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2022年度火の鳥NIPPONメンバー その3(MB編①)

こんにちは。ぱんだ(https://twitter.com/vball_panda)です。

まずは、更新が滞ってしまったことをお詫びいたします。
ここ数週間はデータの整理に追われておりまして、正直noteの方まで手が回りませんでした。
ネーションズも始まったことですし、これから選手紹介の需要が増えると思うので、そろそろちゃんと書きたいと思います。

そして、気まぐれで始めたnoteですが、意外と反響が大きくてびっくりしてます。
皆さま、いいね!やRT等本当にありがとうございます。めちゃめちゃ励みになります。

さて、今回は火の鳥NIPPONメンバー紹介記事・第3弾といたしまして、MBの3人について掘り下げます。「OHがまだ残ってるんじゃないの?」というツッコミがありそうですが、Vリーグ以外の選手は書くのが本当に難しいので、とりあえず後回しにさせてください。

それでは、いってみましょ~!!

ミドルブロッカー(MB)

#5 島村春世

1992/3/4生(30歳) 神奈川県出身
身長182cm・最高到達点303cm
川崎橘高校→NECレッドロケッツ
コートネーム:ジョン

【代表歴】
シニア代表:2013年、2015~2019年、2021年~
*四大大会出場歴:五輪2回(2016、2021)・世界バレー1回(2018)・ワールドカップ1回(2015)・グラチャン1回(2017)
U-23代表:2013年

【国内大会受賞歴】
Vリーグ:ベスト6(2014/15、2020/21)
      スパイク賞(2020/21)
      サマーリーグ MVP(2012年)

【今季の成績】
総得点:228点(規定出場数未達)
アタック決定率:48.6%
アタック決定本数/set:2.83
ブロック決定本数/set:0.35
サーブ効果率:8.7%

ジョンと言えばブロード、ブロードと言えばジョン。
国際大会での経験も豊富な、日本を代表するミドル。

川崎橘高校を経て、2010年にNECに入団。杉山祥子さんをはじめとする厚い選手層のなかで揉まれながら、虎視眈々とチャンスを待った。
飛躍のきっかけは2012年。V・サマーリーグでMVPを獲得すると、2012/13シーズンは3年目にして初の開幕スタメンを勝ち取り、シーズンを通してレギュラーに定着。アタック決定率42.2%(全体8位)、セットあたりブロック本数0.46(全体12位)という数字を残し、日本代表に選出された。

以降、所属チームのNECにおいてはミドルとして類まれな得点能力を生かし、中心選手として活躍。代表でもブロードを武器にWGP、WCと順調にステップアップを果たし、リオ五輪代表に選出されると全5試合でスタメンを務めた。

しかしながら、そこから東京五輪までの5年間は試練の連続だった。
腰痛に悩まされ、満足なプレーができない。代表の方でも次第に出場機会が減少し、2019年WCは登録外。2020年には代表メンバーからも落選した。試合に出られないもどかしさゆえに、代表戦を観戦しながら涙を流すこともあったという。

それでも、その悔しさをバネに這い上がってくるのが島村春世という選手だ。
29歳で迎えた2020-21シーズン、島村はここ数年の鬱憤を晴らすかのように大活躍。アタック決定率51.7%という素晴らしい数字を残し、自身初、日本人選手としても2012/13シーズンの荒木絵里香さん以来8年ぶりとなるスパイク賞を受賞。文句なしの成績で代表へと返り咲いた。
そしてVNL、五輪でも中心選手としてプレー。五輪では5試合中4試合でスタメンを務め、日本人選手ではトップのアタック決定率41.5%と奮闘した。だが、チームを勝利に導くことは叶わず、2度目の五輪も悔しい結果に終わった。

そして2022年。
島村は今や、現代表ではリベロの山岸に次いで年長となり、ミドル陣の中では国際経験を持つほとんど唯一の存在となった。さらには眞鍋監督からもアシスト3に任命され、主将の古賀をバックアップする役割も任された。
今年で31歳。ここからは1年1年が勝負の年になるが、まだ力が衰える気配は見えない。今季になって小川、濵松ら攻撃力の高いミドルも台頭してきているが、追われる島村の方もますます得点力を増してきている。

「息の長い選手」という目標を胸に、年々進化を続ける島村。
日本代表にはまだまだ彼女の力が必要である。



#19 山田二千華

2000/2/24生(22歳) 愛知県出身
身長184cm・最高到達点310cm
豊橋中央高校→NECレッドロケッツ
コートネーム:ハナ

【代表歴】
シニア代表:2020年~
*四大大会出場歴:五輪1回(2021)
ジュニア代表:2019年
ユース代表:2017年

【国際大会受賞歴】
シニア:アジア選手権 ベストミドルブロッカー(2019年)

【今季の成績】
総得点:252点(37位)
アタック決定率:46.7%(6位)
アタック決定本数/set:1.55(50位)
ブロック決定本数/set:0.43(12位)
サーブ効果率:10.8%(9位)

間違いなくロスまでの日本代表を担う、若手No.1の実力派MB。

中学校からバレーを始め、3年時には愛知県選抜としてJOCに出場。同級生の中川美柚と二枚看板を誇り、優秀選手賞を受賞した。
高校は地元の豊橋中央高校に進学。最終学年では主将を務め、チームを8年ぶりの春高に導いた。世代別代表でも2017年アジアユース、世界ユースと順調にステップアップを果たし、高校卒業後は名門・NECレッドロケッツに入団した。

