半導体ETFのSMH:露光装置のASMLの決算

オランダの半導体露光装置メーカーASMLの決算が24日に発表された。10~12月の売上高は前年同期比で+28%の64億ユーロであったが、純利益はややプラスの18億ユーロとなった。これは輸送費や原価の5割ものコスト増に加えて、研究開発費の3割積み増しなどの影響があったためである。
また次期の売上高の指標となる23年12月期1Qの予約額は64億ユーロとなり、うち世界で同社しか製造できないEUV露光装置は34億ユーロである。
参考:同社決算HP


同社は短期的にはコロナ禍のPCやスマホ、サーバに搭載するロジック、メモリ半導体の需要増加にけん引されて、その回路形成に用いる同社製の露光装置もまた成長を続けてきた。長期的にも最先端の5nm未満の線幅の半導体製造装置需要は、IoTやAIの社会実装が進むことでさらに増加すると見込まれる。同社の推定では、半導体市場は現在の6000億ドルから、2030年に1.3兆ドルに達する。

四半期売上高および営業利益(100万ユーロ)

一方、市況の評価に関しては実績ベースのPERで35倍、PBRでも20倍であり、期待先行が進んだ21年度と比べれば安くなってきた。ただしシリコンサイクルが下落局面となった2015年や2019年にかけてPERは20倍程度まで下落していることから、ダウンサイドリスクはまだ4割程度存在する。
長期的には半導体セクターの1丁目1番地であるが、短期的には金利やPC・スマホ・サーバ需要の減退などマクロ環境の影響を受けるため、市況のショックを狙いつつ拾っていきたい。
日本電産の決算で今後の日本企業の業績悪化が示唆されたが、モータと並んで半導体もまた経済全体の先行きを占うものになるだろう。

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