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凄いぜ,アルビレックス新潟!水戸ホーリーホックもいつかは.

2022年9月18日(日)@デンカビッグスワン J2第37節 アルビレックス新潟 vs. 水戸ホーリーホック

1.望みを捨てず,首位を叩け!

 9月18日の朝,台風の予兆か,時折にわか雨の降る,やや蒸し暑い水戸をアウェーバスで出発,決戦の新潟に向かう.中2,3日でゲームがつづく5連戦の3戦目.まさかの2連敗で出鼻をくじかれ,夢の過去最高位のためにはもう絶対に負けられない一戦.しかも相手はJ1再浮上の最右翼,アルビ新潟.なりふり構わず,結果を求めていくしかない戦いである.



2.ピッチでの戦い

 午後4時過ぎに現地到着.新潟,デンカビッグスワンスタジアムは,折からの台風の余波を受け,フェーン現象で秋とは思えない暑さの上,ここでJ1再浮上を決定づけたいアルビレックスサポーターが大挙して参戦し,18000人を超えるオレンジ軍団で膨れ上がっていた.劣勢ほど対抗心に火がつく自分でも,さすがに少々圧倒されそうな,アルビサポの心の圧力を感じざるを得なかった.

 しかし,我らが水戸の葵い戦士を鼓舞する目的のためなら,気持ちで負けていては話にならない.精一杯の力を持って大旗を振るしかないのだ.


水戸ホーリーホックのスターティングラインアップは,若手中心ながら秋葉監督が信じて送り出した最強の布陣であろう.木下,安藤のツートップに何としても結果を示して欲しいところだ.

一方のアルビレックス新潟,数年来のエース,本間至恩こそ移籍によって欠いたものの,J1で普通に通用するメンバーが並び,更には,水戸に2度在籍して,今季惜しまれつつも新潟に完全移籍した伊藤涼太郎の名前が,そこにある.

試合が始まると入りからアルビレックス新潟の個人技と精度の高いチームパフォーマンスに,水戸の若い選手達が必死に食いつく構図となる.水戸は時折カウンターから相手ゴールに迫るも,新潟の鉄壁の守りに跳ね返され,ゴールを割るには至らない.

攻勢を続け,何度も枠内にシュートを放っていた新潟は37分,伊藤→谷口→星と綺麗につないで先制! 後半52分にはセットプレーから谷口が技ありのヘッドを決めて2点目.水戸の必死の反撃も,前半はポストに阻まれ,後半は守りを固めた新潟ディフェンダーに跳ね返され,無得点で終了.個人技,チームプレーの成熟度ともに,力の差を見せつけられたゲームとなった.新潟2-0水戸


3.スタンドでの戦い

 選手入場直前から水戸ホーリーホックの応援は最初のクライマックスを迎える.ロストックからロンバルディアである.「水戸を愛する俺等の,声が聞こえているだろう!さあ,前を向いて戦え!」水戸サポの声と勝利への思いに後押しされて,ひたすら大旗を振る.選手にこの思いよ,届けとばかりに.静まりかえったビッグスワンに水戸サポの叫びが響く.アルビサポもこちらに注目し,中には動画を撮っている方もおられる.応援合戦である.

 しかし,圧倒的人数を誇るアルビレックス応援団が声を揃えて選手を後押しすると,しばしば水戸側の応援がかき消されそうになるくらい,大きなうねりとなって押し寄せてくる.こりゃ,すげーな!感心している場合ではないが,ピッチの選手と連動しての,かさにかかった応援は,正直,なかなか難敵ではあった.

この日の水戸サポは前節の反省もあってか,チームが明らかに劣勢となりながらも,声を止める者はなかったし,必死に後押しをしている姿に,思いの直向きさを強く感じさせるに十分なものがあった.身内側ながら,声出し応援の水戸サポーターには天晴れをあげたかった.

しかし,ゲーム終了後に起こったセレブレーション,これには,新潟の街,クラブ,サポーターの一体感と底力を感じざるを得なかった.薄暗かったスタンドに一斉にオレンジ色のキンブレが灯り,勝利の勇者の行進を誘うのだ.これには悔しさを超えた,一種感動を禁じ得なかった.まるで,自分がずっと夢見ている,水戸ホーリーホックが夢を掴む時の光景,モチーフが,アルビレックススタンド側一杯に具現しているのだ!これも,ある意味,アルビレックスに完全に負けた気がする.


4.伊藤涼太郎の成長,活躍

今日の勝利の立役者は,繰り返しチャンスメイクをしていた伊藤涼太郎だと,私は思う.最初に彼が期限付きで浦和から移籍してきた時から,かみさんは彼の足技の虜になった.この年の暮れ,茨城大学フットボールカフェに前田大然と来てくれたことは,今でも深く感謝している(最前列左のめがねの青年が伊藤涼太郎選手).移籍半年で帰る,あるいは他クラブへ移籍のところを,もう1年延長して,長谷部茂利監督の1年目,水戸のエースストライカーとなった,伊藤涼太郎.水戸駅でのチラシ配りの時には必ず(内気な伊藤涼太郎の)手伝いに行った.J1であった大分に期限付き移籍.かみさんとカシマスタジアムまで大分戦を観戦に行ったこともある.

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その後浦和に復帰するも,出場機会に恵まれず,エリートリーグでアツマーレに来た時に久しぶりの再会.どうせ出られないなら,水戸に来れば良いのに!とかみさんが言っていた折,彼の再来が決定.ゲーフラ,断幕が再び日の目を見たのである.彼の足技はこんなものではない,もっともっと光るはず!ここで輝け!

しかし,水戸サポの願いもむなしく,新潟へ完全移籍.残念ではあるが,彼の新潟での活躍を見れば,彼にとってベストチョイスであったことは明らかである.水戸戦,アウェーでもホームでも,新潟の勝利を引き寄せる決定的なチャンスメイクをしていた.第一,彼があそこまで輝いているのは,1ファンとしても嬉しい限りである.伊藤涼太郎,こんどこそ輝け,主役で勝ち取るJ1再浮上で!

5.ありがとう!アルビサポ,そして出自の地.

 悔しい敗戦ではあったが,新潟のクラブ,街,人,そしてアルビレックスサポーターの皆さんは,我々の夢の実現にとっては理想的な水先案内人ではないだろうか.

 深々と水戸サポの前で頭を下げた伊藤涼太郎が,アルビレックスの仲間とともに,あの,サポーターの作った「光の回廊」の中を進んでいく,その後ろ姿を追った時,「あー,自分も,ケーズデンキスタジアム(あるいは新しい水戸のスタジアム)で,きっとこの光景を(人を水戸サポと水戸の選手に置き換えて),実現させたい!」と,心からそう思った.同様の感想をもった水戸サポーターはきっと少なくなかったろう.


 たまたまであるが,自分の祖父までずっと居を構えていた越後の地.勝手な思い込みではあるが,祖父までの先祖の住んでいた風土が,共に生きていた人が,進むべき道を示してくれたような,そんな心持ちで,新潟のスタンドを埋め尽くす光のお花畑を眺めていた.

6.夢を掴むまで,ひたむきに進もう,水戸ホーリーホック

 あの光景が我らのものになる日は,きっと来る.もちろん,そこまでの道のりはきっと平坦ではないだろう.時には足踏みをすることも,ゴールが遠のくことも,あるだろう.でも,それでも,この光景を心に,頭に焼き付けて,いつか,これを現実のものにしよう!そのために,今,何をすべきか?そこをブレずに追い求めていきたい.ともに進もう,水戸ホーリーホック,いつかJ1で相まみえよう,ありがとう,アルビレックス新潟.

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