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首都1都3県の療養者数 改定したばかりの確保病床計画の想定最大値を超える

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が加速している中、東京都など首都圏で、今冬の第3波を受けて改定された確保病床計画の想定していたピーク時の療養者数を超えていたことがわかった。
 菅義偉首相が8月2日、入院の対象を重症者と重症化リスクの高い人に絞り、他は原則自宅療養とする方針を表明、翌日医療関係団体との会合で病床確保の協力要請をした背景には、病床確保計画の想定を超えて感染者数、療養者数が増加していることがある。

(冒頭写真は8月3日の医療関係団体との会合=首相官邸より)

 病床確保計画は厚労省の指示に基づき、各都道府県が策定しているもの(厚労省サイト参照)。
 首都圏の1都3県が病床確保計画で想定していた「1日あたりの最大新規感染者数」「1日あたりの最大療養者数」と8月5日現在のデータを比較したところ、次のようになった。

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※療養者数とは、その日における入院患者、宿泊療養者、自宅療養者、調整中の人数合計。

 東京都の療養者数が病床確保計画が想定していた最大療養者数を超えたのは、8月1日だった(24774人、前日比+1455人)。
 神奈川県は8月3日に、埼玉県と千葉県は7月31日に、ぞれぞれ想定の最大療養者数を超えていた。

 一方、新規陽性者数(7日間移動平均)は、8月5日時点で、神奈川県と千葉県では想定最大値を大きく上回っている。
 東京都も8月6日に7日間移動平均値で上回った。
 埼玉県も想定最大値に近づいている。
 全体として1都3県の現在の感染拡大状況は、病床確保計画が想定していたピークを上回っていると言える。

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 厚労省は、今冬の第3波で医療体制が逼迫したことから、各都道府県に5月までに病床確保計画の見直しを求めていた
 その結果、全国の確保病床数(緊急時の対応分を含む)は、見直し前に比べ、約7400床増(+25%)、宿泊療養施設の確保居室数は約1万1000室増(+36%)となった(厚労省資料)。
 ただ、4月末当初は、全国で1日あたり最大新規感染者数は1万6000人、最大療養者数は12万8000人を想定した病床確保を見込んでしたが、結果的にその見込みを下回った。最終的な想定は、最大新規感染者数は1万4330人、最大療養者数は10万6553人にとどまった。
 この改定された確保病床数ですら、医療関係者から現場の実情とあわず「絵の描いた餅」などといった指摘も相次いでいる。

 各地で感染拡大が進んでいるため、近日中に病床確保計画上の想定最大値を上回る可能性がある。

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