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第18回書き出し祭り 作者予想

 書き出し祭りとは、小説家になろうにて開催されている企画です。以下、企画趣旨および概要を書き出し祭り事務局様のtweetから抜粋します。

【企画主旨】
 小説の書き出しは、とても大切なものです。 物語の掴みでもあり、読者を引き込む最初の一手でもある書き出しの重要性を学び、今後の創作に活かすことを目的としているのが当企画です。 多くの方に企画が広まり、読まれ、多角的な評価が生じることが企画の助けになります。
【企画概要】
 プロ・アマ混合、匿名状態、新規作品を条件に掲載された100作品から、読者投票により最も魅力のある書き出しを決定する企画です。 同じ条件の中で、どのように読者を引き込むかを考え、また読み手としてどのような所に魅力を感じるかを知ることは、創作の手助けになるはずです。

 第18回を迎える今回、参加作品のタイトルあらすじは既に公開され、本日4月22日(土)18時~本文が公開される予定です。これから各作品の感想・分析等で盛り上がることが予想されますが、企画盛り上げの一助として、「タイトルあらすじだけでの書き手予想」に挑戦してみたいと思います。本文公開後だと文体等でヒントが出てしまうため、現段階ならではの楽しみということで……作風を知っている数人の方に限りますが、どこまで迫れるか、やってみたいと思います。

 なお、タイトルあらすじの一覧は下記からご覧いただけます。

 では行ってみましょう。


第1会場

18-1-6.
奇天烈卿のヴンダーカンマー
予想:fさん
 
会場を開示されてはいないですが、「タスクを抱えた状態が嫌」というようなことを仰っていたので、第1会場にいらっしゃるのでは、と推理。あらすじでの一字下げの有無は、過去作を確認したところまちまちだったので決め手にはならなさそうでした。
 全体的な文体に加えて、ドイツ語仲間、とも勝手に思っているので、伯爵の名やWunderkammerを持ってくるセンスがそうかも、と……? ただ、私ならKammerはカマーと表記するので、fさんがmmをどう表記するかのサンプルが見当たれば良かったのですが。
 あとは、不思議な収集物の数々がなろう等で公開されていた「影をゆく人」にも出てくる遺物を連想させること、用語を《》で括る表記も(まあよく見るものではありますが)根拠です。
 18-2-2.「 鐘の音色が消える時」も、タイトルとあらすじの途中までは「っぽいかも……?」と思ったのですが、fさんはたぶん「主人公の成長物語」は書かれないだろうという謎の信頼があったので除外しました。18-2-4.「 ヶ族の花嫁と契約の呪鬼士」も、タイトルからは(fさんも参加されている)異世界風土記の気配を感じたのですが、「ボーイミーツガール・ファンタジー」は書かれないだろうというry。

18-1-12.
半年遅れのレシピブック
予想:井戸正善さん
 書籍化作家の先生ですが、ほかの方と揃える意味で「さん」付けで統一させていただきました。
 端的ながらイメージを膨らませるタイあらからすでに強者の雰囲気が漂っているのですが、特に根拠になったのは、下記の記事です。

・「感情揺さぶりポイント」を分かりやすく提示する
・作品の結末は予想できそうだと思えるように
・物語全体のイメージをわかりやすく
 ……ということを仰っておられます。「半年遅れのレシピブック」もまさにそうでは? と思ったのですよね。妻との死別、レシピを通してのその死の受容というログラインは多くの読者に分かりやすく共感できそうではないでしょうか。物語の結末としても、おそらくですが夫婦の絆を描いた感動が得られるのではないかと予感させますし。
 また、半年遅れのレシピ、について「時期外れな料理も多いけれど」とちゃんと言及があるのも「分かっている」感があるんですよね。お店をやっていたと仄聞しておりますし、旬外れのレシピを美味しく見せたりエピソードで盛ったりする手腕もきっとお持ちのはず、と期待しています。

18-1-21.
不死の少女はただ終焉を希う
作者予想:天崎剣さん
 
智子さんの下記記事をはじめ、既に複数の方が予想されているので今さら感はありますが……一応、ご本人にDMを送ったのは智子さんの予想前なので推理は独自に行っておりますよ!

