月刊Synthwave生活 2021年3月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
なんか最近は海外のアーティストとかクリエーターの人達の間でNFTが盛り上がっている模様ですが、どうなんでしょうか。思ったよりも海外の人たちはすんなりとあれを受け入れているというのが割と驚きです。この感じで行くとBandcampでカセットとかレコードと一緒にNFTを売り出すようなバンドが出てくるんでしょうか?まあそれは別に構わないですが。ただ日本で広まった場合にどうなるかと言われると一抹の不安があります。だいたい暗号通貨とかブロックチェーンに関して言えば、まず最新技術に詳しいエンジニア・ギーク系に広まって、そのあと詐欺師・マルチ系が食いついてから一般人に広がるというパターンを繰り返しましたので、NFTについても同じパターンになる可能性があります。またNFTはその性質から詐欺師とともに転売屋も呼び寄せるでしょう。まあ要するに何が言いたいのかというと、喫茶店でNFTを買わされそうになってもても買わないように、秋葉原や日本橋で女の人に話しかけられてNFTを買わされそうになっても買わないように、ということです。数年以内にそういう事態になる可能性は十分あり得ます。
というわけで、今月もレビューの方に行きましょう。

John Carpenter - Lost Themes III: Alive After Death

80年代から、映画監督として映画を撮りつつ、そのサウンドトラックも自身で手掛けていた伝説的な監督ジョン・カーペンターの、サントラではないオリジナルのアルバムとして作られたソロアルバムの第3弾。よくSynthwaveは、「80年代の映画サントラの影響」を受けたジャンルであると説明されるが、映画と言っても世の中に沢山あるのであまり説明になっていないと正直思っていたが、このジョン・カーペンターの作品を聴けば、具体的にどのようなサントラがSynthwaveの基になっているのかよく分かるだろう。

Speedworld - Racing In The USA

Bandcampのページを見てもらえば、特に説明の必要もなさそうな位に見た目が全てを物語っている。ジャケットを見るとあんまりにもベタな感じ過ぎてちょっと不安を感じたが、実際聴いてみるとベタさを思いっきり突き詰めて、なかなか筋金入りで気合の入ったサウンドである。控えめに言って原理主義的なOutrun。たまにこういうのが出てくるからやっぱりSynthwaveはやめられない。

Telemachus - With Feeling .​.​.

ロシアのRetrowave Touch Recordsからリリースされた、完全に刑事ドラマモチーフなSynthwave。ジャケットの絵もなかなかパンチが効いていて素晴らしい。一目見ただけで、0.2秒でコンセプトが完全に理解できる作品。哀愁のあふれるサックス、泣きのギター。これもなかなかの原理主義的なOutrunを感じて頼もしい一枚。

Gavriel - Red Twilight

Windows96の別名義と思われるGavrielのアルバム。過去にはWhite Gavri'elという名義で出している作品もあるが、そちらはなんとDarksynth寄りなサウンドだった。しかし今回のアルバムは、かなりWindows96自体のサウンドに近い、というかほぼそのまんま。Vaporwave的というかニューエイジ感のある不思議な音で緻密に構成された世界は孤高で唯一無二の作風。

Kick Puncher - LiveDieRepeat

割とストレートなDarksynth系。NewRetroWaveからのリリースなので大きく外すことはないだろうと思い購入。金属的でありつつも弾力性を感じさせるような図太いシンセを十分に堪能できる。