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「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」シリーズによせて(ブログより再録その2)

 今週の午前中、NHKBSプレミアムで再放送中の「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」シリーズを見ています。
 国内でJRの路線全線を乗り継いだり、中国の鉄道を長大なルートで巡ったりと、様々な鉄道の旅を私たちに見せてくれている関口知宏さん。ヨーロッパもイギリスを皮切りに、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャ、クロアチアなどなど様々な国を鉄道で旅しています。
 2015年が「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」と銘打った初回放送で、再放送を重ねてますので、各回とも2度くらいは見ているのですが、細かい内容は覚えていないので、大いに楽しめています。

 今日放送の旅先はオーストリア。
 ハーブ園で肌に良いクリームを試したり、
 農家でヤギのチーズ作りを見学したり、
 電車で出会った幼い女の子の即興の歌をもとに歌作りをしたり、
 カフェで出会った貴族の末裔に、元住んでいた城を案内してもらったり、
 ウィーン西駅でシリアなどからの沢山の難民を受け入れる様子を見たり、
 自家製のカボチャオイルを使った料理を振舞ってもらったり、
 深い滑り台を降りて岩塩の採掘坑を見学したり…

「多くの人が、拒絶ではなく『コンタクト』を選ぶ」と関口さんが表現する、オーストリアの国民性が伝わってくる、素敵な旅でした。

 この「ヨーロッパ鉄道の旅」シリーズの中で、私にとってとりわけ印象深いのは、今週金曜日午前中に再放送されるポルトガルの回です。

 閉鎖予定のブログ(ウェブリブログ)で、2019年10月17日に、「日めくり版」を見たときの感想を「秋の調べはメランコリック」と題して載せており、比較的多くの方に読んでいただいているので、このnoteに再録します。

以下 ブログからの再録
 
 俳優の関口知宏さんがヨーロッパ各国を鉄道で旅するNHK BSの番組の日めくり版が、この夏から秋にかけて、平日朝、再放送されています。
 今はイギリスの旅を放送していますが、昨日放映の「ポルトガル編 9日目」の最後に流れた、関口さん自身の作詞作曲による、ファド調の歌が、何とも心に残る素敵なものだったので、ご紹介します。

訪秋
             作詞・作曲・演奏・歌 関口知宏

誰もいつかは歳をとるものよ  
周りは私を笑うでしょうね
“秋”の年頃を迎えたこの私の  
やつれた身なりや仕草を見て 
今やもう古ぼけた 私の過去の栄光を聞いて

でも人生ってそういうものよ  
時を重ねなければわからないことほど 
他人には滑稽に映るの 
私の人生の喜びが他人にわかるくらいなら 
むしろ私の人生は貧しかったのよ

だからそのまま笑わせてあげるの 私を笑う人たちを
彼らはまだ秋を知らないのだから
あなたにはまだ物哀しいだけの秋の歌を 
あなたに歌ってあげましょう
それでいいのよ

まだ無邪気なあなたの人生が実り多きことを願って 
あなたに歌ってあげましょう
なぜならあなたは 私の遠い過去なのだから
 


動画
https://www.youtube.com/watch?v=R_yqIuS3B30


 いやはや、ヨーロッパだけでなく、国内や中国の旅を「鉄道の旅」シリーズでみてきて、関口知宏さんの、感性の豊かさや人間性の深さ、それでいて飾り気のない親しみやすさ、絵心・歌心の見事さに感心してきましたが、この歌は、格別、心に沁みます。
 関口さんは、私より若干年下のはずですが、感覚も表現も本当に大人ですね。
 2016年の本放送でも見たと思うのですが、今回、改めて見て(聴いて)、この歌に衝撃を受けました。
 ポルトガルという国の土地柄に彼が抱いた感想に、人生や、日本への想いも重ねられた、奥深い歌です。
 従来通り、右肩上がり一直線を目指すのでは立ち行かなくなった現代社会の、多くの人に味わっていただきたいです。

以上 再録終わり

 関口さん。最近お見かけしませんが、お元気でおられるのでしょうか。
 是非また紀行番組に取り組んでいただきたいものです。

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