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夢間欧
2023年1月28日 05:53
怒るでしかし……正味の話……どないやっちゅうねん……メガネメガネ…… わしの横で、やっさんが、身をくねらせて熱演しとる。 わしは固く目を閉じた。 やっさん、あんたのことは大好きや。ずっと逢いたかった。でも師匠、あんたはとっくに死んだんやで。頼む、ゆっくりしいや…… そっと薄目を開けた。恐る恐る横を見る。「神の御前に身を委ねたるぅ~、一ノ瀬どのの願いを叶えたまーえ~」 茫然
2023年1月27日 05:35
シーンとした。 完全にすべった空気。ちょうど紅白の大舞台で、ミヤコに向かってミソラ言うてしまったみたいに。「なんやこの静けさは……寒い」「ゆーとぴあみたいに言うな! じゃあ貴様、肩こりのツボ押したら、死人の肩こりが治るっていうのか。え?」「たぶん、な」「ならやってみろ。ほら、そこに菊池が寝てる」 ミイラ化したマッカーサーが、冷蔵庫の横で、うつろな目を天井に向けとった。それ
2023年1月26日 05:40
わしもそれが気になっとった。「そや、あの続きを言えや」 イッチはまた、照れ臭そうにモジモジすると、「たまたま思いついたんだけど」 顔をほんのり赤くして、話し始めた。「ぼくたちは、ツボを押されてこっちに来ました。どうしてそういうことが可能だったかというと、ツボにはぼくたちの知らない秘密があって、その押す強さ、時間、角度などの組み合わせで、無限の作用を引き起こすことができるからだ
2023年1月25日 05:37
ついに、ソバカスまで逝ってもうた。 残ったのは四人。わし、イッチ、タマちゃん、サンマルチノ。 わしとサンマルチノは口を利けず、ただ突っ立っとった。そのあいだに、イッチとタマちゃんが、ソバカスの首と胴体をどっかに運び、また食堂に戻ってきた。「これではっきりしたな」 タマちゃんが、荒い息をつきながら、ぼそりと言った。「永作は、アンドロイドでも宇宙人でもない。おれたちと同じホモ・サ
2023年1月24日 05:55
超常現象や。 さっきまで、普通に生きとった人間がミイラになる。そんなことあるか? でもあれはまちがいなくマッカーサー。じゃあ、なんらかのトリックで? ミイラ……即身仏……布団パック即身成仏……電撃ネットワーク……犯人はギュウゾウ? いやいや。布団圧縮袋で窒息はしても干からびはせん。もっと別のトリックや。そういえば、パン食いに来たとき、やけにやつれとると思ったが、それとこの死に方は関係
2023年1月23日 06:09
「阿部さん!」 ソバカスが叫んで、床に這いつくばってアホの顔を覗き込んだ。「わ、わ、どうしよう。息してない。心臓マッサージしなきゃ。誰か、AED持ってきて!」「AEDなんかうちにない。それに、もう無駄だ」 タマちゃんが、アホとソバカスを冷たく見降ろして言った。「それは、生きている人間の顔色じゃない。百パー死人だ。胸を押さえての突然死となると、きっと、大動脈瘤破裂かなんかだろう」
2023年1月22日 11:09
ところが。 六つのマッサージルーム、トイレ、女子の休憩室、受付と見てまわったが、誰も見つけることはできんかった。「いないな。クソ、逃げられた」「怪しいやつがいないか、外を見まわってみるか」「そこまでしなくていいんじゃない? それよりも、みんなで交番に行こう。あとは警察に任せたほうがいいよ」 ソバカスがそう言うと、アホは黙ってうなずいたが、古参兵が腕組みをし、「そろそろクミ