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紅の言の葉

14
四角に収める言葉遊戯
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2020年5月の記事一覧

散り際にこそ美ありき

散り際にこそ美ありき

執着に囚われた男の醜態
出処進退を見誤る愚かさ
屍蝋のようなその振舞い
動揺しては裾を引っ張り
狼狽しては手を離さない
卑劣だ嬌態だ手練手管だ
その言葉のすべて受容し
自らの狡猾と冷酷を認め
汚れ穢れ廃れを確と見た
どれだけ憎まれてもいい
一生涯を以て恨むがいい
契りや縁など陽炎も同然
未来永劫続くもの等無い
此れぞ心を欺いた顛末か
我が目の曇りにすら眩暈
去り際に姿を現した本性
本当は気づいてい

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白露の告白

白露の告白

君の寝室から見える沙羅双樹になる
そんな白昼夢で僕は夢か現か微睡む
君が瞳を閉じた後の真夜中に祈るよ
どうか甘い夢を唇には淡い微笑みを
白が夜を越えるまで僕は此処にいる
朝になれば白露になって消え失せる
何の心配もいらない安心して欲しい
君の白肌は僕が守る傷一つ許さない
僕は毎晩花になり君の寝息を見守る
君の庭の聖なる白き花弁は僕なんだ
だからどうか僕を忘れないで欲しい
君が望む白夜にも必ず連れて

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