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ハイライフ八ヶ岳2022を終えて

ミッチェです。
ハイライフ八ヶ岳2022が小淵沢女神の森ウェルネスガーデン&セントラルガーデンにて二日間の開催が終了した。
少し時間が経ってしまったけど、この日の事を忘れないように残しておく。

今年のハイライフはなかなかタフだった。
年始、サンメドウズが使用出来ないところから、女神の森でやる事を想定しつつ、キャンプ地探し。
そして、主催南兵衛さんの体調不良。
結局、実行委員長である三上君との対談を経て、開催発表出来たのは5月だった。

未だコロナ禍でありながら、しかも清里では無い地で、そこまでして開催する必要はあるのだろうか。
多分、みんな思ってたと思う。
俺も思ってた。

でも、どこかでもう一つ思っていたのは2021年の延期を決めた時の思いだ。

「また、ここで会えるように」

この言葉には、延期発表という意味に加えて、コロナウィルスによって、フィジカルな部分だけではなく、心理的にも分断されてしまったことに対する回帰的な意味も俺は思ってた。

2022年なし崩し的にイベントの実施などに対する行動制限が緩和され、感染対策をしながらもだいぶ通常の生活ができるようになってきた。
しかし、どこかで分断というか、コロナ前の生活とは違う。多分誰もがコロナ前の生活には戻らないだろうと思っている。
そうして、新しい時代を迎えているのだと思う。

その新しい時代にハイライフがどうあるべきか。

俺はハイライフでいうところの役割として、クリエイティブディレクターという称号を昨年もらった。
正直言って、クリエイティブディレクターって何をする人なのか分かっていない笑。
クリエイティブって言ってるのだから、何か作る人だろうと思って、それならVEJとして WEBや映像を作っているので、すんなりその称号を受け入れたのだが、"音楽フェスを作る"ってWEBとかよりも、もっと大きな括りになるので、まず何からやれば良いのかさえ分かっていなかった。

だから、まず目的や意味を求めたのだ。

「八ヶ岳で音楽フェスをやる意味とは?」

数多くの音楽フェスがある中で、ハイライフを八ヶ岳でやる意味とは。
個人的にハイライフに携わる意味は、"八ヶ岳の魅力を音楽フェスを通して伝える"ということだ。それはずっと変わってない。

でもお客さんにとって、出演するアーティストにとって、また地元の人を含めたスタッフにとって、八ヶ岳で音楽フェスに参加する意味とはなんだろうか。

正直言うと、ずーーっと考えてる。。
開催決まってからずっと。
なんなら当初、開催します!っていう意気込みよりは、開催することになったけど、どうするんだろうって感じでフワッと思っていた。
そしてそれで良いかなぁとも思っていた。

その頃、俺はブライアンイーノ先生の「終わりではなく始まりをデザインする」という言葉を信じていた。ゴールを設定しちゃうと、どうしてもゴールに最短で辿り着くことが目的になってしまう。そもそもゴールなんてないという前提の元、誰かと話したり、出会ったり、偶然の産物を楽しむことで、より良い社会が形成されるという考え方だ。
だから今年のハイライフはゴールを設けないように心がけた。
もちろん9月10-11日の開催日はある種のゴールではあるのだけど。

そうして「ワンダーラスト」というテーマを設けた。

そして、「開拓」「実験」「発酵」という本来ハイライフにあったアイデンティティをあえてピックアップしたのだ。
これはゴールではない。
9月の開催で完成されるものでもない。
今回で5回目の開催となるハイライフがずっと持ち続けていたものだ。なんなら清里という場所が持ち続けていたものだ。

ハイライフは音楽フェスなので、もちろんライブや食やコンテンツを楽しむイベントだということは大前提である。

その上でテーマをライターの葛原さんと考え、あえて設けてみたのだ。
だからといって音楽フェスを開催する意味になったかどうかはまだわからない。

しかし、これから開催までに起こるであろう偶然の産物を楽しむ"始まりをデザイン"したんだと思う。

そして生まれたのは、発酵兄妹率いる発酵にまつわる食やトークが楽しめる「発酵サーカス」だ。
ぶっちゃけ、開催の2週間前くらいまで、どんな内容になるか分からなかった笑
でもそれで良かったのだ。
だって発酵兄妹を信頼しているから。
失敗なんかなくて全て成功だから。
そして見事当日たくさんの人が賞賛するエリアに仕上がった。

発酵サーカス:発酵にまつわる出店やトークが楽しめるエリア

あとstarRoさんと巡る山梨発酵ツアーも良かった。これもstarRoさんが山梨に来てくれるまでどんな形をなるかわからなかった。でも、発酵の捉え方が面白く、ものすごく勉強になった。そして、音楽と発酵の関係性も知ることができた。当日のトークでも言っていたが、「自然体でいること」それがどれだけ大事か。発酵が自然現象の一つであるように音楽をはじめとする文化も自然発生するものだと。実はこの言葉は翌日アルソアの社長も同じ事を言ってた。

