たりばったりなのでこんなもんです。