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現場に出るだけでは成り立たない国際協力

担当:大角

先日、母校の授業内でお話させて頂く機会を頂きました。今回は私が話した内容や、その後に考えたことをまとめます。

伝えたかった2つのこと

7年前、自分が座っていた席に座る高校一年生。
先生が立っていた台で話す私。

非常に感慨深い光景でした。まだ働いてもいない私が、高校生の前で自分が在学中にしてきた経験を話す場を頂けたことを誇りに思います。
地理の授業と国際協力という視点から、当日は2つのことを伝えるべく、お話をさせていただきました。


①自分の目で世界を見ること
高校1年生の時に訪れた南アフリカでは、今まで知らなかった格差を経験する場が非常に多かったです。当時、私は自分の足で現場を歩き、そこに居る人との対話を通じて見えてくる現実に、ただただ圧倒されていました。

この経験に加え、自分の目で世界を見ることを意識して行動した大学での5年間を通じ、それがいかに大切なことであるかを認識することができました。

例えば、ロヒンギャ難民キャンプ訪問。
私はバングラデシュに滞在していた時、知人に頼んで、難民キャンプ訪問に同行させて頂きました。すると、ある国の大臣レベルの要人が、たまたま同じタイミングでキャンプを視察しにやってきました。知人が「折角だから、その人の後を一緒に回ってみようよ」と言い出し、結局SPや軍人の方に目を付けられないよう取り計らってもらい、一緒に回ることになりました。その要人の方は、なかなか車から降りず、降りても5分程度。メディアが多かった事もあり、車から降りて現場を見るのがかなり大変そうな様子でした。次の予定もあり、お忙しかったようで、3か所くらい回るとすぐに飛行場に向かって帰っていってしまいました。

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しかし、次の日の新聞では大々的にその方の訪問の様子が報じられていました。
「数分しかいなかったじゃん!」
「支援してます感丸出しだけど、現場視察に時間をかけている印象はなかったよね」
「もしかしたら、その方は難民の方々のために多額の寄付をしている方なのかも」
友人たちとこのような話をしながら、メディアが取り立てて報道している様子を見て、裏に隠れている政治的な意図を感じずにはいられませんでした。

国際協力に限らず、誰かの目を通じて得た情報にはフィルターがかかっていると思います。誰かの「こう思ってほしい」「こう考えてほしい」という意図にとらわれず、自分の目で世界を見ることを私自身も大切にしていきたいと思っています。


②進路のその先に何があるか
私が通っていた学校は公立の進学校でした。私が在学していた時は国公立至上主義だったため、国公立かつ偏差値の高い大学に合格すれば、より周りからの評価が高くなる“空気感”がありました。もちろん、大学受験のために勉強をやり抜くことは、高校生の時にしかない経験でもあり、非常に重要です。また、私も大学受験勉強を通じて、知識の量や幅、自分の興味ある分野への理解を深められたと感じています。

一方で、自分が高校生だったころ、志望大学に合格することそれ自体が目的になってしまい、その後自分がどうなりたいのか、どうしていきたいのかを考えずに進路を選ぶ人が多かったように思います。正直、私自身も「国際協力」に対する興味や関心があったものの、将来的には何をしたいのか、どのような選択肢があるかもわからないまま、目の前の受験勉強に取り組んでいました。

こうした自分の経験からも、進路のその先に何があるかを考える時間が必要だと感じています。高い偏差値の大学に行ったって、その後何をするかは自分次第です。偏差値に縛られた価値観に逃げずに、まずは自分の興味や好奇心に純粋に向き合って、やりたいことを見極めていってほしいと伝えました。

国際協力ってなんだろう

高校を訪れた3日後、very50が大学生向けに実施しているLiD(Leadership in Developing Countries)の講義に参加しました。その日は「途上国の暮らしを探求する」というテーマでした。

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一番印象的だったのは「途上国の人びとを理解するためには、何が必要なのか」をテーマに行ったディスカッションです。

私は高校から大学にかけて、現場で起きていることを五感でフルに感じ取り、そこから自分たちができることを模索する事こそが、国際協力において重要だと思ってきました。しかしこのディスカッションでは、現場目線の考え方に加え、歴史・文化・経済など、より広い目線で途上国を捉えることも重要視されていました。参加者の経験や知識によって、出す案がまったく違ってくる様子が興味深かったです。

このディスカッション自体も面白かったのですが、その後で講師の方に「なんかね、個別の事象にとらわれすぎちゃダメだよね」と言われた時は、ハッとする想いでした。どんなに小さな種でも見捨てず、社会的貢献度を重視したvery50の講義で、個別の事象に捉われすぎないことを言われるとはまさか思っていなかったからです。また私自身も、卒業論文でのインタビュー調査やインターンの時の経験から、現場を過度に重視しすぎていたのかもしれないと思いました。つい数日前に高校生に伝えた内容は正しかったと思うものの、現場に出ることだけが国際協力ではないことを改めて思い知った1日でした。

今後も現場目線を大切にすることを大切にしていきたいと思いつつ、目の前の事柄に目を奪われないような人間になりたいと思います。

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