樹脂のフレッチングによる破損
1.はじめに
サラリーマン時代の資料を整理したところ、興味深い技術資料を見つけました。
この資料は樹脂部品のフレッチングの発生・成長過程をまとめたものです。
耐久試験を行った樹脂部品の摺動面を顕微鏡で観察しところ、摺動面の複数箇所でフレッチングの発生や成長過程が確認できました。
そこで顕微鏡で観察した複数個所の写真をフレッチングの発生・成長過程に沿って並べてみました。
本来なら、摺動回数ごとに観察し変化の様子を記録します。
このときは材料の摺動に対する耐久試験でしたので、そのような目的での観察はしていません。
これは30万回の摺動試験の間に、任意の摺動回数でフレッチングが発生し成長した結果です。
2. フレッチングとは
概念についての説明です。
二面間の相対的繰返し微小すべりによって生じる摩耗
軌道輪と転動体との接触部やはめ合い面に生じる
赤褐色または黒色の摩耗粉を発生することからフレッチングコロージョン(摩耗)ともいう
原因と対策については、以下のスライドにまとめてあります。
3.試験条件と観察条件
摩耗試験の条件、観察に利用した顕微鏡は以下のものを使用しました。
4. フレッチング発生・成長過程の概要
観察結果の写真を並べたものです。
摺動方向に沿って割れが生じ成長します。
成長が進むと成長した割れから摺動方向と直角方向に割れが発生します。
最終的には直角方向に進む割れが成長し、摺動面の剥離が始まります。
この状況がフレッチング摩耗と呼ばれる状況になります。
5.詳細画像
耐久試験の対象とした樹脂材料は記録がありません。
また、摺動させた相手材料も不明です。
フレッチングを概念的に理解する資料であって、工学的な厳密性はありません。
ご自身の理解のために利用することは構いませんが、その結果として生じた不都合なことに関しては責任を負いかねます。
利用する場合、自己責任でお願いいたします。
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