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知り合いの農家さん(素敵な女子)に誘われて
農家さんのご友人の山へ山仕事を手伝いに行った。
 道の駅でご友人と待ち合わせて
その人の車に数人で乗り込んだ。
いくつものU字カーブがある
細い山道をぐんぐん登っていく。
九十九折り、と誰かが言った。
まさにそうだなと思った。

山の途中途中に
桜の木が何本も植わっている所があったり、
ポツンと梅の木があったり、
水仙が並んでいたり、と
色んな花々が咲いていた。
 
到着した家は築180年以上という立派な家だった。
黒光りする柱や床が美しいがとても寒い。
床の上に立つと足が冷たくなっていった。
日が照っていると外の方が暖かい、と
ご友人が言うので外に出て日の光で暖を取った。
屋外で見る景色は見渡す限り山また山で
ずーっと山だった。
標高は650mという。
一緒に行った子供らが「やっほー」と
大きな声で山々に向かって呼びかけた。
反響してエコーがかかった。
こだまを聞いたのは初めてだった。
 
お手製の暖かいお昼ご飯を食べてから
山仕事を手伝った。
草を刈り、枝を掃う。
立派な柿の木が植わっている斜面はとても急だった。
この辺は果物の里として名乗りを挙げているが
平地が少なくて畑が出来ないからだとご友人が言った。
なるほどと思った。
山での暮らしのあれこれを聞かせてもらって
あっという間に時間が経っていった。
 
帰り際、オレンジ色の夕日が落ちてきつつあった。
この時間になると海が見えるのだとご友人が言った。
えぇ!?と思った。
山ばかりで海など何処にも見えないが。
今の季節は靄がかかって分かりにくいが
2月頃は鮮やかな赤い夕日が海に反射して
海が見えるのだ、と
その情景を思い出しているかのように
笑いながら言った。
自然と共にここで暮らす人にしか体験できない
美しいものが沢山あるのだなと思った。