【新日本プロレス】1996年④ 夢のSGタッグ。そして近づく黒船…

気づけば、1996年表も4回目になってしまいました。盛りだくさん過ぎ。
でもとにかく、プロレスのどこを切り取っても面白かったのが、実はこの1996年かもしれません。
特に1997年からは『対バーリートゥード』という側面が少しずつ強くなり、リング内よりもリング外のことが話題になる年だったので…

①SGタッグリーグ

ともかく、秋からは「SGタッグリーグ」が始まります。
普段組まないような選手が組んで驚かせるのが、当時のタッグリーグの魅力でした。
この時は、その色が特に強かったんですが、まず本来であれば
・スタイナーブラザース(リック&スコット)
・ジュラシックパワーズ(ノートン&ヘルナンデス)
の二組が目玉だったわけですが、それぞれスコットとヘルナンデスが怪我で欠場となります。
じゃあ、組んだこともあるしリック&ノートンで一組に・・・というのが一般人の考え。
「どうせならこの二人を使って新たな話題を作ろう」とするのが坂口ー長州のコンビです。

その結果、
リック&武藤の日米陽キャコンビ(96年に陽キャなんて言葉無いけど…)
ノートン&橋本の日米恐竜コンビ
というとんでもないタッグが誕生します。

本来、タッグマッチというのは
①中堅二人が、お互いを補い合うコンビネーションで活躍する
②若手(または大ベテラン)がエースと組んで、エースをサポートする

という図式で成り立つことが多いんですが、この2組はとにかくどちらもエース格。対戦相手からしたらどちらを狙っても地獄という鬼タッグが二組もいるのでまあ大変です。
そうは言っても、蓋を開けてみると
 武藤敬司&リック・スタイナー
 橋本真也&スコット・ノートン
 蝶野正洋&天山広吉
 長州力&佐々木健介
 藤波辰爾&越中詩郎
 山崎一夫&飯塚高史
 小島聡&中西学
 ロード・スティーブン・リーガル&デイブ・テイラー

と、他のメンバーも強豪ばかり。
※思えば、このころ頻繁に藤波・越中組って組んでた気が…維新軍なのに。

名前だけ見ると見劣りしそうな山崎&飯塚も前タッグ王者ですし、小島&中西も、IWGPへの挑戦も果たした小島、凱旋帰国後の9番勝負で大物食いを連発した中西の勢いあるコンビで「全組優勝候補」といって差し支えないようなカード編成でした。

とはいえ、まあやっぱり決勝は前述の二組です。

人気をバックリ二分する両者ですが、勝ったのは橋本&ノートン。
ここでも橋本が存在感を示します。

ある意味、悔しいG1からSGタッグでの優勝という流れを見せたことで「勝っても負けても注目を受ける」という猪木イズムを体現していたのかもしれません。

また、この頃から東京ドーム大会のカードが続々決まっていきます。

 橋本真也vs長州力の、王者対G1覇者の頂上決戦
 グレート・ムタvsパワー・ウォリアーの二重人格対決
 蝶野・天山のタッグ王座に、藤波・木村の初代王者コンビが挑む
 ウルティモ・ドラゴンの持つ8冠統一王座に、ライガーが待望の挑戦

また、度々押しかけてくる大日本勢に対して「小鹿、お前が直接上がってこい。そしたらこっちも人を用意してやる」と長州が応戦の姿勢を見せました。

②バトルファイナル’96

・闘魂烈伝杯SGタッグスペシャルトーナメント
いや、正確にはバトルファイナルでもないし、何ならSGタッグでもない狭間のシリーズで行われた大会なんですが、ちょうどこの頃発売されたプレイステーションのゲーム「新日本プロレスリング闘魂烈伝」を記念して、ワンナイトタッグトーナメントが開かれました。
 健介、大谷
 武藤、ライガー
 飯塚、永田
 野上、小原

といった、本線では作れなかったような混成タッグ4組で争われたわけですが…もう、明らかに決勝で「健介、大谷vs武藤、ライガー」を見せたいがために作ったトーナメントだと思いますよね。
なんなら、他の選手は闘魂烈伝に収録されてませんし(笑)
※もっというと、闘魂烈伝の1作目はそもそもタッグマッチが非対応ですが…

見ている側も、当然このカードが決勝に来るかと思いきや。
まずライガーが小原のネックブリーカーで3カウントを取られます。
ここで、決勝がまさかの健介、大谷vs野上、小原になるんですが、更に試合は野上が大谷をドラゴンスープレップスで破り、このトーナメントは野上、小原組が優勝します。
もしかしたら、この年一番の番狂わせだったかもしれません。
これで、新日本初のプレイステーションソフトの発売に華を添えたのでした。
まあ、野上も小原も、出てませんけどね(ふたりとも、4作目でようやく登場します)

・バトルファイナル中の出来事
ここで一番大きな話題は、健介の試合におけるグレート・ムタ乱入です。
健介vs小島のシングルに完勝し、健介のテーマ曲が流れる中、グレート・ムタが乱入して健介に毒霧噴射。さらに鉄柵で殴りつけた後ラウンディングボディプレスでKOし去っていくというものでした。
武藤自身は、その前に試合を済ませており、わざわざペイントをし直してムタで登場したことに、完全に意表をつかれましたし、そもそも当時の新日本でこうした仕掛けが少なかったこともあり、これがまた1.4における二重人格対決への大きな話題となったのでした。

また、1.4の追加カードで「新日本vs大日本」でのマサ斉藤vsグレート小鹿などが決定。

実はこの頃、国内では水面下で『高田延彦vsヒクソン・グレイシー』の交渉が進み、国外ではケビン・ナッシュ、スコット・ホールがハルク・ホーガンを取り込みnWoを結成。
『2つの黒船』が着々と日本プロレス界へ侵食する準備を進めていたのですが、まだ関係者もファンも、それに気がつく人はいませんでした。


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