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ツインレイ?の記録5

1月31日
翌日も彼から仕事後の一日報告がくる。
さりげなく最後に
「今週末から気温が下がるので風邪に気を付けてください」
と書いている。

今気づいたことだが、彼は常に私の体の心配をしている。
病気や弱っている人に対しての心配や不安がこの人にはある。

さらにこの時彼は私があまりにも彼の炊いたごはんがおいしいと感動していることに対して、自分なりに理由を考えている。
お米の作り方がちがうのか、水がちがうのか、彼なりの分析を長文で書いている。とても彼らしいと思う。

でも、その理由は私が幼少の頃、普通に白いおいしいごはんが食べられなかったということに起因するもので、彼が握ったおにぎりに彼の人柄や愛情が入っていたのを感じたからなんだと思う。

そして私は自分が炊いたごはんでおにぎりを作ったことを書いている。チーズおかかに塩昆布。それに対して、よだれが出てきたと返事をすぐにくれた。そして料理のレパートリーが多くて多才だとまた褒めてくれている。

本当にこの時の彼は私をよく褒める。

そしてこの時私は足を攣っていて、思わずそのことを書いた。

するとまたそれに対して心配する返事。
どのように対処すればいいかも細かくアドバイスをしてくれている。
まるで私のことが見えているかのように、
「足が冷えていませんか? 寒い格好はダメですよ」
と書かれ、
「せっかく回復したのに気を付けてくださいね」
とも書いている。

たった二か月前のことなのに、まるで別人かというぐらい、私を気遣い、温かい言葉をかけてくれている。

むしろ今のほうが不自然に感じる。
今、私はこの時よりもひどい状態で、異国で一人でひざの水抜きをして、とんでもない目にあったと伝えているのに、彼は返事すらしない。

本来の彼ならば「痛そうですね、お大事にしてください」ぐらい誰に対しても返しているはず。

やはり今の状態が不自然な気がしてならない。
たとえ私のことが嫌いだとしても、もういいやと思って連絡を断とうとすると、連絡をしてくるのは彼のほうで、そのくせ私の返事は無視する。

なぜか私には頑なに本来は人に対して気遣いもできるスマートさすら封印する。

普通に考えてみても、たとえ相手がどうでもいい相手だとしても、手術しましたとか具合悪かったとか送られてきたら、心なくても「お大事に」ぐらい一言返すのでは?

まあ心底どうでもよかったら返事もしないけれど、そんな相手には、私は自分から連絡しようとすら思わない。

だから彼の行動はまったく矛盾していて、よくわからない。
ましてや彼は本来人の体を誰より気遣える人なのだ。

そして私はもともと人に心配してもらいたがりなわりには、あまり人のアドバイスも聞かず、自分で自分の体のことをそこまで気にしていない気がする。

だからこの時のメッセージのやりとりでも、まあ、足攣るぐらい大したことないよぐらいなノリで、その日探検した見知らぬ場所の動画を送りつけている。

それに対して彼はやはり心配していて、張り切って歩いた後はストレッチするようにとか、整理運動が大事だと返事している。

そして私は
「運動部の部長ですか?」
と書いている。
するとそれに対して、
「運動部ですよ、よくわかりましたね、エスパーですね」
と彼。
その前に私が冷え性で寒い格好していることを見抜かれて
「エスパーですか?」
と言ったからだ。

本当にこの時の私たちは、会話がスムーズで意気が合っている。

2月2日
この日は雪で、私は朝、自分が住んでるマンションで雪に書かれた字を見つけた。それは少し前彼が書初めで書かされたという字と同じ字だった。

だから私はその字の写真を撮って彼に送った。
前に書初めで書かされた字の写真を送ってくれたから、そのレスポンスのような感じ。

するとその日の昼に返事が来た。

面倒な会食があったようで、日本人は少ないから珍獣扱いされているようだとめずらしく少し愚痴が漏れる。

そしてさらにまた私への心配。
「寒いのに外出して大丈夫ですか?風邪を引かないようにしてください」と。

そしてここで彼は前日片頭痛で寝込んでいたと伝えている。

実は毎日続いていた彼からの連絡が途切れたことを私は少し気にしていた。
片頭痛が理由とは知らなかった。

この時すでに兆候が出ているが、彼は私に会ってから、どんどん体調が悪くなっていった。私が彼に会う前、めずらしく発熱し絶不調だったように。私もその時頭が痛かった。頭痛は私にとっては珍しい。

