七福神日誌10

六時起床。
妻が昼用のおにぎりを作ってくれる。
朝食はかにぱん。
出発し、七時半に七福神に到着。
ミツさんと食材のカット。
今日は豚肉と牛肉、マグロを担当する。
マグロはやわらかいので、ピンセットで骨を抜く時と包丁でカットする時の二度、身崩れの危機があり、店で扱う食材の中で一番扱いにくい。
一番手早く切れるのはキャベツで、これは身崩れの心配もない。
特に朝一で八百屋の大将が持って来て「今日のはよう詰まってる。パーフェクト」といって置いて帰るキャベツは、一息に切ると刃渡りにかたい水の膜がバチッと割れるような手応えがあって楽しい。
主婦の方々がやって来て、串刺しを任せる。
カレーを火にかけ、すじこんも用意する。
ホールスタッフが合流して十一時半の開店。
今日もミツさんに揚場を教わる。
まずは自分のまかないを作るところから始め、基本の牛カツやレンコンを何本も揚げていく。
十本揚げて、妻のおにぎりと共に昼食にする。おにぎりの具材は梅干しだった。
午後は少なくなった食材を切って補充。今日は特にオクラや紅しょうががよく売れた。
夕方になると夜の常連さんがちらほら見え始めたので、一言お詫びをいって、皆さんの頼む串でまた練習をさせていただく。
素揚げにならぬようついつい念を重ねてしまい、何度やっても衣の量が多くなる。
過剰な衣が食材の角からさっと横に伸びて揚がるので、どの串も凸凹の仕上がり。
その形をみて、「こんなんEやで」「こっちはWやね」と、それを食うお客さんに笑われる。
三十本ほどアルファベットの串を提供し、十七時に退勤。
義母がチャプチェを作ったというので妻と呼ばれ、義母の部屋で夕食をいただく。
仮住まいのマンションに帰ると、妻が、前髪が伸びているといってハサミを持ち出してくる。
少しおかっぱにされる。
妻は最近マーダーミステリーというゲームにハマっていて、今夜もその集まりに参加するとのことで、俺の髪を切るとすぐに、パソコンを持ってフロア共有のネットルームへ出かけて行った。

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