ミッション・ビジョン・バリュー

https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/soshiki/200703/02.html

今日の経営で、呼び方は色々ですが、ミッション・ビジョン・バリューの扱いをどうするか、ということは大きな問題だと思っていますが、今一つスッキリしないところがあります。

1)ミッション・ビジョン
個人で会社を立ち上げても、ミッションやビジョンがなくても成り立ちます。もちろん、ミッションやビジョンがある方が、それを旗印として、人が集まり、ビジネスを大きくしやすいことも確かです。より、尖ったミッション・ビジョンがあれば、尚更です。
一方で、無理に社会性のあるミッション・ビジョンを早めに掲げると、それ自体がビジネス展開の縛りになることもあります。企業が生き残っていくだけでも簡単ではない中では、縛りや強ければ、それだけ難易度が高くなります。

人が会社という存在に集う以上、利益を上げることは当然ですが、それ以外の目標に過ぎません。社会性だけでなく、面白いければいい、ITに関われればいい、儲かればいい、みたいなものでも集う目的になります。実際、上場IT企業のミッション・ビジョンはかなり柔軟なものが多いです。高尚なものだから、会社が大きくなったり、うまくいったりするわけではありません。
もちろん、中には、会社及び経営者が、その明確な社会的な使命を感じてビジネスを始めることもあるし、それに共感することももちろんあり、素晴らしいことです。

私のように経営メンバーとして経営に関わる者として、ミッション・ビジョンは尖っていればいるほど、ビジネスを拡大させるという観点だけで見ればメリットもあり、デメリットもあります(ビジネスが拡大すればいいわけではない場合は別です)。まあ、何がしたいかですが、ミッション・ビジョンを立派なものを掲げてもビジネスがうまくいくとも限らないし、ほとんどなくてもうまくいくものはうまくいきます。

2)バリュー
社員にこういう風に考え、行動してほしい、という基本的価値観、と言われますが、どこまで具体的に書くかにもよりますが、ミッション・ビジョンは集まる目的ではありますが、実際の企業行動にもとになる役員・社員の行動にはこちらが重要です。そして、別でも書きましたが、明文化する以上、徹底させる必要があり、徹底を求めると、この文書が役員・社員の行動を制限することになります。当然、反していれば評価が下がるべきです。その意味で、明確に、推奨すべきこと、してはいけないことを文書化していき、実戦されると一番、企業文化に影響を与えることになります。実際、以下のサイトにもあるように、各社のカルチャーの差は、経営理念よりも、バリューや行動指針の方が明確に出ています。

https://rplay.me/8770/

また、バリューや行動指針が、直接の組織運営にも影響し、業績にも影響を与えます。

ただ、たまにあるのが、経営者は理想主義者の方が多く、数年先の理想を語るが、実際の組織とあっておらず、役員や部長にあまりミッション・ビジョン・バリューが浸透しないということもよくある気がします。
その場合、そもそもの理想があまりに現実離れしているのか、それとも現実を理想に一気に近づけないと、会社の社員が困惑しますし、中途や新卒社員も困惑します。
ただ、最初のリクルートのサイトのリンクにもあるように、ミッション・ビジョン・バリューの浸透には、ある種の宗教と同じような浸透プロセスが必要で、非常に大変な労力がかかります。これが、徹底してできる組織は、何でも徹底できるためビジネスでも勝てる組織になりますが、徹底する過程は生半可なものではありません。多くの企業にある社訓を読み、社員証、社員手帳、社員総会というプロセスもその一環ではありますが、最近はうまく機能しない会社も増えています。

日本人は、信仰深い人が少ない代わりに、企業への信仰が強かったのが過去ありましたが、今後は、どこによりどころを求めるのでしょうか。また、メンバーシップ型からジョブ型へ移行していく中で、企業におけるミッション・ビジョン・バリューのあり方は、どう変わっていくべきでしょうか。個人と企業との関係にも影響しそうな気がします。

何か答えを持ってはいないですし、会社の存在意義や経営者の思想によるので、そもそも答えを出すべきものでもないのですが、経営に関わるものとして、抽象度も高く、効果も短期的に見えにくいので、大事なのですが、ほんと悩ましい問題だと思っています。


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