私はこの日、一人で町の比較的大きな商業施設のスーパーに初めて行った。
土曜日に彼がごはんを食べに来るので、材料を探しに行ったのだ。少しでも良い材料をと思うと、タクシーで15分ぐらいのところに行かねばならない。
そこのお肉屋さんは私にとって大発見で、近所のお肉屋さんより良いお肉があったし、器械を使えばひき肉もできて、その器械がおもしろいので大興奮していた。

その時の動画や写真を彼に送っている。

そしてその商業施設に入っているマクドナルドの写真も撮って送った。
ここはかつていた若い駐在員さんが二時間かけて通っていたというところだ。

ここが私にとって忘れられない場所になるということは、この時はまだわかっていない。

そしてその夜、仕事後の彼から返事がきた。

その商業施設は彼もよく一人で行くとかで、お肉屋さんで私が買った鳥の胸肉は彼も以前頻繁に買っていたというものだった。すごい偶然。

この時彼は翌日の私の手料理がとても楽しみだと言っている。
本当にこの時の彼はなんて素直に言葉を表現する人だったんだろう。

さらには、気温が低かったのに、外でバスを待っている間大丈夫だったかと聞いている。「風邪をひかないように温かくしてください」と。

それに対して私も返事。
同じ場所、同じ肉屋に行っていたとはいえ、ひき肉ができることを彼は知らなかったので、
「ひき肉だけじゃなく、私と一緒に行ったら新しいおもしろい発見できるかもしれませんよ笑」
と返している。
次は、ここで見かけた輪投げもやりたいと。

彼は輪投げにも反応してくれたし、この時私がバスの運転手に言われた言葉等にも反応してくれている。

本当に私のすべてのコメントを拾ってくれている感じで、今とあまりにも違い過ぎる。

そして異国である上にきつい方言で何を言っているかわからないバスのおじさんとのやり取りに対して
「そんなに高度なコミュニケーションできるのはすごいです。その人柄がこの町の人たちに愛されているんですね」
と温かい言葉をくれた。

きっともともと他人をよく褒める人なんだろう。
紹介者である共通の知人(彼にとっては部下)のことも褒めていた。

そんな彼がまったく私を褒めなくなったのは、もう異常といってもいい。
極端な話、彼は嫌いな相手でも褒めることができる人だと思う。

さらに続くメッセージでも、翌日の料理についてやりとりをしている。
かぼちゃの煮つけが少し味付けが濃くなったんじゃないかと私は心配している。さらにかぼちゃがどうも日本のとはちがうので、ほっこりならないということも。

そしてかぼちゃが日本とは違うという感覚に対しても彼は共感を示している。

今はまったく共感を示そうともしないし、私が共感を示しても彼は拒絶するところがあることを考えると、なぜそこまで豹変したのかと言いたくなる。

この時の彼は本当に私の手料理を楽しみにしていて、食べられるだけでも満足だと言っているし、感謝を示している。

今やまったく食べにこようともしないし、気軽に来てほしいという私のメッセージもスルーされていることを思うと、悲しくなる。

彼ぐらいの人当たりの良さと交流能力があれば、やんわり断るとかもできるはず。なのに完全無視の意味がわからない。角の立つ振る舞いをしたり人間関係に波風立てるような人ではないのだ。

たとえ私の恋愛感情がもろバレしていて、気持ちに応えられないから拒否しているのだとしても、もうちょっと穏やかな避け方があるはずだ。

ましてやこの人は絶対にモテる人だから、今までにも女に言い寄られて困ってきたことは多いだろう。もっとうまくかわせる術ぐらいもっていそうだ。それなのに今現在の私への拒絶はあまりにも稚拙でひどすぎる。

しかも中途半端だし。

完全に拒絶や無視をするわけでもなく、会いたくないってわけでもなく、会わないようにしようと思うと、そのタイミングで連絡がくる。

本当にわけがわからない。

それに好きバレしたからってのが理由なら、この時のメッセージのやりとりを見ても、明らかに私は好きだし、もろバレもいいところ。
モテ慣れている彼ならば、こんなの一目瞭然だろう。

その上で優しくしてくれていたのに。

でも、この後が問題だったのか。

翌日、私は風邪の回復後、初めて彼と会うことになる。

この時の私はもう恋をしていた。
私の中にある想いは、この時はまだ恋だった。



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