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長尾幹也さんのご冥福をお祈りします ~「謎解き」に楽し気に取組もう~

今なら 松田姉妹とお母さん、郷隼人さん
少し前の 公田耕一さん
古くは 山下すてさん
名前を思い出せないけど、郡山市で珈琲店を営んでおられた男性……

そのほか、毎週の朝日歌壇でお名前を見るのが楽しみな、幾人もの常連さんの皆さま。

とりわけ最近とても気になっていた、長尾幹也さんが亡くなられました。
手足の動きの調節や平衡感覚をつかさどる小脳が委縮して、歩行機能などが低下していく難病、多系統萎縮症を患い、最後の方は、視線入力で歌を作り続けておられました。
このところ歌が載っていなかったので、もしかしてとは思っていましたが、今朝の朝日歌壇で訃報を知り、大きな喪失感に打ちのめされています。

人生哲学的な言葉をつぶやく深遠な歌、
息子さんに対する溢れんばかりの愛情を表現した歌、
リストラを担当する職務の苦悩が窺われる歌、
降格人事を受け入れる苦さの滲む歌、
そして近年
難病を患っての心境と家族への想い、短歌への想いをつづる歌

長尾さんの歌は、繊細で、個人的な体験や感覚に根差していながら普遍性があり、しみじみと共感を誘うものでした。

関心をお持ちの方は、是非、朝日新聞デジタルの「朝日歌壇ライブラリ」をご覧ください。作者名で検索でき、現在、1995年6月から2022年6月までに朝日歌壇に採用された長尾さんの短歌を全て閲覧できます。

中でも、私に強烈にインパクトを与えた歌がこれです。
(2000年の11月12日掲載なので、おそらく40歳過ぎくらいの作)

我という謎は生き抜かねば解けず 廃車の山にそそぐ夕光

掲載当時の私は、ちょうど公私ともに悩み多きアラサーで、この歌がまさに心に突き刺さり、手帳に書き留めたのでした…。

おっと、遠い目をしている場合ではないですかね。

長尾さん、今振り返ってみて「謎解き」はいかがでしたか?
私は、私の「謎解き」を「楽し気に」進めていきたいと思っています。


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