65歳以上の接種完了者の感染後死亡率は未接種者より半減か
7月の感染者数と死亡者数をワクチン接種歴に比較すると、65歳以上の接種未完了者(1回接種者を含む)の死亡率は2.7%であったのに対し、2回接種完了者が感染(いわゆるブレークスルー感染)した後の死亡率は1.22%と大きく低下していたことが、9月1日、厚生労働省のアドバイザリーボードに提出された資料で明らかとなった。
(冒頭グラフは、首相官邸の特設サイトのダッシュボードより)
(アドバイザリーボード資料より一部抜粋)
65歳以上の未接種者の死亡率(2.83%)と1回接種者の死亡率(2.35%)は大きな違いはみられなかったが、2回接種者の死亡率(1.22%)と比べると、大きな違いがみられた。
後述するとおり、65歳以上の感染リスクは、接種完了者より未接種者の方が高いとみられる。
このことから、65歳以上の高齢者については、2回接種完了による死亡リスクの低減効果が表れていると言えそうだ。
65歳未満の死亡リスク低減効果は?
一方、65歳未満については、接種完了者の死亡率は0.08%、接種未完了者(1回接種者を含む)の死亡率は0.04%だった。
このデータだけを見て、接種完了者の方が未完了者より死亡率が高い、と判断することはできない。
というのも、接種完了者の感染者が少なく、死者も1人だけだったため、死亡率を比較をするにはデータが不足しているからだ。死亡率低下の効果の有無を検証するには、より長い期間の多くのデータを集めたうえで比較検討する必要があると考えられる。
ただ、今回のデータから一つ言えることがある。
65歳以上の接種完了者の死亡率(1.22%)と、65歳未満の未接種者の死亡率(0.04%)は依然として大きな格差がある、ということだ。
つまり、高齢者は接種完了していても、非高齢者の未接種者より圧倒的に感染後死亡リスクが高いのである。
もちろん、そのことは、高齢者の接種の意義を否定することを意味しない。今回のデータから、高齢者に関しては仮にブレークスルー感染しても死亡率は低くなるし、(後述するように)感染予防効果もあるとみられるからだ。
感染予防効果は?
今回の調査結果によると、接種歴が判明した感染者数は13万0088人で、うち未接種者が12万0340人(92.5%)、1回接種者が7519人(5.8%)、接種完了者が2229人(1.7%)だった。
未接種者の感染者が圧倒的に多いとみえるが、この調査対象期間(7月1日〜31日)はまだ接種率が低い時期だったことに留意する必要がある。
65歳以上の感染者数(接種歴不明を除く)は5420人で、このうち2回接種完了者は983人(18.1%)だった。
7月における2回接種完了者は35%以上であったから、65歳以上の接種完了者に占める感染者の割合は、接種未完了者に占める感染者の割合より低かったとみられる。
8月18日、25日のアドバイザリーボードで発表された8月の感染者数の接種歴データ(調査対象期間は8月10〜12日、18〜20日)でも、65歳以上の接種完了率は8割を超えているにもかかわらず、未接種の感染者は接種完了の感染者より多いという結果が出た。
(いずれもアドバイザリーボードの資料より。上の資料、下の資料)
こうしたデータから、少なくとも65歳以上の接種完了者については、一定の感染予防効果もあると言えそうだ。
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