 根拠としては、作風で絞りました。雰囲気重めのファンタジー、疑似家族、冒険もの(?)、ボーイミーツガールあたりの要素が天崎さんっぽいな、と……。twitterでたびたび公言されているように、少年漫画がお好きな書き手さんなので、少年主人公というところにセンサーが働きました。また、恋愛要素がメインではなく、追放や成り上がりやTUEEEがないファンタジーって今どきは意外と少ない気がして……。また、不死者が死を願う作品は多いであろう中、こちらの作品ではあくまでも生きる喜びを探す旅を扱うようなのです。この点も、上述した少年漫画的な希望・明るさに繋がるかと思いました。天崎さんの作風は、闇の中の一筋の光だと思うのです。
 もうひとつ、あらすじの形式として、
・冒頭一字下げがなされている。
・台詞の引用がある。かつ、前後に空行を設けている。
 ……のも過去作と一致すると思いました。
 作品の雰囲気としては18-1-11.「ヴァイオレット・シュガーナイト 〜魔女と飼い人〜」も天崎さんっぽいかな、と思ったのですが、あらすじの形式がどうも違うようなので除外。こちらの作品にbetします!


第2会場

18-2-10.
銃を教鞭に持ち替えたアマゾネス達 ~慈育・慈恩の精神を学び舎へ~
作者予想:トファナ水さん
 
私、書き出し祭りにおいてはトファナさんを見つけるのをライフワークにしている節があるのですが。今回は無事に見つけたのではないかと思います。
 トファナさんといえば、カニバリズムなどインモラルな作風──と思われる祭り参加者も多いかと思いますが、より正確を期すならば、モラルに囚われない思考実験を好んで描かれているのでは、と個人的には認識しております。初めてお会いしたのが和風&時代風ディストピア「龍と人が催す、終わらぬ贄食の宴」だったからでもあるでしょう。

 「もし~~だったら?」「~~が許される社会だったら?」という問いかけを為される書き手の方だと思っております。現代人の一般常識では「確かに効率的だけど……!」と反発も覚えてしまうようなことに踏み込んでいく方だ、と。特に、(ともすれば洗脳スレスレの)教育は上記龍と人が~でも描写されていたと思います。ポル・ポト政権に言及されていたのも見たことありますし。(って思うと本作では英語圏の女性兵士なのは皮肉なのかもしれないですが)
 女尊男卑というか女性上位というかおねしょたというか、「強い女性」がお好みなのも存じておりますので、この予想は自信があります。

第3会場
 予想できるほど存じ上げている方がいらっしゃいませんでした……。

第4会場

18-4-8.
ニエになるのもラクじゃない!?
作者予想:志村麦さん
 今回リザーバーとして初参加の志村さん、カクヨムの自主企画等で何作か拝読したことがありました。リザーバーだから第4会場だろう&ホラーやミステリをよく書かれているから今回もそうなのでは、というやや安直な推理です。直近で拝読していた作品が、まさに「因習村」題材だったこともあります。(カクヨムコンに出されていた下記作品、面白かったですよ)

 なので、連続して(?)因習村ものを書かれるかなあ、とも思うのですが。ただ、書き出し祭りでホラーの書き手さん、というのがあまり心当たりがなくて。「因習村」というワードがスッと出てくるのは、やはり日ごろからホラーに親しんでいる方なのでは、と推理しました。
 でも、志村さんのカクヨムページを確認したところ、「あらすじは一字下げしている」「登場人物名にルビを付していない」点が本作とは一致していないので、やっぱ違うかも……と自信ないbetになっております。

18-4-21.
サユリさん、事件です! ~幽霊宇宙船シエロンフラメ編~
作者予想:本庄照さん
 
本庄さんはあらすじの書き方を解説してくださっていたので、過去の作品と作風を比較しつつ絞っていきました。型どおりにするとは限らない、とも仰っていますが、ミステリ好きの良識に期待して、ヒントとして機能しているものと信じて扱っていきます。(変化球で18-4-6.「死んだはずだよ? オトミさん?」の可能性もちょっと考えたのですが、擬態を考え出すと何も分からなくなるのでひとまず置いておくことにしました)

