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UXデザインを突然任されたらなにから始める?役割と責任の明確化のコツ
UXデザイナーとしてのキャリアの始まりは必ずしも本人の意思ではなく、「UXデザインの観点も入れるように」という上層部からの指示から始まるケースもあります。
そこから急いでUXデザインとは何かを書籍で学んだ人が最初にぶち当たる壁が「そもそも何から手をつけたらいいのかわからない」という問題です。UXデザインは、ユーザーのニーズや課題を理解し、ユーザーにとって使いやすく、価値のあるプロダクトをデザインするプロセスです。そのためすぐにユーザーの調査を進めたくなるかもしれませんが、最初はプロダクト自体やそのステークホルダーの理解から進めることをお勧めします。
UXデザインの視点をプロダクト開発に取り入れるためには、組織全体でUXデザインの考え方を共有し、UXデザインの取り組みを推進していく必要があるのです。本記事では、UXデザイナーがステークホルダーの役割と責任を把握するためのロール&レスポンシビリティについて解説します。
ロール&レスポンシビリティとは
ロールアンドレスポンシビリティ(role and responsibility)とは、日本語で「役割と責任」を意味します。組織において、一人ひとりが担う役割と、その役割を遂行する上で求められる責任を明確にするための概念です。
具体的には、以下の2つの要素から構成されます。
ロール(役割):組織における自分の位置づけや、自分が果たすべき職務内容
レスポンシビリティ(責任):ロールを遂行する上で求められる、結果責任や成果責任、行動責任など
ロール&レスポンシビリティを明確にすることで、以下のようなメリットがあります。
メリット①
誰がどのような役割を担うのか、責任範囲はどこまでなのかを明確にすることで、組織全体でUXデザインの取り組みがスムーズに進むようになる。
メリット②
UXデザイナーだけでなく、プロダクト開発に携わるすべてのメンバーがUXデザインの考え方を理解し、UXデザインの取り組みに貢献できるようになる。
UXデザインの経験がない状態で、いきなりUXデザインの取り組みを開始するのは難しいかもしれません。そこで、まずはロール&レスポンシビリティを明確にして、組織全体でUXデザインの考え方を共有し、UXデザインの取り組みを推進していく体制を整えることから始めましょう。
ロール&レスポンシビリティを明確にするステップ
ロール&レスポンシビリティの明確化に初めて挑戦する際は、以下のステップで進めると良いでしょう。
組織の目的や目標を明確にする
組織の構造や機能を整理する
各ポジションの役割と責任を定義する
各担当者にロール&レスポンシビリティを周知する
それぞれ簡単に解説します。
1. 組織の目的や目標を明確にする
組織の目的や目標を明確にすることで、UXデザインの取り組みの目的や目標を定めやすくなります。UXデザインをプロダクトに導入する場合、組織の目的や目標の例としては、以下のようなものになるでしょう。
・ユーザーの満足度を向上させる
・ユーザーの利用率を向上させる
・新規顧客の獲得を促進する
・既存顧客のLTVを向上させる
・競合他社との差別化を図る
もう少し具体的に、UXデザインの取り組みの成果として以下のような目標が挙げられるケースもあります。
・ユーザーのニーズや課題を深く理解し、ユーザーにとって使いやすく、価値のあるプロダクトをデザインする
・プロダクトの使いやすさや利便性を向上させる
・プロダクトの魅力や価値を向上させる
目的や目標が決まれば、そのために何を実行すべきかも決まります。
・ユーザー調査やインタビューを実施して、ユーザーのニーズや課題を把握する
・プロトタイピングやモックアップを用いて、ユーザーの使いやすさや利便性を検証する
・ユーザーのフィードバックを取り入れながら、プロダクトを改善する
組織の目的や目標を明確にすることで、UXデザインの取り組みの目的や目標を定め、UXデザインの取り組みによってどのような成果を期待できるのか、具体的なイメージを描くことができます。組織の目的や目標を明確にすることは、UXデザインの視点をプロダクト開発に取り入れるための重要な第一歩です。
2. 組織の構造や機能を整理する
