human Co-beingの時代

新しい社会へのパラダイムシフトについて「一言で表すとそれは何か?」という質問を度々頂きます。技術的な点に注目すれば、それはITやデジタル、データ、AIを初めとした解析技術、というキーワードで表現されます。しかしながら、それは手段であって社会変革の本質を示すものでありません。

社会変革の本質についてSociety 5.0 の初期のビジョンでは”人間中心”を掲げてきました。ただ多くの方々からは「自己中心や欲望centricと区別がつかない」というような懸念も頂いておりました。もちろん意図することは、決して自己中心ではないのですが、言葉としては一見区別がつかないのです。

またwellbeingについても同様に「一人だけで輝いていても、それは必ずしも世界の未来につながらない」という指摘もあり、ごもっともです。ではSDGsはどうかというと、「いのち消さないというminimalな目標設定が十分ではない」、「開発目標(development goals)という言葉が、先進国の上から目線である」という批判もあります。もちろんこうした批判はwellbeingやSDGsが積み上げた実績を否定するものではないのですが、概念が発展し広がる中で、一面では十分でなくなっていることも事実です。未来社会の実現に向けた実践と議論を積み上げていく中で既存の言葉のみで説明することが難しくなってきたのです。

そうした背景の中で、最近のプレゼンテーションでは世界とのつながりの中でいのちの輝きを実現することを、wellbeingだけではなく”better co-being”という言葉で表現しました。またそうした社会変革は確かに人間中心、ひとりひとりの生きるということを原点にしつつも、やはりco-beingの中で実現するものです。そのような点から、”human Co-beingの時代”と表現することが、パラダイムシフトの中核に位置する考え方であると言えるかもしれません。(既にco-becomingという言葉もありますが、”至る”という状態遷移よりも、beingの方がより共生に近いイメージだと考えました)

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