バレーファンにその名が本格的に知られたのは2019年。
7月、ジュニア代表としてU20世界選手権で大会初優勝を飾ると、8月にはアジア選手権でキムヨンギョン率いる韓国を撃破し優勝。山田は両大会で不動のスタメンMBとして君臨し、高さのあるブロック、クイックに加えサーブでも大きく貢献した。

世代交代が全く進んでいなかった日本代表MBにあって、山田の台頭を望む人は多かったことだろう。2020年には初の代表入りを果たし、いきなり紅白戦のメンバーに抜擢されたことからも期待値の高さが伺える。
その周囲の期待に応えるように、所属チームのNECでも2020-21シーズンにはスタメンに定着。20試合に出場し、セットあたりブロック本数0.63(日本人2位)という素晴らしい活躍を見せた。
そして勢いそのままに、2021年には五輪代表にも選出された。

……こう書いてしまうと実に順風満帆な歩みに見えるが、2021年の代表シーズンは彼女にとって最大の挫折だった。
5月の紅白戦でシニアでの国際大会初出場初スタメンという順調な滑り出しも、続くVNLでは17試合中6試合の出場に留まる。この年の代表選考は完全に「出来レース」であり、山田も耐え忍ぶ日々が続いた。
それでも7月には念願の五輪メンバー入りを果たし、やっと迎えた大舞台。しかしながら、彼女のプレー機会は韓国戦の1試合のみ。僅か5分にも満たない、実力を発揮するにはあまりにも短い時間だった。
恐らくどの選手よりももどかしい思いを抱えながら、山田の初の五輪は幕を閉じた。

五輪終了後。代表チームでの不遇をうけて、当初は「バレーを続けていいのか」という葛藤すらあったという。
そんな失意の山田を温かく迎え入れ奮い立たせたのは、所属チームの存在だったという。もう一度NECで自分を作り直すという決意を胸に、山田は代表活動後の休暇も惜しんで再スタートを切った。

そうして迎えた今シーズンは、チームの中心的存在として完全に独り立ちを果たす。全33試合中32試合に出場し、日本人MBとしては唯一、アタック・ブロック・サーブの3部門で個人ランク15位圏内に入った。特に課題であったアタックは大きく成長し、決定率46.7%、東レの小川に次いで日本人では2番目の成績を残した。

山田は、現在の代表ミドルで唯一といってもいい、アタック・ブロック・サーブと3拍子が揃ったミドルブロッカー。
日本代表の復活は、若き彼女の活躍なくしてあり得ない。


#23 横田真未

1997/12/10生(24歳) 愛知県出身
身長177cm・最高到達点300cm
古川学園高校→東海大学→デンソーエアリービーズ
コートネーム:マミ

【代表歴】
シニア代表:初選出
ユニバ代表:2017年、2019年

【国内大会受賞歴】
Vリーグ:最優秀新人賞(2020/21)

【今季の成績】
総得点:315点(27位)
アタック決定率:39.0%(23位)
アタック決定本数/set:1.90(37位)
ブロック決定本数/set:0.52(9位)
サーブ効果率:8.9%(28位)

歳に似合わぬ器用さと冷静さでデビュー年から活躍を続ける、新進気鋭のMB。

中学は名門・裾花中にバレー留学。3年時にはJOCでオリンピック有望選手賞を受賞するなど頭角を現した。高校進学後も、2年時にはインハイで優秀選手賞を受賞するなど、順調に実績を積み上げてきた。

2016年に東海大学に入学し、下級生時から中心選手として活躍した(注:2年時は確実にスタメンで出ていましたが、1年時は調べられず)。最終学年ではチームを関東大学リーグ(秋)優勝・インカレ第3位に導いた。
一方、世代別代表にも常連として名を連ね、在学中に2度ユニバーシアードに出場。いずれもスタメンとして出場し2大会連続のメダルに貢献した。

2020年にデンソーに入団。即戦力として1年目から開幕スタメンを掴むと、そのままレギュラーに定着し、全試合に出場。アタック決定率44.8%(6位)、セットあたりブロック本数0.40(21位)と上々の数字を残し、最優秀新人賞を受賞した。
2021/22シーズンも引き続き中心選手として活躍。今シーズンは課題として挙げていたブロックの向上が著しく、セットあたりブロック本数0.52(日本人3位)という好成績を残した。一方、他チームからのマークが厳しくなったことでアタック決定率は昨季よりも低下したものの、セットあたりアタック決定本数では日本人3番手につけ、得点力の高さも示した。

横田の強みは、いつでも誰とでもアジャストする器用さだ。デンソーの川北元監督は、彼女を「どんなセッターともコンビが合わせやすく、どんなサイドともブロックを合わせやすい」と評した。
その言葉の通り、アタックではクイック、ブロード、ラリー中のハイセットなど様々なバリエーションで攻撃に参加し、乱れたトスもジャンプの滞空時間とミート力でカバーする。
ブロックの方も身長177cmと上背こそ高くないが、タイミングを合わせるのが上手でサイドへの寄りも速い。

派手さはないものの全てのプレーを高いレベルで実践し、随所にクレバーさを感じさせる横田。
日本代表という短期決戦でも、彼女の良さは存分に発揮できるはずだ。


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