マガジンのカバー画像

お笑い殺人事件〜連載まとめ(全二十回 完結済)

20
連載小説です。お笑い関連のYouTube公式動画を埋め込んでいます。普通の書籍では実現できないことができて楽しいです。kei02様のイラストが素敵なので使用させていただいています。
運営しているクリエイター

#推しの芸人

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十九話 別れはつらいのう

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十九話 別れはつらいのう

 怒るでしかし……正味の話……どないやっちゅうねん……メガネメガネ……

 わしの横で、やっさんが、身をくねらせて熱演しとる。

 わしは固く目を閉じた。

 やっさん、あんたのことは大好きや。ずっと逢いたかった。でも師匠、あんたはとっくに死んだんやで。頼む、ゆっくりしいや……

 そっと薄目を開けた。恐る恐る横を見る。

「神の御前に身を委ねたるぅ~、一ノ瀬どのの願いを叶えたまーえ~」

 茫然

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十八話 何人おる?

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十八話 何人おる?

 シーンとした。

 完全にすべった空気。ちょうど紅白の大舞台で、ミヤコに向かってミソラ言うてしまったみたいに。

「なんやこの静けさは……寒い」

「ゆーとぴあみたいに言うな! じゃあ貴様、肩こりのツボ押したら、死人の肩こりが治るっていうのか。え?」

「たぶん、な」

「ならやってみろ。ほら、そこに菊池が寝てる」

 ミイラ化したマッカーサーが、冷蔵庫の横で、うつろな目を天井に向けとった。それ

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十七話 謎解きでっせ

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十七話 謎解きでっせ

 わしもそれが気になっとった。

「そや、あの続きを言えや」

 イッチはまた、照れ臭そうにモジモジすると、

「たまたま思いついたんだけど」

 顔をほんのり赤くして、話し始めた。

「ぼくたちは、ツボを押されてこっちに来ました。どうしてそういうことが可能だったかというと、ツボにはぼくたちの知らない秘密があって、その押す強さ、時間、角度などの組み合わせで、無限の作用を引き起こすことができるからだ

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十六話 殺られてたまるか!

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十六話 殺られてたまるか!

 ついに、ソバカスまで逝ってもうた。

 残ったのは四人。わし、イッチ、タマちゃん、サンマルチノ。

 わしとサンマルチノは口を利けず、ただ突っ立っとった。そのあいだに、イッチとタマちゃんが、ソバカスの首と胴体をどっかに運び、また食堂に戻ってきた。

「これではっきりしたな」

 タマちゃんが、荒い息をつきながら、ぼそりと言った。

「永作は、アンドロイドでも宇宙人でもない。おれたちと同じホモ・サ

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十五話 そして誰もおらんようなる

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十五話 そして誰もおらんようなる

 超常現象や。

 さっきまで、普通に生きとった人間がミイラになる。そんなことあるか? でもあれはまちがいなくマッカーサー。じゃあ、なんらかのトリックで?

 ミイラ……即身仏……布団パック即身成仏……電撃ネットワーク……犯人はギュウゾウ?

 いやいや。布団圧縮袋で窒息はしても干からびはせん。もっと別のトリックや。そういえば、パン食いに来たとき、やけにやつれとると思ったが、それとこの死に方は関係

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十四話 犯人はわし? ちゃうわ!

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十四話 犯人はわし? ちゃうわ!

「阿部さん!」

 ソバカスが叫んで、床に這いつくばってアホの顔を覗き込んだ。

「わ、わ、どうしよう。息してない。心臓マッサージしなきゃ。誰か、AED持ってきて!」

「AEDなんかうちにない。それに、もう無駄だ」

 タマちゃんが、アホとソバカスを冷たく見降ろして言った。

「それは、生きている人間の顔色じゃない。百パー死人だ。胸を押さえての突然死となると、きっと、大動脈瘤破裂かなんかだろう」

もっとみる
お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十三話 連続殺人やん

お笑い殺人事件+YouTube公式動画〜第十三話 連続殺人やん

 ところが。

 六つのマッサージルーム、トイレ、女子の休憩室、受付と見てまわったが、誰も見つけることはできんかった。

「いないな。クソ、逃げられた」

「怪しいやつがいないか、外を見まわってみるか」

「そこまでしなくていいんじゃない? それよりも、みんなで交番に行こう。あとは警察に任せたほうがいいよ」

 ソバカスがそう言うと、アホは黙ってうなずいたが、古参兵が腕組みをし、

「そろそろクミ

もっとみる