インドETFのINDA:自動車メーカーのマルチスズキの決算

参考:マルチスズキ決算HP

日本の自動車メーカーのスズキのインド合弁企業であるマルチスズキの9-12月決算が公表された。台数は昨年同期比で+8%の466千台、売上高は+26%の2785億インドルピー、税引き後利益は2.3倍の235億₹となり、好調な業績であった。コロナからの回復で需要が戻り、半導体の制約も緩和した状況で値上げを行いながら販売台数を増やせたことが好調な業績を支えた。

マクロ環境についても、インドは2022年に販売台数が425万台となり、日本を抜いて世界3位となった。なお1位は2600万台の中国、1500万台の米国である。
参考記事:インドの新車販売、日本抜き世界3位に 22年

マルチスズキはおよそインドで200万台弱の販売台数を誇り、ガソリンスタンドよりも多い販売・サポート店ネットワークを設けている。スズキが得意とする小型車に加えて、トヨタの技術支援を受けながらEVのラインナップも増やしていくことで、成長するインドの自動車業界をリードする構えである。

一方、市場もまた期待値が高い。以下の図の青色線で示した実績値ベースの株価収益倍率PERは、足元60倍である。増益を織り込んでも30倍程度であり、自動車会社の水準としては非常に高い。より安定的な株価簿価倍率PBRでも4倍超である。
インド株は中国からの代替投資先として魅力が高く、その人口や民主主義の国家体制、豊富なIT人材、英語教育の充実度、地政学的な位置づけから注目が集まっている。
しかし、既に株価に期待が十分に織り込まれており、タイトルで示したINDAの平均PERは38倍と、アメリカのハイテク企業を中心に構成されるナスダック100並みの水準である。

また、歴史的にもアメリカ株が不調の時に、新興国株に一時的に資金が集まりやすい。サブプライムからリーマンショックにつながった2007~2008年も中国とブラジルの株価が高騰したが、リーマンショック後に両国とも株価が暴落している。長期的には魅力的な投資先であっても、中期的に割高なため、リスクを吟味したうえでの投資が必要であろう。

実績値ベースのPER、PBR

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