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本紹介『討ち入りたくない内蔵助』

書名:討ち入りたくない内蔵助
著者:白蔵 盈太(しろくら えいた)
出版社:文芸社


忠臣蔵といえば、亡き主君の無念を晴らすべく立ち上がった赤穂浪士たちの、勇ましくも切ない物語…
というイメージですが、この物語は、赤穂浪士のリーダー・大石内蔵助を、時に情けなく、なんとも人間味あふれるキャラクターとして描いています。

まず、刀傷事件の知らせを聞き、
「ちょぉ待てや、なんなんやこれ」と動揺。
喧嘩両成敗になると思いきや、幕府の裁きは不公平そのもの。

「悪いん、赤穂藩やから~」

内蔵助は家老という立場もあって、お家再興と藩士たちの命を守るべく奮闘しますが、籠城だ仇討ちだと騒ぎ立てる周囲にてんてこ舞い。

なんでみんな、わしの気持ちを分かってくれへんのや…

まさに、苦しむ中間管理職って感じです。
あまりの苦しみに、
天狗にさらわれて山奥に引きこもりたい…
なんて言ってます。
表紙なんて、泣いていますからね。
周りは盛り上がっていますが、内蔵助は、そりゃもう、泣いています。

討ち入りたくない内蔵助は、どのように討ち入りを果たすのか?

こんな葛藤が、あったかもしれない。
こんなやりとりも、あったかもしれない。
そんな、新しい忠臣蔵のお話です。



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