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祈る女/ヨハネスフェルメール(Prayer)

祈る女/ヨハネスフェルメール(Prayer)

 西洋絵画の名作にしばしば『横顔の肖像画』が多く登場します。

 フェルメール作品でも3/4横顔を含めるとかなりの頻度で横顔が描かれているのがわかります。

 なぜ西洋絵画の肖像画は『横顔』が多いのでしょう?
 西洋絵画の伝統としてもともと個人の肖像画は横顔で描かれるのが普通でした。西洋において個人の肖像画が描かれ始めたのは14世紀頃のことで、発展したのはルネサンス以降です。その起源は古代ローマのコインに刻まれた横顔の肖像に遡ります。中世の頃からの伝統で、真正面を描くのを許されていたのはイエス・キリストのみで、一般的な肖像画は横顔で描かれるものでした。

 そもそも肖像画の役割としては「描かれた人物に似ていること」と、「その人物がどのような身分なのかを示すこと」が重要な要素として挙げられます。特に西洋絵画の肖像画では権力者たちの威厳のある姿、権威を示す持ち物、背景には領地などが描かれ、肖像画が人物紹介としての役割をしていました。

 元々「プロフィール」という言葉は「横顔の輪郭」という意味でした。それが「人物紹介」という意味で使われるようになったのは、美術史における『横顔の肖像画が人物紹介としての役割を果たしてきたこと』によるものです。
未公開作品。制作年不明。所蔵元非公開。


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