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1978年のシンクロニシティ【星たちの46年】

[スペースインベーダーの登場と時をほぼ同じく、1978年6月にデビューした日本のポップカルチャーを代表する人物がいる。さらに稼働開始した同年8月下旬…]



 6月16日はスペースインベーダーの日である。

 これは今をさかのぼること46年前の1978年6月16日、発売元であるタイトーの新作発表会にて同タイトルが初披露されたことから、それにちなんで制定されたそうだ。

 その後スペースインベーダーは、同年8月下旬に全国ゲームセンター等にて稼働開始。ワンプレイに必要な100円硬貨が各所で足りなくなり、日銀が急遽硬貨を増産したほどの社会現象を巻き起こす。

 

 眼前にプログラムによって制御された敵が隊列を組み、かつ動いて向こう側からも弾を撃ち攻めてくるという、これまでになかったゲームシステム。また敵インベーダーを減らしてゆくことによって敵のスピードが上がり、ゲームの難易度は徐々に上昇する。この敵インベーダーの隊列を効率よく倒すための明確な攻略法が存在し、うまく対処しないとたちまちゲームオーバーに。またボーナスキャラや本来バグである裏ワザ・名古屋撃ちの存在が、さらに既存のゲーム以上の深みを与えた。

 

 それまでにないゲーム性と戦略性により、スペースインベーダーは爆発的ブームとなり、以降のファミコンを始めとする日本のテレビゲームのルーツでありその隆盛の起点となった。

 まさに日本ポップカルチャーの歴史に名を刻む偉大な一歩の記念日である。

 



あの頃GALLERY 1978年の世界


 そんなスペースインベーダーの登場と時をほぼ同じく、1978年6月にデビューした日本のポップカルチャーを代表する人物がいる。

 さらにスペースインベーダーがゲームセンターで稼働開始した同年8月下旬、その人物は世間に広く知れ渡ることとなる大きなきっかけをつかむこととなる。

 その者の大学在学中に作られた作品は、デビュー作にして代表作。時を同じくした者にとってそれと初めて出会った衝撃はいまだ語り草となっている。

 それは一見するとイロモノの様であった。当時の人々にとって見た事の無い未知の作品であり、評価しあぐねるのは無理も無い。しかしそれでいて見る人が見ればわかる、先進的なアプローチを多分に含んでいた。なのに新しさ一辺倒では無く、過去作からの引用とそれに対する愛を感じさせた。

 

 才気に恵まれた若者の小賢しく熟れた作品ではなく、作品作りの衝動に技術と経験が追いついていないような荒々しさが残り、いまだ学生気分が抜けきってない適当さ・いい加減さ・場当たり的なノリの良さ・怖いもの知らずさがちゃんとある。初々しくてみずみずしくも荒削りでパワフル、そしてエロスも忘れない。

 そんなデビュー作ながら、その者の強烈な個性と作風はすでにほぼ確立されており、今もってそれはまばゆい光を放ち続ける。

 その者の登場によって、そのジャンルの既存の大家たちは過去のものとなり、対象年齢層をより上げた作品作りを選ばせることとなった。そして来る80年代、それ以降の時代のカリスマとなり、そのジャンルの発展に多大な影響と功績を残し、新たなマイルストーンとなった。

 その後も現在にいたるまで精力的に活動し、デビュー以後46年にわたりほぼ休み無く、第一線で作品を作り続けている。しかも多作であり、その創作活動と創作意欲はもはや超人とよぶに相応しい、まさに日本のポップカルチャーの大巨人である。

紫綬褒章受章。





 さて今、この文章を読んでおられるあなたの頭の中に思い浮かんでいる人物は
1978年6月14日に週刊少年サンデーより『勝手なやつら』でデビューした漫画家の高橋留美子だろうか?

 
 それとも、1978年6月25日にシングル『勝手にシンドバッド』でデビューしたサザンオールスターズの桑田佳祐だろうか?



 高橋はデビューより短編作品3作をはさんで1978年8月30日、週刊少年サンデー39号にて「うる星やつら」を連載開始。

 一方サザンはその翌日、8月31日放送の歌番組「ザ・ベストテン」今週のスポットライトのコーナーで「勝手にシンドバッド」をライブハウスより披露した。




同時期には「さらば宇宙戦艦ヤマト」と「スター・ウォーズ」が上映開始しており
1978年6月と8月にはまさにポップカルチャーの潮目が存在するかのようである



1978年6月

週刊少年サンデー28号(6月14日発売)
かざま鋭二「白球と赤いバラ」の代原として急遽掲載された
勝手なやつらにて高橋留美子デビュー
当作品を立ち読みした吾妻ひでおが感動のあまりサンデー掲載号を3冊も買ったという

https://twitter.com/sunday_shinjin/status/1805916686685741511

6月25日、シングル・勝手にシンドバッドにてサザンオールスターズデビュー


1978年8月

週刊少年サンデー39号(8月30日発売)うる星やつら連載開始


8月31日、歌番組「ザ・ベストテン」のスポットライトのコーナーに登場
中継にて衝撃のライブを披露し、一般に広く知られるきっかけとなる





 これは単なる偶然だろうか。

 それともまさしくシンクロニシティなのだろうか。




青春少年マガジン1978~1983

 高橋留美子が勝手なやつらでデビューした1978年週刊少年サンデー28号、一方ライバル誌・週刊少年マガジン28号にて発表された新人漫画賞受賞作品は高橋と同じく新潟県出身の小林まこと「格闘三兄弟」だった。


漫画家・細野不二彦の自伝 1978年のまんが虫
細納は発売日に立ち読みしたのであろうから、これはサザンのベストテンでの伝説のライブ前日である


 地球人類の存亡と彼女との結婚をかけた鬼ごっこ
 
 




 


 白いタンクトップとジョギングパンツを身に付け、ラブとピースの為に1978年を駆けずり回ったお調子者で女好きな愛すべき男は2人いた!





口を開けば女がどうこうばかりなのにアイツの横にはずっと同じ女がいるんだよ






 


 アニメも残すところあと1話。新・うる星やつらの制作陣はこの事をどうも知っていたようである。





 皆さんはこの事実をどう思うだろうか。

 わたしは高橋留美子とサザンオールスターズはシンクロニシティだったと思うし、それに加えて、桑田佳祐は歌が超上手い諸星あたるだと思う事にした。



参考文献:サザンオールスターズ 1978-1983(スージー鈴木・新潮文庫)
桑田佳祐論(スージー鈴木・新潮文庫)

 


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