UXデザインの取り組みを推進していくためには、プロダクト開発に携わるすべての部門や職種が連携して取り組むことが重要です。
組織の構造や機能を整理することで、各部門や各職種の役割や責任を把握しやすくなり、それぞれの部門や職種がどのような役割を担い、どのような責任を負っているのかが明確になります。次の7つは一般的なロール(役割)とその説明です。
デシジョンメーカー(意思決定者): 戦略に全体の方向性を決める。
エグゼキューター(実行者): 決定された方針や計画を実行する。
ファシリテーター(促進者): チームのコミュニケーションを促進する。
アドバイザー(助言者): 専門知識や経験に基づいてアドバイスを提供。
コーディネーター(調整者): 異なる部署やチーム間での連携を強化。
サポーター(支援者): 実務支援やリソース提供を行う。
アナリスト(分析者): データを分析し、インサイトを提供する。
もちろん、組織の規模やプロダクトの種類、業務内容によって、適切なロールやレスポンシビリティは異なります。また、一人の人が複数のロールを持つ場合もあります。
具体的なロールやレスポンシビリティを定義する際には、組織の目的や目標、組織の構造や機能を踏まえて、適切なものであるかどうかを検討することが重要です。
3. 各ポジションの役割と責任を定義する
このステップでは組織の目的や目標、構造に基づき、各ポジションで期待される役割と責任を具体的に定義します。UXデザインの観点から考えると、以下のようなアプローチが有効です。
役割の特定
UXデザインに関わる各ポジションの具体的な役割を明確にします。例えば、ユーザーリサーチを行う人、プロトタイプを作成する人、ユーザーインターフェースをデザインする人など。
責任の明確化
各ポジションにおける具体的な責任を定義します。例えば、ユーザーニーズを正確に把握する責任、デザインの品質を担保する責任、プロジェクトの進行に合わせたデリバリーを確実に行う責任など。
これにより、各メンバーは自分の役割と責任を理解し、プロジェクトにおける自分の位置づけと貢献の仕方を把握できます。
4. 各担当者にロール&レスポンシビリティを周知する
情報共有の重要性: 定義した役割と責任を、関係する全てのメンバーに明確に伝えます。これには、ミーティングやドキュメントの共有、トレーニングセッションなどが含まれます。
共通理解の確保: すべてのチームメンバーが、他のメンバーの役割と責任についても理解していることが重要です。これにより、チーム全体の連携と効率が向上します。
定期的なレビューと調整: プロジェクトの進行に合わせて、ロール&レスポンシビリティのレビューと必要に応じた調整を行います。これにより、変化する状況や新たな課題に柔軟に対応できます。
これらのステップを通じて、UXデザインの取り組みが組織全体で効果的に推進され、目的や目標に沿った成果を生み出すことが可能になります。特に、UXデザインは多角的な視点と多様なスキルを要するため、これらのロール&レスポンシビリティの明確化は成功に不可欠です。
まとめ
本記事では、組織内でのロール&レスポンシビリティの理解を深めることが、UXデザインの重要な第一歩であることをお伝えしました。チーム全体がUXデザインの目的と役割を共有し理解することで、プロジェクトの効率と効果が大いに向上します。
しかし、これはあくまでも始まりに過ぎません。今後のステップでは、よりユーザー中心のアプローチを採用し、ユーザーのニーズや課題に深く焦点を当てたデザインプロセスを展開していきます。
ユーザーリサーチ、プロトタイピング、ユーザーテストなどを通じて、ユーザーの声をデザインに反映させる方法を詳しく探求していくことが、次なるステップです。
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UXデザインは、組織内での協力と、ユーザーへの深い理解に基づくプロセスであり、このバランスが最高のプロダクトを生み出す鍵となるでしょう。
弊社ではUXデザインコンサルのご相談をお請けしております。お気軽にお問い合わせください。
株式会社VERSAROC
代表取締役 江渕大樹
hiroki_ebuchi@versaroc.co.jp
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