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私と東京ヴェルディ

「味の素スタジアムに足を運んだのは、これで通算3度目ぐらいか」と飛田給駅からスタジアムへの道中を歩きながら考えていた。

なんで僕がこの道を歩いているのかというと、暇な休日に「近くでJリーグの試合でもやっていないものか」とスマホで調べだしたのがきっかけだった。

どうやら東京ヴェルディが味スタで試合をやるらしい。

東京ヴェルディのイメージは、「ロティーナが監督をしていたなあ」という程度。それ以外は正直あまり知らない。ただそれ以外にすることもないし、せっかくなのでスタジアムに行ってみることにした。

最初は軽い気持ちで味の素スタジアムに足を運んだ。対戦カードは、東京ヴェルディvsFC琉球。対戦相手の琉球はなんとリーグ最下位らしい。

味の素スタジアムには馴染みがあった。FC東京の試合を観に来たことがあったからだ。が、歩道橋の階段を登って味の素スタジアムを見てみるとちょっと知ってる味スタと違った。

いきなり「WELCOME TO OUR HOME」の緑色の弾幕がドンだ。

なんというか、同じ東京を名乗る「FC東京」がJ1にいるのは事実だ。だから東京ヴェルディの立ち位置はどんなものか分からなかった。

そこに「ようこそ、私たちのホームへ」と書かれたグリーンの弾幕。書いてはないけど「ここは青赤のホームではなく、緑のホームだぞ」と言っているように思えた。これには痺れた。

そこを抜けると東京ヴェルディのエンブレムがドカン。こんなスタジアムは見たことがねえ。

そういえば東京ヴェルディはリブランディングをして、話題になるほどユニフォームが格好良くなったとは聞いたことがあるな、と思い出した。

持っているチケットがバックスタンドの座席だったので、正面ゲートを潜って左側に進む。イベントテントやグッズショップが立ち並んでいたので寄り道をしながらバックスタンドまで歩いていたが、その通り道にはゴール裏がある。

ゴール裏の幕に言葉が出なかった。バックスタンドに行くためにゴール裏の近くを通る構造のスタジアムをあまり経験してこなかったからだろうか。その入り口の弾幕に圧倒された。これが東京ヴェルディだと、叫んでいるようにも感じた。

そこを抜けるとバックスタンドがある。味の素スタジアムのバックスタンドは初めてだった。NACK5の方がちけーな、というのが第一印象。

そこからは、サポーターの応援を見ていたり、ビールを飲みながら選手たちのアップを見ていた。聞いたことある名前はンドカボニフェイスと奈良輪ぐらい。森田晃樹もなんか聞いたことあるレベル。

ヴェルディサポのために補足をしておくと、その時のスタメンは下の通り。

〈琉球戦スタメン〉
GK マテウス
DF 深澤 ンドカ 馬場 谷口
MF 山本 梶川 森田
FW 新井 バスケスバイロン 佐藤

強烈なインパクトを残したのは馬場、ミスは目立つがポテンシャルの高さをまざまざと見せつけてくる。

そしてボールを失わない梶川と森田。ボールに触れてから自分達の思い通りにピッチ上でデザインしていくように見えた。

サイドには新井瑞希とバスケスバイロンが張っていて、それを中央の佐藤凌我が仕留める。なんとも美しいメンバー構成だった。

試合が始まると、前半2分で不運の失点。相当長い期間、勝利から遠ざかっていた琉球のサポーターが爆発したように喜んでいた。

なんだ、東京ヴェルディは大したことないや。

と思っていた時が私にもありました。

そこからの大逆転劇

スタジアムの空気を一気に掴み、新井瑞希が神になる。いろんな選択肢を相手の目の前に出してあげて、チェックメイトといわんばかりに相手を置き去りにしてシュートを突き刺す。

これだけであとはヴェルディの虜。次の試合はいつか、それだけしか興味がなかった。

気づけばそこから全てのホーム戦には平日も合わせて顔を出し、アウェイの試合はDAZNで観戦をする。城福の魅力に取り憑かれてしまい、彼のことが書かれたネット記事は全て読み漁った。

このクラブは面白い、と思った。

東京ヴェルディというクラブの特徴、歴史、クラブとしての課題や伸び代。こういった背景もとても面白く、そんなクラブを支えるサポーターの存在もとても興味深い。

雨に濡れながら最後まで勝利を信じ続けて跳び歌い、平日の夜にも関わらず遠方まで駆けつけて応援をし、負けが続いていたとしても「このクラブを勝たせるために」と必死でもがき続ける存在。

サポーターたちがどんなモチベーションで、どんな背景があり、どんな想いを胸に持ちながら応援をしているかは知り得ないが、そこには愛があると思う。というか、愛がないとそんな行動はできるはずがないと思う。

そういうのを見ていると、ますます興味を惹かれた。

いまはJ2の中位に沈んでいて、10年以上J1でプレーできていないクラブなのが事実だ(サポーターにとっては耳の痛い話かもしれないが)。クラブに関わる全員が、この泥沼から抜け出そうとそう思って行動をしているのが分かる。

面白いのがサッカー観戦をする立場はお金を払う客の立場のはずが、クラブに貢献できないかと考えている。ある人はグッズにより金を払い、ある人はスタジアムで1mmでも高く跳び、1分でも長く声を出す。ある人は、遠方のアウェイにまで足を運んで、アウェイの地でチームにエールを送る。

実は1度だけ声出し応援のあるゴール裏に忍び込ませてもらったことがある。外から見ていると「頑張ってるな」ぐらいにしか思わなかった。中に入るときつくて跳べない、声を出せない。本当に90分間跳び続けるということがどんなに大変かを身をもって感じた時間だった。

少し脱線させて欲しい。いろんなエールの送り方はあるだろうが、試合中に跳んで声を出して頭の上で手拍子をするゴール裏の存在はあまりにも異質だった。彼らの願いが報われる日がきて欲しい。

こんな文章を上げることに意味があるかどうかは分からない。ただ、初めてヴェルディを観に来て、最近好きになったやつの意見というのも少しは価値があるかもしれない。

そんな密かな思いを込めてここにまとめた。
それが、私にとっての東京ヴェルディ。

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