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担任以外の授業が充実している学級を願う学級担任(学級通信10年目②)

闇雲に突っ走っていたあの頃


学級担任をしている(していた)時を思い出してください。
担任以外の先生の授業の後、
「〇〇先生の授業の時と、学級の様子が違う。」
「授業がやりづらい。」
「Aさんが―――で困った。」
といったことを言われたことはありませんか?

かなり若い時は、
「すみません。」
「自分の授業の時は―――。」
と伝えつつ、学級に戻ったら厳しく指導しないといけないのかな?と思ったことも多かったです。

学級担任をする上で、担任以外の先生が授業を担当することがないなんてことはありません。
必ず担任以外の先生が何かしらの授業を担当します。
それが、高学年になれば教科数が増え、教科担任制となる中学校、高校とつながっていきます。

「担任以外の授業が嫌だ。」
「〇〇先生は厳しいから、憂鬱だ。」
こんな言葉を聞いて嬉しい担任はいません。
どんな先生の授業でも、良い雰囲気で授業に臨んでほしい!
これは、学級担任ならだれでも感じることだと思います。
しかし、それがなかなか現実にはつながらない…なぜだろうか…。

原因は自分なのか?

担任以外の授業で、子どもが強く指摘、指導される場面があったとします。
原因は何でしょうか。
もちろん、その子の言動にも問題がある可能性がありますが、少し違う見方で考えてみます。

担任は、様々な教科の授業や生活の様子を見ることができますので、その子の言動の背景を察する材料が多くあります。
例えば、朝から親とケンカした、休み時間に友達とトラブルがあった…こんな日のある授業で、変な言動があったとします。
担任であれば、背景を察することができるので、
「どうした?」
と、相手の思いを聞きながら指導したり、妥協点を一緒に見出すこともできます。(もちろん、安全上ダメな行動は叱りますが)

担任以外の先生は、このような子どもの背景を担任ほど把握することができません。
子どもの言動を素直に受け止めて指導することが多いように感じます。

つまり、授業後に担任がチクりと言われることがあるかもしれませんが、このすべてを自分の責任と思う必要もないと思います。
では、どのように受け止めるべきか。

理想は何か


どんな先生の授業でも、良い雰囲気で授業に臨んでほしい!
これは、子どもにどのように理解してもらうべきでしょうか。

どんな先生の授業でも、良い雰囲気だとどんなメリットがあるのか。
これを子どもに伝えることが重要だと思います。
例えば…
・指導する先生も前向きな気持ちで授業をすることで、楽しい授業になる。 
・教えてあげたい、助けてあげたいと思われる学級(個人)になれる。
教師も一人の人間ですから、感情を抱きながら授業をしていることを伝えます。
その上で、
自分たちの力で学級を良い雰囲気にできる力があれば、今後自分が所属するどんな集団も良い雰囲気にすることができるはず
さらに、
どんなに小規模の学校でも、義務教育が終了すれば、その先の進路はばらばらになります。 所属する集団(職場・部署・グループ・チーム)は、どんどん変わる可能性があります。集団の雰囲気づくりをいつも他人に任せていると、雰囲気が悪い時にいつも他人のせいにして、文句ばかり言う人になってしまいます。これは、幸せなことではありません。
どんな集団に所属しても、自分の力で集団の雰囲気を良くできる。これはきっと幸せです。そして、そんな人は社会から必要とされるはずです。

と伝えます。

うたういぬの実践

日課表の枠を印刷した紙を掲示します。
1週間で1枚。
教科の欄は空欄。その下も空欄にします。

指導者は、授業後に、その授業の評価を担当の子に伝えます。
評価はA・B・Cのどれか。指導者の主観で決めて良いです。
A:良い(例:発表者が多い、活動に積極的)
B:普通(文字通り、いつも通り)
C:悪い(例:発表者が少ない、活動に消極的)
※どんな授業の後も、担当の子が割り当てられます。
 この年、6年生単学級35人だったため、係活動の一つに学習(国語)、学習(算数)などをつくりました。

帰りの会のプログラムに「1日の振り返り」という時間を設けます。
教科の担当の子が
「1時間目の国語はBです。」
「2時間目の理科はAです。」
と発表し、日直が表にA・B・Cを記録します。

担任以外の授業についても、発表されるため、担任が知らない授業もどんな雰囲気だったのか、想像することができます。
Aと発表されたときは、「みんながんばったね。」「素敵だね。」と価値づけます。
担任以外の授業でも、また良い雰囲気で授業をしようという意欲につなげます。
もし、Cと発表があったらどうするか?
「どうした?」と聞き、原因や対策を一緒に考えます。
頭ごなしに叱っても仕方ありません。

評価Aを貯めるとどうなるか?

この実践は、ゴールありきです。
評価Aは嬉しいことですが、6年生はこんな単純ではありませんでした。
評価Aを貯めるとどんな良いことがあるか、仕掛けを施しました。
以下、学級通信より

抽選⇒ドキドキ感・わくわく感を引き出します

このように、学級のお楽しみをつくることで、評価Aを引き出すようにしました。
評価Aを50個貯めてやっと1回できる抽選。
学級の代表でボールを取る子の責任は重大です。
「はずれ」が怖くてボールを引けない。責められたくないという心情もありました。
だからこそもう一つ仕掛けを。
「はずれ」を引いた場合、そのボールは箱には戻さない。
というものです。
つまり、「はずれ」を引くことで、その回は残念だが、次回以降「あたり」を引く確率は上がります。
少しですが、学級に貢献できます。

実践の結果は?

この学級は、もともと落ち着いた学年でした。
学年が上がるにつれてさらに落ち着きました。
落ち着きすぎて、消極的とも思われる学級でした。

1学期末。まだ硬い雰囲気が残っていました。
2学期。修学旅行後から、明るい、良い雰囲気が出てきたように感じました。
リーダーシップをとって、活動する子が増えてきました。
その子に対して、同じように努力する子も増えてきました。
3学期。担任の考えは学級全体に浸透していたと思います。

この実践、数字で分かるような検証はできていません。
あくまで私の主観をもとにふり返っています。
客観的な視点で振り返ると、
「学級が悪くなってはいない。」
と結論付けることができます。
なんだ、良くなってないのか…
と思うかもしれません。
しかし、単学級の6年生が過ごす1年間としてはこれでも良いととることもできます。
担任の思いが強すぎて、強烈な指導を続けることで良くなる部分もありますが、その反動も大きいはず。

また、この実践をするならば
・アンケート等で子どもの思いや考えを引き出しながら
・客観的な評価ができるようにする。
 (子どもたちや担任以外の教師からのアンケート等)
この2点ができれば良いと思います。


【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】


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