スタートアップの経営者と幹部候補

創業者との付き合い方については、そのフェーズやお互いの経験値、ビジネスの状況などによって変化するので、答えがあるものでもないのですが、最近、少しスタートアップの経営者から幹部候補が自分に批判的で困っているとの相談を受けたこともあるので、少し自分の考えを整理してみました。

スタートアップで経営者が比較的若く、一方で、会社の拡大フェーズに入り、経験値の高い幹部あるいは幹部候補を採用した時に、この幹部が経営者の意思決定やリーダーシップなどに対して、批判的な対応をすることがあります。時には、経営者失格的なことまでいう人もいます。

この場合、スタートアップという状況が理解できていない、また経営者の一側面しか見えておらず、自己評価が高く、経営者含め自分が一番できるのにと評価が不十分と感じている、ことが多いような気がします。

スタートアップでは、問題がガンガン起こるので、大企業などから来た社員は特に、経営者が会社をしっかり管理できていない、と感じることが、一つの原因な気がします。経営者は何をやっているんだと。ただ、スタートアップの場合、様々な模索をすればするほど、はじめてで問題が起きます。大企業では、これまでの経験値で、問題が起きない、あるいは、起きても最小限に抑えられる仕組みが長年の間に構築されています。大企業で、経営者が全て管理して、抑え込んでいるわけではありません。また、模索している段階では、PDCAを重ね、方針が明確に決めるまでは、あまり重大な意思決定はしないほうが懸命な時期があります。ただ、当然、周りは早く決断してほしいのに、決断できていない、方針をなかなか定めずリーダーシップがないと思ったりもします。

本来、経営者を支える幹部候補で入社したのであれば、こういった状況を理解し、経営者とスタッフをつなぐ役割を担うべきところを、経営者批判に走ってしまったりします。

また、スタートアップでは、資金調達の成否は、正直、経営者次第です。また、重要な顧客に食い込めるかも担っていますし、採用も経営者次第です。大企業における経営者とは役割が違うのですが、一側面だけ見てしまうこともあります。

また、大企業などからベンチャーに転職すると、ポジションは当然、一気に上がると思っている場合が多いのですが、一方で、採用時はあくまで幹部候補で入社し、幹部登用されないと、自分の評価の正当性のために、経営者やその他の経営メンバーの批判をしたりします。

ただ、スタートアップでは経営の浮き沈みが激しく、経営者はいい時だけでなく、悪い時でも自分を支えてくれる、自分が本当に信頼できる、企業文化にあっている、と思える人を幹部に登用すべきです。能力は高いに越したことはないですが、能力優先で登用してはいけないし、登用される側も、早期に登用されたければ、そのことを理解すべきだと思います。

スタートアップの経営者ももちろん完璧な方はおらず、課題はあるでしょう。それでも、起業し、キャリアのある方を採用できるフェーズまで来ただけでも尊敬すべき存在です。幹部候補で採用された方は、まずはとにかく経営者を信じ、また、自分も経営者から信頼され、徐々に幹部として権限移譲される中で、自分の経験値を生かして、会社の課題解決をしていく、ということが大事な気がします。

こんな話を経営者の方に頼まれて、幹部の方にお話したことがあります。

少なくとも、私は、経営者の方より自分が年齢が、上も下も経験していますが、どちらも同じように考えていました。

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