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本当の贅沢とは


公園の椿


公園を歩いていると椿の木がある。

夫はドイツ人なので、椿にあまり馴染みがない。蕾が出ているのを見て「もう春か」なんて喜んでいた。


椿は真冬に蕾が出る植物で、いまが冬ど真ん中、って言うことだよ。
そう説明していたら、なーんだ、と言う顔をしていた。でも彼は雪が好きだ。


椿は思えば、とてもロマンチックな花だと思う。

全てが雪と氷に覆われていても、丸裸になった木の隣なんかで思いっきり花びらを広げている。

雪が降る日は、椿の花にうっすらと雪が積もっていたりして、花に雪が積もるなんていう光景はよく考えればなんだかすごく矛盾しているように見える。


それがいい。


小学生のファッション

小学生が何人か通り過ぎる。

子供というのは、コーディネートがぐちゃぐちゃの服装をしているのに、どうしてあんなに様になるのだろう。


パステルカラーのフリースの上にアディダスのジャージ。下はスパッツにレッグウォーマーをはいて、白い人工毛の帽子をかぶっている。

モデルがこの格好でニューヨークで歩いていたら、ストリートスナップを求められそうだ。


野菜がおいしい

長野に住むようになって、5年が過ぎた。いや、6年目か?よくわからない。

本格的に住むようになったのが2019年。ドイツから帰ってきて、身も心も文字通りぼろぼろのとき。だから何も食べられなかった。


いや、何も食べられなかったのは最初の3日間くらい。すぐ食べられるようになった(笑)。


長野は野菜が本当に美味しい。

野菜に美味しいとかまずいとかあるの?
あるんだなー。他県の野菜がどう、とか比べるとかじゃなくて、地元野菜を食べるのはやっぱり体にも心にもおいしい。この感じ、わかるかな。


本当の贅沢

突然、夫に「微熱の贅沢って何?」と聞かれたので、うーんと考えてみた。

贅沢、というと都会を思い浮かべる。美味しい料理、綺麗なお店、高い服、みたいな感じ?


きっと都会の人は、誰もいない森林の中でゆっくりキャンプ、とかかな。
普段しないことが贅沢だからなあ。


ふと、思いついたのがジェットバスである。

ジェットバスといっても、高い南国風のラブホテルとかについているジャグジーみたいなのではなくて、銭湯のジェットバスである。本気のやつ。


私は深いジェットバスがすごく好きで、立ち膝くらいで全身にゴゴゴゴゴーーーっと噴射してくるやつがとても好きだ。

というか、それを体験するまでその存在すら知らなかったのだけど、2年前ほど、コロナで銭湯がものすごく空いていたので行ってみたらすごく良くて、それから虜になった。


巷ではサウナーが増えているということだが、私はジェットバスナーである。譲れない。
そして、湯上りにコーヒー牛乳。そんな漫画みたいなことをするのか、と言われるがする。湯上りの甘すぎるコーヒー牛乳は本当に旨い。ガラス瓶まで嘗め回す。


意味のないこと

自分がダメに思えた時
何もできない無力な人間だと思えた時
もう生きている価値すらないんじゃないかと疑う時

こう言ってみることにしている。


「君は本当に特別だね。」鏡に向かって。


綺麗事で片付けようとしてるわけじゃないけど、ちょっと自分になんて声をかけたらいいかわからなくなる。そんな時がある。そういう時は、とにかくこんな風に声をかけるようにしている。

でも、何も変わらないから意味がないことだ。


弟が帰ってきた。


弟がいると家が明るくなる。よく食べるからだ。


彼は本当によく食べる。

先日、ラーメンを打った時は3人前を平らげてもまだ足りないと言い出して、もう麺がないよ、と言ったらスープにトッピングを浮かべて食べていた。生まれつきすごくガタイが大きくて、背も高い。


よく食べる子供だったけど、そのまま育ってよく食べる大人になった。
いいことだと思う。デブではない。ただよく食べるガタイのいい人ということだ。お前の道を行け。


花を買いに

花屋さんで花を買うことはなかなかしない。

仏壇の花とかはスーパーで買っちゃうか、うちの庭のを使うことが多い。


ドイツにいたころ、オランダから輸入したチューリップが、もう嫌というほど売られていた。

日本人だから、最初はすごく物珍しい。うわあ、こんな色のチューリップがあるんだ!


オランダのチューリップは日本のとちょっと違っていて、小ぶり。

1本が細くて短い。シュッとしていて、それを10本とか20本くらいの束で買って行く人が多い。


多分1本では売ってないんじゃないかな。バケツに束で入ってて、いくら、ってかんじ。
小さいチューリップのいいところは、水にさしていても頭が垂れてこないところ。


日本のやつは、見応えはあるけどすぐにお辞儀しちゃうよね。それがない。

大きな束をバケツからザブザブ出して、クラフト紙にガサガサっと包んでくれて、確か8ユーロとかそんな。
1000円くらいだから、かなり安いとは思う。近所の朝のマーケットでよく買った。


あの頃は、私の心はとても病気で、色を求めていたと思う。

公園の芝とか、晴天の空とか、そういうのがものすごく沁みていた。
だから、色を見るためにチューリップを買っていたんだと思う。


私が良く買ったのはクリーム色。たまに薄紫色も買っていた。

おばさんたちが、こぞって買う花。

片手にジャガイモとかルッコラとかブロードヒェン(小さい軽いフランスパンみたいなやつ。5〜10円で買える)が大量に入った籠を下げていて、もう片手でチューリップの束を抱いて帰る。


日本人からしたら、なんか雑誌に載ってそうな一幕だけど、こっちでは当たり前なんだな、ってちょっと笑えた。逆にドイツの人からしたら、浴衣とか、ユニクロのデザインとかそういうミニマムな感じがジャパニーズ、って思ってたりする。


こっちでは、特にミニマムとか関係なく、みんなユニクロ着てるよね。


本当の贅沢〜続編

ところで。
私は夫に言わなかったことがある。
私がいま体験している一番の贅沢は「いい夫をもつこと」である。


大金持ちはきっと、

どうやって年収100万上げるか

みたいな動画とか見ながら、タワマン高層階でワイングラスを揺らして

「ええ〜?ひゃくまんでいいのおお〜?」

なんて言ってるだろう(想像)。


ちょうどそんな調子で

どうすれば理想の相手と出会えるか
結婚で失敗しない方法は
いい男と出会う方法10

みたいな記事や動画をみかけると

「へえ〜〜?」

なんてほくそ笑んでしまう私である。それくらい余裕である(嫌な奴である)。


私は、人生で成功した体験なんて本当にないんだけど、夫と出会って結婚を決めたことだけは本当にいい選択だった、と思っている(あと、noteをはじめたこと♡)。神様は、そのときだけ機嫌が良かったんだな、と思う。


今度、もしすっごく暇だったら、夫の好きなところをリストにしてみよう。すごく暇ならね。もちろん人間同士だから100点じゃない。お互いそう。喧嘩もする。


でも、よかったなと思う。
私の失敗したべちゃべちゃのリンゴケーキは、家族の誰も手をつけない。

でも夫だけ、すごく食べている。他の人に取られまいとして、猛スピードでお代わりしていた。

淹れてからしばらくたったコーヒーをチンして持って行って「淹れたてだよ」と言うと

「うーん、やっぱり淹れたては香りが違うなあ」

なんて言って満足そうに飲んでいるところを見ると、結婚してよかったと思う(嫌な奴である)。





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