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笑って、ぞっとして、そして背筋が伸びる ~ 歌わせたい男たち ~

劇作家・永井愛さんの傑作「歌わせたい男たち」を池袋の東京芸術劇場シアターイーストにて観劇。
「ら抜きの殺意」や「こんにちは、母さん」「鴎外の怪談」「ザ・空気 ver.3」などに書籍や映像で触れ、是非生で観てみたかった永井愛作品をやっと観ることが出来ました。
以下、ネタバレあり

歌わせたい男たち ポスター

感想を簡潔に表すなら、こうです。

笑って、ぞっとして、そして背筋が伸びる

舞台は、卒業式の朝を迎えた、ある都立高校の保健室。式での「国歌斉唱」をめぐって、「歌わせたい男たち」すなわち校長(相島一之)、英語科教師(大窪人衛)と、国歌斉唱を拒否する社会科教諭(山中崇)、両者の間でオロオロ困惑する「ノンポリ」の音楽科講師(キムラ緑子)、三者の攻防が描かれます。そしてもう一人、無自覚に多数派に与している養護教諭(うらじぬの)の言動が、これまた、とても日本人的で、作家の手腕が冴えわたっていました。
現代日本社会の、とりわけ教育現場の、一見穏健に見えて、その実、息の詰まるようなありようを、軽妙かつリアルに描き出す台詞のやり取りの巧さは勿論、「聞かせてよ、愛の言葉♪」「パダム・パダム♪」と、シャンソンの名曲の使い方も絶妙です。

キムラ緑子をはじめ、出演者5名は、それぞれ、役柄にぴったりの好演。
とりわけラストシーン、キムラ緑子の歌と、それを聴きながら眼鏡を置いて保健室を立ち去る山中崇の静かな足取りが印象に残ります。
非常に楽しめる、そして背筋が思わず伸びる舞台でした。

ついでにこの日のランチの画像を。とても人気のあるらしいイタリアンで
前菜の盛り合わせや鴨のローストなどをいただきました。

鴨のロースト

心身の栄養を摂れる、充実した一日でした!

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