甲府にある大木さんのお店「フォーハーツカフェ」にて

それと川嶋直さんとermhoiさんのSDGsに関する動画。実は「SDGs」という言葉自体そこまで俺は大事だと思っていない。(そんなことに言うと川嶋さんに怒られちゃうかも。。)
何が大事なのかと言うと、コロナを経て、経てというかまだコロナ禍だけど、それと並行して、「モノから価値」に大きく時代が変わっていること、これから迎える新しい時代をおいて、どんな考え方を持っているべきなのか分かるのではと思って収録させてもらったのだ。

そう、”空間的にも時間的にも大きな視野が必要だ”ということ。そうして新しい時代に向け持続可能な地域や社会に対して音楽フェスがどうあるべきかを考えた。

そうやって開催に至るまで色々な物を作っていった。大事なのは、何度もいうがゴールを決めないこと、仕上がりを決めて作らないこと、スタートをデザインして、偶然の産物を楽しむということだ。
音楽フェスってこういうものだから!っていうのが通用する時代ではないのだ。

ハイライフはご存じの通りたくさんの人が携わっている。俺はその人がどんな事をしたいのか、そこに向き合い実現に向けてサポートすること、そして感謝することに徹した。
ブッキングに関してもそう、南兵衛さんが呼びたい人、葛原さん、AUTOくん、マイケル、みんなそれぞれがハイライフに呼びたいと思う気持ちを大事にする。そして、参加してくれるアーティストがハイライフを通して何を楽しみにしてくれるか、何をやってみたいか、そんな事に注力した。勝井さんの発酵サーカスでのソロライブもその一つだ。

勝井祐二ソロライブ『発酵する音楽』

そうして紆余曲折を楽しみながら開催1週間前。
土日を潰してまで参加してくれる出店者や既にリハーサルでスタジオに入ってるアーティスト、トーク登壇者、ギリギリまで準備しているスタッフ、そして何より楽しみにしてきてくれるお客さん。そんな人たちのことを思いながら、結局、WEBに映像に紙媒体に、VEJのメンバーをはじめとするPR部隊は直前までフル稼働でプロモーション活動に注力していた。

そして、3日前から現場入り。
大工の小田切さんと美術の設営しながら会場の準備を進めたのである。

清里にある谷口牧場に実際あったものを会場美術に


迎えた当日。


始まってしまえば例年の如く一瞬で過ぎてしまった。
俺自身、全てのライブを観ることは難しく、挨拶出来なかった人もいて申し訳ないと思いながらも、いろんな人にヒアリングしながら、どのステージも素晴らしかったことを聞く。
本当に良かった。
もちろん迷惑をかけてしまった人もいたと思うけど、「ハイライフ楽しいよ最高だよ」「こんなに演奏しやすい音の環境はなかなかないよ」「子供たちがライブで踊ってるのを見て天国みたいだった」「来年は、こんな事がしたい!」と声をかけてくれる人がいた。

今、オフィシャルカメラマンの写真を見ながら、当日の様子を思い出し、見れなかったステージはその様子を写真から想像している。

「八ヶ岳で音楽フェスをやる意味とは?」

正直、まだ分からない。
意味など必要なかったかもしれない。
みんなが楽しんでくれていたのなら、それが一番のやる意味かもしれない。
難しく考える必要などなかったかもしれない。
クリエイティブディレクターとしての仕事が出来たのかどうかも分からない。
そう、結局分からないことだらけだけど、俺はすごく楽しかったと、今はそう思ってる。
そうなの、大変なことも辛いこともいっぱいあったけど、誰よりも楽しかった自信が俺はある。
何故なら誰よりもハイライフでやりたいことをやらせてもらったのは俺だから。

ハイライフとしては6年目、VEJが携わって5年間、ビジュアルをはじめとするチラシ、ポスター制作、オフィシャルWEB、カメラマンの手配、映像、グッズ制作など、さまざまなデザインや制作をさせてもらう機会を頂いた。また、出演を快諾頂いたアーティストの方々にも最大のリスペクトを。今年に関してはVEJ柊子が中心となって、参加してくれた出店のみんなにも感謝。
「お前はフェスのこと、何も分かってない」
なんて言われながらも、自分たちのクリエイティブを信じて、5年間ここまで頑張ってこれたのはVEJをサポートしてくれたみんなのおかげです。

最後に、ハイライフ八ヶ岳に携わってくれた全ての皆様、そしてVEJのみんな、今年もありがとうございました。
お疲れ様でした。

来年どうなるか分からないけど、ゴールなんて存在しない、偶然の産物を楽しみながら日々ワンダーラストに生きていきましょう。

VEJ 宮沢喬 - ミッチェ

photo by 平林岳志、古厩志帆、丹澤由棋

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