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悪夢とAIの学習

「店内になぜか駐車場があり、そこに停めて買い物をして帰ってきたら27万円請求されて大揉めに揉めた」。皆さまはそんな経験をした事がありますでしょうか。恐らくは無いでしょう。私もありません。

この「ぼったくりバー」ならぬ「ぼったくりパーク」な出来事、実は先日私が見た夢です。わけがわかりません。なぜ店内に駐車場が、なぜ私も何の疑問も持たずに停めるのか、そして27万円という金額は。悪夢とはそういうものなのかもしれませんが、理不尽で謎だらけです。

ただ、この悪夢をきっかけに、「こういうことだったら面白いなあ」というぼんやりとした考えを思いつきました。名付けてヤバい時見る夢は悪夢になりがち論です。

まずはAIから初めよう

それではまず、AIについておさらいしましょう。なぜ悪夢の話なのにAIが?と思うかもしれませんが、必要なのです。こう考えてみて下さい。

AIの仕組みは、脳の働きの一部を簡易的に再現しているかもしれない、と。つまり、AI上で起きている事柄や、その原因となる仕組みは、脳でも起きているかもしれない、ということです。

そこで、私の「ヤバい悪夢論」の論拠となる仕組みをAIの仕組みからご紹介しようというわけなのです。

とりあえずはまあ、いってみましょう。

人工知能、つまりはAIの学習方法の一つに、深層学習/ディープラーニングという手法があります。近年いろいろと話題になっていますよね。

深層学習のうち、シンプルな仕組みでの学習は、膨大なサンプルデータを用意し、それを繰り返し繰り返し解析することで、目的となる答えを導き出せる「パターン」「しくみ」を見つけてもらうような形で行います。

例えば、「数値を視認できるAI」を育てようと思ったら、いろいろな「0~9の数値の画像」をサンプルデータとして用意します。用意した膨大な画像から、自動的に各数値の特徴点を判別して、「この画像は『1』です」と判断できるようになるまで学習を繰り返します。

このとき、サンプルデータの数は多ければ多いほど精度が高まると言われています。直感的にも「決まり切った筆跡の0~9から数値を認識する」よりも、「いろんな人の書いたいろんな0~9を見て数値を認識する」方が、より一般的な0~9を判断できるようになるというのは納得できますよね。

しかし、「いろんな0~9」を用意するのは大変です。1,000人集めて書いてもらっても集まるのはたったの1,000パターンです。この問題を解決する手法の一つに、1つの数値の画像をわざと傾けたり、ノイズや汚れを付着したり、一部欠損した画像を作り出し、それをサンプルデータとして学習を行う、というものがあります。こうすれば、サンプルデータの数が一気に増えるわけですね。

ちょっといびつな「0」や、妙に傾いた「1」などの多少の違和感を感じるものを作り出し、それが「おそらく0」「たぶん1」と認識できるようにAIの判断基準を調整していくわけです。

サンプルの方は同じだけれども、AIの判定経路の一部をわざと塞いでしまって「一部の情報がわからない状態でも類推できる」ように学習を行うこともあります。

つまりAIは学習を進める過程において、わざと自分でいびつなサンプルを産み出してそれを見ているという仕組みがあるのです。

それじゃあ悪夢は?

さあ、ここで悪夢の話の戻ってきましょう。悪夢は当然、眠っている間に見ます。そして、人間は眠っている間に、起きている時の出来事を整理整頓しているという事が知られています。

このとき、「起きている時の出来事」をAIのサンプルデータとして考えてみるとどうなるでしょうか。すると、整理整頓する≒脳に出来事を理解させ学習させるために、AIと同じく、わざといびつなサンプルを作り出して再現しているのかもしれない、と考えられます。

だとすれば、夢とは、記憶を整理するために少しいびつなサンプルを作り、学習している過程なのかもしれません。そのような状態を「夢」と呼ぶのであれば、AIも夢を見る、と言えるのかもしれませんね。しかも自分から超積極的に見に行ってることになります。AIというとお堅いイメージですが、実は夢見る機械なのかもしれません。

さて、ここで悪夢です。前述したとおりの学習手法は、サンプルデータ(学習用データ)を少しだけいびつにしたものという事でした。つまり、元のサンプルからそれほど大きくは外れられません。思い切っていびつにしてしまうと、それはもはや数値ではなくなってしまい、歪で役に立たないデータになってしまいますものね。

ということは、いくらいびつなデータ≒夢といえど、元のサンプル≒実際の出来事と乖離した物は産まれ難いということです。

そうなると、実際の出来事として、うれしい事ばかりが起こっている時に見る夢は、ちょっとどこか変だけど、基本的にハッピーな夢が起きる確率が高いのではないでしょうか。逆に言うと、忙しくていやな事ばかりが起きている時に見る夢は、基本的に悪夢となる確率が高いのではないでしょうか。

これが悪夢を見て目が覚めたての頭でぼんやりと考えたヤバい時見る夢は悪夢になりがち論です。

いかがでしょうか。自分で読み返してみてなんなんですが、年末進行で忙しい時にはやっぱり頭がおかしくなってますね。皆様も何かとお忙しいでしょうが、なんとか乗り切って良い年明けを迎えられるように、もうひと踏ん張りと行きましょう。

ではでは、お仕事に戻ります!

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