 本庄さんの「癖」に合致していると思った作品は下記の2作。

18-4-1.
ヒトゴロシンガー
 
タイトルの言葉遊びはお好きそうな印象です。現代もの&サスペンスも書かれていますし、会場トップを取る強運も持っていそう(?)。ただ、本庄さんの癖に照らすと、段落ごとに改行を入れていそうなのでこの作品は違うのかな、と除外。

18-4-2.
スクラップ&ブック
 
「癖」に合致しつつ、改行も挟んだあらすじでした。特にあらすじの最後が煽り的な文章になっているのも本庄さんっぽい。一方、本庄さんは「エゴサできるタイトルにする」とも発言されていたので、普通のスクラップブックがたくさん引っかかってしまうこの作品は違うのかな、と除外。

 翻って「サユリさん」ですが、前半部分と後半部分のいずれでもおおむね問題なくエゴサできそうです。あらすじについても、目標の提示、一話の内容、二話以降のチラ見せ、テーマぶち上げ、と癖に合致しています。あと、心配になって本庄さんの過去の発言を辿らせていただいたのですが、「ミステリ」派ではなく「ミステリー」派でいらっしゃるようですね。傍証ゲット! これまでたぶんSFは書かれていなかったところ、得意ジャンルであるミステリを取り入れつつ挑戦した……ということでしたら「変化球」に関して含みのあるもの言いをされていたことにも納得できる、かも。
 不安要素は、いつもならあらすじは段落一字下げを徹底しているところ、本作では字下げしていない点ですね……。

18-4-22.
Dead or TS:RTA 壊滅辺境伯令嬢の三十二人の兄と弟と未だ最愛のお姫様
作者予想:琴子さん
 覆面作家企画でご一緒した時の短編と、第16回書き出し祭りの「ファランディール」しか拝読していないので、なかなか難しかったのですが挑戦させていただきました。

 根拠のほとんどは、「とにかく削るのに苦労した」「本文より先にあらすじを作っていた」「原稿提出はギリギリだった」とのtwitterでのご発言です。本作の後にまだ3作品ありますが、第4会場の最後狙いの参加者もそこそこいそうであること、リザーバー原稿を混ぜることも考えるとこの位置もあり得るのかな、と考えました。
 あらすじの情報量の多さも、削る前の本文の内容ありきのことだったら納得できるのではないかと思います。前回の「ファランディール」もそうだったように、背景となる世界観と物語があった上で、どうにかあらすじ400字と本文4000字に収めた結果がここにあるのでは、と……!
 また、琴子さんのカクヨムページを確認したところ、書かれるジャンルは主にファンタジー、現実世界が舞台だとしても「不思議」要素は入っているご様子。第4会場後半のファンタジーものは本作くらいですし、やはりこちらではないでしょうか。18-4-19.「 咲いた花は散るは覚悟、」もファンタジーといえばそうなのですが、琴子さんはあらすじの〆で「これは~~の話」という構文は使われていなさそうなので……。(使っていないこともないけれど、「話」の部分が〇〇譚/劇などになっていることが多かったので違うのかな、と判断)
 さらに強引にでも傍証を見出すとしたら、ネーミングセンスですね。「ファランディール」ほか、カクヨムで確認できた作品の傾向からして、Web小説界隈で割とよく見る英独仏あたりの言語文化に由来する名前ではなく、少し捻ったところから命名されている……ような、気がします。

 タイトルの雰囲気が、過去作のそれとはそぐわないような気もするのですが……! 書き出し祭りに合わせてあえて変えたか、新たな挑戦では、と思いたいです。


 本文公開したら「明らかに違いましたねwww」なケースもあるかと思いますが、現段階での挑戦ということでご笑納いただきたく。あるいは、ほかの方の推理の参考になれば……! 書き出し祭りの本文公開、楽しみですね!!


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