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【UXデザイン】Test(検証)フェーズの目的や検証方法、その手順を解説

株式会社VERSAROCが提供する、UXデザインのプロセス『ダブルダイヤモンドモデル』を解説する記事の連載。今回はTest(検証)フェーズの重要性や検証方法、その具体的な手順を解説します。

▼Test(検証)の前のプロトタイプ(試作)の解説はコチラ


Test(検証)フェーズの目的とその重要性

まずは、Test(検証)フェーズの目的や重要性について解説します。

テスト段階の主な目的

ダブルダイヤモデルのテスト段階では、デザインプロセスを通じて開発された製品やサービスが実際の市場やユーザーのニーズに合っているかを検証します。この段階の目的は、単に製品が機能するかどうかを確認することではなく、デザインプロセス全体を通して得られた学びを活用し、次の適切なステップを決定することにあります。

フィードバックからの学習

テスト段階で得られたフィードバックは、デザインプロセスの以前の段階への回帰を促すことがあります。例えば、ユーザーの反応から新たな課題が明らかになった場合、デザイナーはDiscovor(発見)段階に戻り、新たなユーザーのニーズや痛点を掘り下げる必要があります。一方で、既存のアイデアやアプローチが不十分であることが判明した場合は、Define(定義)段階へ戻り、問題の再定義や新たなアイデアの生成を行います。

 考えられる具体例として、あるアプリ開発会社が新しい健康管理アプリを市場に投入する前にテストを行ったとします。このテストで、ユーザーからのフィードバックにより、アプリの使い勝手に関する問題が浮き彫りになりました。この情報を受けて、開発チームはデザインプロセスのディベロップ(開発)段階に戻り、インターフェイスの改善や新機能の追加に取り組みました。このように、テスト段階で得られた学びをもとに、適切な段階への回帰と改善作業を行うことが、成功への鍵となります。

Test(検証)の3つの検証方法

Test(検証)フェーズでは、検証したい目的ごとに検証方法を変えます。具体的には次の3つです。

  1. コンセプトテスト

  2. ユーザビリティテスト

  3. ビジュアルデザインテスト

それぞれ簡単に解説します。

1. コンテプトテスト

コンセプトテストは、製品やサービスの初期の概念が市場やユーザーのニーズに合っているかを評価するプロセスです。このテストの主な目的は、開発中のアイデアやコンセプトが実際にユーザーに受け入れられるかどうかを判断することにあります。テストを行う際には、まず複数のコンセプトを用意します。これにはストーリーボードやビジュアルなどが含まれることが多いです。

各コンセプトは共感性、魅力度、新規性などの観点から評価されます。テストの参加者は、ターゲット市場を代表するユーザーであることが重要です。彼らのフィードバックを通じて、どのコンセプトが最も魅力的か、またはどの点が改善が必要かを把握します。

具体的なテストの実施方法としては、インタビューやアンケートが一般的です。参加者には、現在の行動状況や以前の経験について質問し、その後でストーリーボードを提示して反応を見ます。各コンセプトに対しては、評価尺度を基に評定を行ってもらい、その理由を尋ねることで深い洞察を得ることができます。

最終的には、すべてのフィードバックを分析し、どのコンセプトを進めるか、または改善するかを決定します。このプロセスは、製品やサービスが市場に出る前に大きな課題を発見し、対処する機会を提供します。コンセプトテストは、市場での成功を確実にするために不可欠なステップです。

2. ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、製品やサービスが実際のユーザーにとってどれだけ使いやすいかを評価するための重要なプロセスです。このテストの目的は、ユーザーが製品やサービスを容易に理解し、効果的に使用できるかどうかを確認することにあります。ユーザビリティテストでは、実際のユーザーに製品やサービスを使用してもらい、その体験を観察します。これにより、操作性、理解しやすさ、ユーザーの満足度などを評価することができます。

テストの実施方法としては、ユーザーに特定のタスクを実行してもらうことが一般的です。たとえば、ウェブサイトで商品を検索し、購入するプロセスを実行してもらうことで、サイトのナビゲーションやチェックアウトプロセスの使い勝手を評価できます。また、ユーザーの目線を追跡するアイ・トラッキングや、使用後のインタビューを通じて、ユーザーの体験や感想を直接収集することもあります。

