「Candy Pod2」鑑賞
私はとても面倒くさい性分で、なにか他人に対して対面でもSNS上でもお節介な発言をしてしまうことがまま、いや、たまにある。
そしてその後「もしや嫌われやしないだろうか」と戦々恐々するのである。
たとえそのようなことがなかろうとも「私はもしや嫌われてはいないか。私がこの場から離れると悪口大合唱が始まるのでは?」と疑心暗鬼することがある。
つまりは八方美人になりがちなのだが、理屈ではそんなこと無理なのは承知なのに嫌われることについては怖い。
今日は朝早く起きて(目が覚めてしまって)色々人と会った。トータルでは楽しかったがその分疲れた。楽しいというのは喜怒哀楽の全てを包括する感情である。そして色々考えた。今日はトータルで「自分というものを考える」1日となった。
そしてそんな気持ちを癒すに必要なのは「可愛い」である。42のおっさんが何をほざくと皆は言うだろう。しかし「可愛い」を拝むと心がほっこりとなるのだ。
こう書くと「何を破廉恥な」という人もいるだろう。安心されたい。別に若い女子を遠くから覗くとかそんなストーカーじみた事はしない。
私が癒やされるのはアートである。イラストである。
今日はそんな「可愛い」を求めてアートエリアasi-paraにお昼頃に赴いたのである。
昨日から開催されている「Candy Pot2 〜夢夢×鳴乃りな2人展〜 『甘く、可愛い女の子たち』」
を見に行ったのである。
タイトルから既に「可愛い」と書かれている。42のおっさんが見ても合法である。
夢夢さんとはasi-paraで知り合って長い。イラストは等身の高い女の子で水彩のアナログである。
以前見た際は輪郭を強く出しておられてそれが個性と感じていた。しかしご本人は輪郭のバランスに悩んでおられたらしい。今回展示されてある作品は輪郭線が細くなっておられた。
作風の変化は作家の自由であると思う。個人的に私は良い効果だと思っている。
輪郭は当然強い色が使われる。夢夢さんの作品では使われていないが黒を使う場合は多かろう。黒でなくともそれに近い色。紺色やこげ茶などが使われることは多い。
実際夢夢さんはこげ茶をメインで使われている。今までの作品では視線が輪郭に引き寄せられていた。しかしそれは悪くないのだと思う。太い輪郭も当時はまた計画性のある線だったのだと思う。
それが今回は作品全体に目が行く、背景には輪郭のない部分もある。モチーフや背景の色にも同時に目が行く。
そして色である。それがまた良い。
書いていてなにか美味しい食べ物の紹介をしている文章のような気がする。しかし紹介しているのは女の子の可愛いイラストである事を皆さんは、そして特に私は忘れてはならない。
私が印象的だったのは夢夢さんの使うピンクの色だった。もしや普通のピンクかもしれない。しかし私がそのピンクを見て思ったのは私が幼い頃に見た人形などが着ている洋服のピンクだった。
少し蛍光の入った。セルロイドのような。
令和の時代で昭和のノスタルジーを感じさせる可愛さだ。その思惑は作品の至る所に散見される。
例えばステッキを持った女の子が描かれている。そのステッキはなにか飴とかラムネとかお菓子が入ってそうである。降るとガラガラ鳴りそうな。そんな幼心を想起させる。
そしてそんな夢夢さんが「私より鳴乃さんを見て!」と懸命にピーアールする鳴乃さんの作品を拝見する。
こちらは等身の低い、女の子である。画材は色鉛筆、パステル、それとコピックというマーカーである。
コピックはイラストレーターや漫画家の方がよく使われる画材であるがそれなりに癖も強く、なかなかに使いにくい。
鳴乃さんはそれを見事に使っておられた。
まずパステルのふわりとした風合いで洋服の質感を出しておられたのに目がいった。そしてそこから洋服のフリル、チェック模様、花柄など細かいところまで色と素材に拘っておられるのがわかる。
タイツなども模様を細かく描かれてあり、幼い等身でありながら色っぽさがある。それが可愛いに拍車をかける。
そんな細かな気配りが作品全体に散らばっており、可愛いと同時に「凄い」となり御本人がおられないのに「この方は変態か」と失礼な発言をしてしまった。夢夢さんが何も言われなかったので大丈夫だろうと思う。
色のこだわりが何よりすごい。フリルの白とソフトクリームの白とうさぎの白を使い分けてると書くだけでこだわりが伝わるのではなかろうか。
イラスト毎にテーマを設けてあるのもすごい。お菓子のような女の子もいれば虹のような髪をしている女の子もいる。そうして見ていくうちに凄さは隠されて最終的に「可愛い」となる。
やはり「可愛い」は最強だ。技術などの蘊蓄を書こうとするとその気持ちをも駆逐させる。
世に「可愛い」よ広がれと思い、私は辞した。会期中に再訪することを誓って。
Candy Pot2 〜夢夢×鳴乃りな2人展〜「甘く、可愛い女の子たち」
2021.9.18〜9.26
12:00〜19:00
(9.22店休日、最終日17:00まで)
アートエリアasi-para
福岡市中央区今泉2-4-39拓栄ビル201
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