見出し画像

【10回連載小説】タケルとスミカ(3)

【タケルの2ターン目】
スミカはさあ、もうちょっとちゃんと化粧とかすれば、いい女だと思うんだけどなあ。
惜しいよ、惜しい。いい線、いってるんだけどなあ。なんか、気にしなさすぎなんだよ。
勉強、ばっかりでさあ。遊ぼうともしないんだぜ。
アオハルの無駄遣いだと思うんだよ。もっと、楽しい事、すればいいのにって、いつも思う。
 
アイツはね、さっきも言ったように、幼稚園の年少の時から知ってるんだよ。
幼稚園ではさあ、モテモテだったんだぜ。同じ組のユウキってヤツと、チューリップ組のサトルってヤツと、スミレ組、いや、ひまわり組だったっけなあ、ヒロトってヤツが、スミカの取り合いをしててねえ。三人とも、砂場で遊んでるスミカにちょっかい出して、そしたら、スミカが泣き出して、仕方ないから、俺が助けに行ったんだよ。いっぺんに三人だぜ。スゴクない?モテモテ。
 
だけど、小学校でも中学でも高校でも、スミカは男っ気、なかったよなあ。
いっつも、休み時間は、女の子の友達といるか、図書室だったからねえ。男は誰もスミカには近づかなかった。
みんな、見る目がないんだよ。アイツ、いい女だよ、ホント。眼鏡がよくないんかなあ?確かに眼鏡のせいで、ちょっとキツク見えるんだよなあ。
今度、アイツに言ってやろう。コンタクトに変えたらって。
そしたら、もうちっと、モテるんじゃねえかなあ。
俺、心配なのよ。一応、スミカの幼馴染みとして。
 
いや、アイツの勉強してる時の真剣な感じとか、俺、好きなんだよ。
ホント、マジで尊敬してる。
ヤバいぐらいだもんな、マジな感じがさ。
いや、いい友達、持ってんなって、思ってるよ、マジで。
だって、そうじゃない?そんなにいないよ、尊敬できる友達って。
 
だけどなあ、もうちょっと、遊びのマインドも欲しいんだよなあ。
 
だから、惜しいの。いい線、いってるのに、ホント、惜しい。
イヤ、俺が彼氏だったらねえ、そんな事、教えてやるんだけど、俺ら、幼馴染みだからねえ、今更、そんな関係でもないんだよな。だから、見守るしかないの、アイツが気付くのを。
 
今は、そんな感じなんだよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?