路地

歩くスピードが合わない。
前を行く人の背中を見ながら、でもプレッシャーにならないように少し離れて歩いていた。
よく見ると、前のその前の人は小さい子供を二人連れている。
遅いわけだ。
駅から会社までの道のりで、幅1メートルほどの建物に挟まれた斜めに抜けられる路地。
前から来る人とはお互いが、壁や垣根に擦るようにしながらすれ違う。

「ほら、こっちによって」
前から人が来ないことを確認して、二人の子を壁側に寄せて私たちを先に行かせてくれた。
前を歩いている人が子供たちに手を振ってすり抜けて行く。
「あ、先生だ」
子供の声に、
「先生じゃないわよ」
とお母さん
自分も手を振ろうかと思ったけどタイミングが悪くてできなかった。
前の人は、それからスタスタと歩き、少し大きな通りに出ると、さっと左に曲がった。
その動作を見ると、
やっぱりプレッシャーかけていたみたい。


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