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種田山頭火『草木塔』の感想

こんばんは。

タイトル通り『草木塔』を読んだ感想を書いていきます。
読んだ経緯はこのnoteを読むとわかります↓


ネタバレ注意です⚠️

2月16日分の感想

旅の様子が暗い文章で書かれている。
短い文章で思ったことを書いているから、詩的なTwitterの雰囲気もある。
わからない漢字が多いので、調べながら読んでる。(薊・あざみ とか)

P.4の「分け入つても分け入つても青い山」は教科書で読んだことあるなと思った。
授業のときも先のない絶望感を詠んだものだと習った記憶があるが、改めて先が見えない暗さがよく伝わってくると感じた。

P.8の「まっすぐな道でさみしい」はオルターエゴに出てきた文章。
先が見えているから面白みがない、孤独がわかってさみしいってことなのかな。

あと、「しぐるるや死なないでゐる」という部分が印象に残った。
「しぐる」は泣くという意味もあって、「泣いているけど死なずに生きてる」っていうのが、暗いけど前向きだなって力を貰える。
オルターエゴにも「私は私を肯定する」って書いてたけど、これが自分を肯定するってことなのかもしれない。

しぐるの意味。本文に結構出てくる。


(ネットで調べたら冷たい雨に打たれて生きていることを実感していると出てきて、小さなことで命を感じ取る生への向き合い方が鋭いなと思った。)

P.11の「どうしようもないわたしが歩いてゐる」もオルターエゴに出てきた文章。
どうしようもないのに歩いている前向きさがあっていいなと思った。

P.23の「寒い雲がいそぐ」が歌詞っぽい。
いよわさんの歌にありそう。

P.32の「草の執着をぬく」という表現が詩的。根を執着にする発想がすごい。擬人的な雰囲気がある。

感想書くの結構時間かかるね。(これでも抜粋)
一言でまとめれば「暗いけどそれを言葉で力に変えようとしているのがいい」なんだけど、当時思ったことをできるだけ記録しておきたい。

2月17日分の感想

旅してるからか自然の句が多い。
動物、植物、天気とか。
周りをよく観察してるからこそ生まれるものなのかなと感じる。

P.46で水のような句がいいって書いてたけど、個人的には最初の方の酒のような句の方が好きだなと思っている。(本人の精神は荒れてるのかもだけど、見てる分にはそっちの方が面白みがある)

2月18日分の感想

P.60の「生えて伸びて咲いてゐる幸福」の部分は、まわり(自然)の生い茂る様子と病んでいる本人との生命力の対比が鮮明になっている。

P.63「私は私を肯定する」
オルターエゴの紹介のところにあった文章。
自然の有様というか、摂理というか、これが当たり前という感じがいいな。

P.66「何か足らないものがある落葉する」、P.75「いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる」の部分が詩的だなと思った。
もし私が歌詞書く機会あったら、参考にしたい。

P.79
二千近い句から十分の一くらいまで、絞っていて、いいものを作るのに近道はないんだなと思った。

そして「うたふもののよろこびは力いつぱいに自分の真実をうたふことである。」という部分が印象に残った。
自分の言葉で思ったことを表現する大切さみたいなのを感じる。

2月19日分の感想

旅か病みかって感じなのかな。

P.87「どこからともなく散つてくる木の葉の感傷」とP.119「涼しいお粥」の言葉遣いいいなと思った。
冷たいじゃなくて涼しいなのがちょうどいいのかなって感じがする。

一方でP.88「雪もよひ雪にならない工場地帯のけむり」は煙の熱さが雪で表現されてていいね。P.91でも煙を花に例えてる表現があって趣があるなと思った。

そして、P.97「風景は風光とならなければならない。音が声となり、かたちがすがたとなり、にほひがかをりとなり、色が光となるやうに。」の部分から、風景に命を感じられるような作者の詩の信条、核みたいなものが読み取れた気がした。

2月20日分の感想

P.121の「風の明暗」は、見えない風に明るさ暗さを感じているところがいいなと思った。

P.127「やつぱり一人はさみしい枯草」はゲーム内にあった文章。P.34の「やつぱり一人がよろしい雑草」と似たような構造だったんだとP.134で知る。
(P.92にもゲーム内の文章があったけど、ピンと来なかった。電子書籍全般にあるかはわからないけど、検索機能があるからすぐ見つかっていいね。)

P.152の「咳がやまない背中をたたく手がない」の孤独感よ……。
尾崎放哉の「咳をしても一人」と似た雰囲気がある。(どうやらこの二人は共通点が多いらしい。)

その次の句が、「窓あけて窓いつぱいの春」という生命感全開な句であるところも、前の句の孤独さを膨らませている。

2月21日分の感想

特に印象に残ったのを1箇所だけ。

P.166「孤高といふやうな言葉は多くの場合に於て夜郎自大のシノニムに過ぎない。」

夜郎自大は「自分の力量を知らない人間が、仲間の中で大きな顔をしていい気になっていること。」
シノニムは同義語とか類義語みたいな意味らしい。

印象に残ったのは、ピノキオピーの「神っぽいな」がよぎったから。

ちっちゃいね ちっちゃいね 器
ちっちゃいね ちっちゃいね
天才ゆえ孤独ですね かっけえ… かっけえ…
神っぽいなの歌詞

なんか天才や孤高を素直に認めてなくて、似たようなものを感じた。

2月22日分の感想

最後の文章がこれなのがいいなと思った。

“所詮は自分を知ることである。私は私の愚を守らう。”

ネガティブだけどポジティブっていう、作者の文章と特徴がよく出ている。

まとめ

生きることの苦悩を、より大きな自然の中に描くことで、自分を肯定させているのかなと感じた。
生へのひたむきさと前向きさに力を貰える。
魂を感じ取れないものに魂を感じる、作者の言葉選びのセンスを見習いたいなと思った。

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