ユーザビリティテストの結果は、製品やサービスの改善点を特定するのに役立ちます。たとえば、あるeコマースサイトではユーザビリティテストを実施した結果、チェックアウトプロセスが複雑であることが判明しました。これに基づいて、サイトはチェックアウトプロセスを簡素化し、結果としてユーザーの満足度を向上させることができました。

ユーザビリティテストは、製品やサービスの市場投入前に重要な問題を明らかにし、修正する機会を提供します。このプロセスを通じて、ビジネスはユーザーのニーズに合った製品を開発し、市場での成功を確実にすることができます。

3. ビジュアルデザインテスト

ビジュアルデザインテストは、製品やサービスの視覚的な要素がユーザーにどのように受け止められるかを評価するための重要なプロセスです。このテストは、色使い、フォント、レイアウト、画像など、製品の見た目やブランドイメージに関わる要素に焦点を当てます。ビジュアルデザインがユーザーにポジティブな印象を与え、ブランドメッセージを効果的に伝えることがこのテストの目的です。

ビジュアルデザインテストを行う際には、A/Bテスト(異なるデザインバリエーションの比較)、フォーカスグループ、オンライン調査などの方法が利用されます。たとえば、A/Bテストでは、ユーザーに2つの異なるデザインを見せ、どちらがより魅力的か、またはどちらがブランドイメージに適しているかを評価してもらいます。フォーカスグループでは、特定のデザインについてのユーザーの感想や意見を直接収集し、デザインの改善点を見つけ出します。

ビジュアルデザインテストの具体例としては、新しいブランドロゴの開発が挙げられます。異なるロゴデザイン案を用意し、ターゲットとなるユーザー群にそれぞれのロゴに対する印象を尋ねることで、最終的にブランドのアイデンティティに最も適したデザインを選択します。

ビジュアルデザインテストは、製品やサービスが市場に投入される前に、視覚的な魅力やブランドイメージを最適化するために不可欠です。このプロセスを通じて、ビジネスはユーザーにとって魅力的で意味のあるビジュアル体験を提供し、市場での成功を確実にすることができます。

コンセプトテストの実施手順

最後に、具体例としてコンセプトテストの実施手順を解説します。

ここでは、例としてコンセプトテストの実施方法について、手順ごとに解説します。準備、実施、分析、それぞれの段階について内容をチェックしていきましょう。

1.準備段階

  • テストするコンセプトの準備: コンセプトテストには、まずテストするコンセプトを準備します。これにはストーリーボードやビジュアルエイドが含まれることが多いです。複数のコンセプトを用意し、それぞれの強みと弱みを比較できるようにします。

  • 評価尺度の設定: コンセプトを評価するための尺度を設定します。共感性、魅力度、新規性、経験意欲、わかりやすさなどの項目が含まれることが一般的です。

  • テスト対象者のリクルーティング: ターゲットとするペルソナに基づいて、テスト対象者をリクルーティングします。これにより、実際のユーザー群を代表する意見を得ることができます。

2. 実施段階

  • インタビューの実施: コンセプトテストは主にインタビュー形式で行われますが、アンケートを用いることもあります。インタビューでは、参加者に現在の行動状況や以前の経験を尋ねます。

  • コンセプトの提示と評価: ストーリーボードを提示し、それに関する説明を行います。その後、評価尺度に基づいて、各コンセプトを評定してもらいます。評定後は、その理由を尋ねます。

  • 順位付け: 参加者に複数のコンセプトに対する順位付けをしてもらい、その理由を尋ねます。

まとめ

本記事ではUXデザインのダブルダイヤモデルにおけるテストフェーズの重要性と、その中核をなす三つの主要なテスト方法について詳細に解説しました。

コンセプトテストは、製品やサービスの概念が市場やユーザーのニーズに合致しているかを評価するために行われ、ユーザーの反応を収集し分析します。ユーザビリティテストは、製品の使いやすさとユーザー体験を評価するために重要で、実際のユーザーの操作と反応を観察します。ビジュアルデザインテストでは、製品の視覚的要素がユーザーにどのように受け止められるかを評価し、ブランドイメージを強化します。

株式会社VERSAROCでは、UXデザインに関するご相談も承っております。お気軽にご相談ください。

株式会社VERSAROC
代表取締役 江渕大樹
hiroki_ebuchi@versaroc.co.jp

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